闘技場
わあ、もう70話です。
ここまでお付き合いありがとうございます。
「ついにこの日が来たわね!わくわく!」
「そうだね!頑張れよテルマッド!」
肌寒い冬の朝からテンションが高いなこの2人。
俺はこの5年でかなり強くなった。
本来なら小学校でカリカリ勉強している年だが、ここでは違う。
戦闘力を底上げされるのだ。
なんと2歳から!
もう、なんだかひどい。
「あー!もう優勝確定よ!約5年間頑張ったわ!」
「うん!この村をその歳で出て行くなんて前代未聞の、超超例外だよ!」
なんだこの親。
7歳と10歳が本気でやってどっちが勝つと思いますか?
小1と小4ですよ?
この比較はよくわかんないけど......
「そうじゃよ、なんてったってわしが教え込んだからな!」
なんで私の家にバラガさんがいるんですかねえ。
ていうかあんた審査員ですよね?
「厄介なのはピリーさんの息子さんですね。」
とバルコリアさん。
今日は団をあげての闘技場開催である。
その激励会と聞いてバルコリアさんが来たみたいだが、他の生徒も応援してあげてくださいね?
「私がしっかり指導したので、ピリーのドラ息子に負けやしませんよ。」
何いってんですか、シナミィさん。
あなた俺に永遠と魔法を躱させただけじゃ……
「わたしもがんばた。」
紅茶をすすりながら手をあげていうスワイプさん。
彼女には十分お世話になった。
おかげで柔術や、体術。
とっておきも教えてもらった。
残念ながらミマーフルさんはここには来ていない。
多分彼女のことだから恥ずかしいのではないかなと思う。
しかし、ミマーフルさんにはかなり対人戦において使えるであろう技術を伝授してもらった。
彼女には一番感謝している。
「皆さんありがとうございます。他のみんなはもっと強いと思うので、自惚れないよう頑張っていきたいです!」
みんなホカホカとした笑顔を見せてくれた。
彼らの期待に応えてみせよう。
俺はたった5年で実力と自信を身につけた。
ちなみにウィンターはこの村で鍛冶屋の一番弟子として活躍している。
月光蝶一の鍛冶屋を営んでるテツさん曰く、
「がっははは!ウィンターはいい鍛冶師になるぜ!
独立できた暁には、ぜひ、テルマッド坊ちゃんの専属にしてやってくれや!」
「ええ、ぜひ!」
「ちょ、ちょっとテツさん!テルマッド君も!」
恥ずかしがるウィンターにテツさんとダブルスマイルをかましておいた。
「さあ、僕たちもそろそろ審査会議に行こう。バラガさん。」
「じゃあね、テルマッド!上から見てるからっ!」
「頑張るんじゃぞ!シナミィ、しっかり連れてくるんじゃぞい。」
わかった、と小さく頷くシナミィさん。
彼らはどうゆう間柄なのだろうか。
しっかし審査員が親2人ってなんだかなあ。
審査員といっても負けた方が審査の力で勝ちになることはない。
師団長全員が、これから月光蝶の中枢になる子供達を見定め、自分の師団に入団させて育てるのだ。
アンジュは俺が出ると決まるとすぐにヤハーナさんに任せていた審査員を買って出たらしい。
なんだか、もう恥ずかしい。
「では、我々も向かうか。」
「はい!」
シナミィさんの一声で、家を出る俺を含めた3人で外へ出る。
確か闘技場は治療室のすぐ隣にある。
「着きましたね。テルマッド、手続きはいらないので、入ってすぐのところにある控え室で待っていなさい。私たちは上から見ているから。」
「はーい。」
2人と手を振って別れると廊下を歩いて控え室を探す。
闘技場はコロッセオのようになっていて、地下からエレベーターで上に上がるという感じ。
ちなみに、こんなに凝ったものを毎回拠点を変えるたびに作り直すわけではない。
たしか、物資運搬班の隊長が物質移動魔法というチートを使えるらしく、それで重要な建物は全て運搬可能だとか。
容量に制限があるみたいだが、こんなでっかいものを入れていけるなんて、どんなキャパをこの魔法は持ってるのだろう。
「控え室はこっちだ!」
廊下を曲がるとすぐに控え室が見えた。
ゴリゴリのおっちゃんが数の多い少年少女を呼び込んでいる。
「お〜テル坊!!」
「ども......」
巨体のワイルドなおっさん、第3師団長バッガスだ。
あの人は闘技場の大会運営をやってるらしい。
というか、他の人たちは働かなくてもいいんかね?
「がんばれよお坊。今年からはうちのロザリーも参加するからな!」
ああ、そういえば彼女は今年で10歳だったな。
怪力だけ受け継いなって有名になったな。
たしかに容姿は非常に愛くるしいが、俺に全く好意を向けてくれない。
たぶん、小さい時に好感度を上げていなかったからだな……というか、ハーレムを主人公が作るってやっぱり架空の話だったのな。
「ロザリーに負けないように頑張ります!」
バッガスと別れて、扉に手をかける。
俺と同じ時間にきた少年少女たちはバッガスと話している間に中に入ってしまった。
「よっし!がんばんぞ!!」
勢いよく扉を開けた俺は一瞬で萎縮することになる。
「うっせえな、黙ってやがれ」
「ちえっ!」
「緊張感のないやつめ」
「あれ団長の息子だろ?いい気になりやがって。」
え、ひどい!ただ勢いよく扉開けただけじゃん!
そんな言わなかったって……
「なにが、『がんばんぞ!!』だよ」
聞こえてんかい!
「絶対ボコってやる。」
「先生たちを取られた恨みっ!」
お父さん、お母さん。
俺もう帰っていいですかあ!!
これからもよろしくお願いします。




