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まだ3歳なんですけど

 

 爆裂音を伴って、赤い不死鳥が村唯一の運動場に舞い降りた。

 その標的はまだ体の幼い少年である。


「今のはよく避けた。訓練当時とは見違えるほど強くなったぞ。」


 そんな俺は息がゼーゼーで、既に体力は限界を超えつつある。立っていることが奇跡とはこの事だ。

 だいたいまだ3歳の俺にあれをぶっ飛ばしてくるとか卑怯というか、大人気ないというか。


「なんだ、その顔は。訓練の一環であろう?闘技場でてっぺんを取れとはまた無茶なことを言われてしまったな。」


 はははと笑う魔法少女シナミィは幾分楽しげでした。


 そういえば、俺が連れ去られてしまったことでヤハーナさんは2日だけ謹慎処分を受けてしまった。

 しかし帰ってきた時のあの笑顔は凄まじかった。


「やっぱ休日の宿巡りはよかったです!ああ.....今度はアンジュ様と行きたいです......」


 ってぼやいていたから、悪くない謹慎だったっぽい。というか、謹慎って家にいることじゃなかったんだ。


「じゃあ、次の授業には遅れないように。」


 手を上げて了承の意を伝えると、再び校舎の方へと歩いて行った。


 次は剣術の授業か。


 どうせいつもの倍しんどいんだろうなと覚悟しつつ、着替えるためにシナミィの後を追った。



 ☆☆☆☆



 2時間前ーー

 どこかで見たことのあるような家族会議が俺の家で行われていた。


 そして目の前に座るアンジュは病み上がりの俺にこう伝えた。


「テルマッド、あなた闘技場に出なさい。」


「は、はい?」


 闘技場をお覚えしていらっしゃるだろうか?

 村を出て独り立ちするためには必ず通らなければならない道であり、それぞれの師匠から認めてもらうための大事な、いわば試験みたいなもの。


 もちろん、独り立ちを目指す俺としては願っても無い話である。

 それで優勝すれば、なんの問題もなく平和な余生を過ごし、親孝行もでき、欲を言えば前の世界に戻す方法があるかもしれない。


 死んでしまったからあまり期待はしていないけど。


「ん?かあさん、確か闘技場って.....」


 技術や、体力、己の強さを出し切り、ライバルと互いを磨き上げる目的である闘技場。

 幼児のチンケな喧嘩など見るために大会ではない。


「参加するための年齢制限がありますよね?」


「ええ、10歳からよ。」


 そうそう、そうなんです。

 俺が生まれてきたから2年間、どの年も闘技場を両親に連れられ、見てきたが、少年少女の戦闘レベルは本当に高い。


 それを表すかのように、闘技場の行われる闘技広場では全師団師団長が多大なる魔力を使って込みあげられた防御結界が張ってあるらしい。


 それに忘れてはいけないことが一点。


「ぼくまだ2さいなんですけど?」


 そう、2歳!たった2歳である。

 ちょっとばかし魔法の使える2歳がゴリゴリ上級魔法を打ってくる14、5歳にどうして勝てというのだろうか。


 リハンもさっきから何も言わないし、少し俺のこと過信しすぎなんじゃない?


「当たり前よ。何も今から出なさいとは言ってないでしょ?」


「え?」


 いやいや、だって今出なさいって言ったじゃん!

 ていうか、既に闘技場開催まで10日切ってるんじゃない?


「あと5年訓練を重ねて、出場するのよ。楽しみね、私の息子が7歳で10歳以上の男の子や、女の子をぶった切るの!」


 やべえ、これ本当にやべえ!




 ☆☆☆☆




 んなわけで、訓練に訓練を重ねる毎日。

 生物・経済と盗術の授業数が圧倒的に減り、剣術、体術、魔法の授業が増えた。


 生経の授業が減ってしまったことで、余計地獄を味わうことになってしまった。


 魔法少女シナミィさんは相変わらず高火力の魔法を打ちまくってくるし、俺の魔力は全く上がらず、避けることだけが上手くなっていった。


 たまにある生経の授業はない楽しかった。

 なんてったって体がボロボロにならないのだ。


 剣術の師匠、バラガさんの授業はシナミィさんの授業に比べて得るものが大きかったかもしれない。

 一方的に攻められるわけでもなく、バラガさんが受けに徹することもあった。


 ミマーフルさんの盗術の授業は少なくなったが、その代わり濃密な時間を作ってくれた。

 これまでは者や、人を盗む授業だったが、俺が闘技場に7歳で出場することを告げると......


「そうなの!?わかったわ、人を殺す技教えてあげるっ。」


 だそうです。

 最初と違って少しずつ明るくなってきたことが割と嬉しかったりした。


 スワイプさんは相変わらずだった。

 俺が監禁されていて、体が鈍ってるにも関わらず、謎のはっ飛ばしでチンケな俺の体は飛びまくった。


 しかし、出場することをしったスワイプさんはなんとなんと、体術を教えてあげると言ってきた。


 なんということだろう。

 俺のことをサンドバックにしか思っていないと思っていたが、まさかあの人に愛情があるとは。



 こうして5年の月日はあっという間に立っていった。

 実はこの訓練は秘匿していたらしく、誰にもいうなと念を押された。


 秘匿していた理由は、超人気の師匠方を1人のためにみんなつけているため、反乱が起こってしまうらしい。

 なんて、うちの親は暴虐なんだ……


 ちなみに5年もの間、ずっと1人で授業してました、ええ。








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