きになる
ご指摘いただき有難うございました。
病み上がりで作者は疲れがたまっていたのかもしれませんね。
しっかり療養します(笑)
「あっははー。これまたえらくボロボロになったねー?」
高身長でケラケラと笑う彼女は銃を片手にニコッと笑顔を送る。
全くあの無邪気な笑顔から放たれる銃弾は何人殺したか想像がつかない。
なんでここにいるのかと問いただそうとすると体がひょいと宙に浮いた。
股間辺りがさむっとしたがじきに犯人はヤハーナさんだということがわかった。
そして俺がまだ2歳だということも再び理解した。
俺の傷がみるみる治っていく。
多分彼女の魔法能力だ。
しかし傷は治ろうとも身体の根底にある魔力が癒えることはない。
「まだあの瓦礫の下に埋まっている人たちがいるんだ。一緒に戦ってくれた仲間だ。助けてあげて。」
「承知しました。では抱えていらっしゃるその子は?」
わかったとうなづき、ヤハーナさんは俺が抱えていた気絶している少女(?)のことについて説明を求めた。
「この子は大事な人なんだ。治療魔法かけてあげて?」
「それはいいですが……。もしや小人ですか?」
ヤハーナさんは半分確信したように尋ねる。
「え!なんでわかったの!?」
俺は驚いた。
ドワーフと種族は違っても見た目はそう変わらないのだ。
「はい、明らかに器が小さい子にしては大きく、魔力の種類もまた異質でしたので。」
聞き慣れない単語が出た。
『器』?
なんだ?魔力を貯蓄できる量とかかな?
「ねえねえ、感動の再会は後でするとして、こっちがなかなかやばいんだよね。」
自分たちの世界に入っていた俺たちだったがダリアネスさんに引き戻された。
そして彼女の言った通り、状況はなかなか厳しいように見えた。
爆裂銃でかなりダメージを負ったはずだったのだが、むくりとその腰を上げてこちらを無言で睨んでいた。
しかし俺には謎の余裕があった。
安心感というか、絶対に壊れない盾に守られているような。
心臓の脈拍が収まっていくとともに子ども特有の眠気が俺を襲った。
なんだかんだで彼女らを見れば安心したのか。
彼女たちがここまで来たことや、2人が何故一緒にいるのかという、いろいろ謎が残る。
しかし彼女ならやってくれるはずだ。
信じよう。
哀れな仮面を救ってくれると。
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「どなたか存じ上げませんが、あの魔物は私の命の危険因子だと判断したので除去しましょう。」
「いや、さっきから何回も言ってるよ?!まだ私の名前覚えてくんないの!?」
2人の女性が異形と化した生物と相まって構えていた。
1人は長身で、獣人族特有の耳に尻尾をひらひらピクピクさせている。
背中には二刀の剣、腰には一丁の銃が差し込んであり、銃身に魔法陣が組み込まれている。
右手にも魔法銃を持っているが、腰にあるものの魔法陣とはまた違う。
鍛え抜かれた肉体に合わない綺麗な顔立ちで、肩ほどの髪の毛をポニーテールにむすんでいる。
その女性に今しがたツッコミされたのがヤハーナという見た目清楚な女性だ。
真っ黒の髪を胸まで下ろし、白の基調としたスカートをなびかせて立っている。
実は彼女の、あのやる気の無さげな目には魔神と魔人の力が宿っている。
彼女らはあれほど強靭な魔力の存在が視界に入るとも限らず、なんとも緊張感のない会話を続けている。
「え、っと確かダルタリアン?」
「おしい!惜しいよ!あと坊っちゃまのこと守ってあげて!?」
森の中に少し開けた場所にある館の一室は随分広くなっており、壁にはいろいろな彫刻が施され、神聖な場所と化していたが今ではすっかりと崩壊している。
その形跡を見る限り、すべて魔法や、魔力による風が原因だと思われた。
そして壁の落石や、魔力の圧力。
これはすべて目の前にいる奴のせいであろう。
「ああ"あぁぁぁあアアアアア!!」
狂ったように叫ぶ姿は奇形で滑稽で哀れな魔物。
いくら人型をしていてもあれはただの魔物だ。
もちろんじっとしていては命の保証はない。
そして彼女が守らなければならない唯一の少年が死んでしまう。
それこそがヤハーナの命の危険なのだ。
「ほら、ダリダリダが無駄話をしているから怒ってしまいましたよ?」
「むっ!……ってまあその話はアレを片付けたらね?」
ようやく魔物に視線を向けた彼女らは戦闘態勢に入る。ヤハーナは素手でかまえ、ダリアネスは両手に銃を持ち、照準を天災に向けた。
キアアアァァア!!
それを待っていたかのように魔獣は吼える。
と、同時に身体に大きな重りがのしかかった。
「なにかしら?体が少し重くなった気がする…」
「ああ、アタシも感じた。」
そんなことが体験したことのない2人は少し驚く。
しかしまた余計な言葉が小さな音で飛ぶ。
《体重が重いだけでしょ。》
「あ"あ"!?今なんつったよ!」
それに一番早く食いついたのはダリアネス。
あからさまに怒りをあらわにする。
「全く遂に幻聴まで聞こえてきましたか?子どもとワンちゃんのお守りは疲れますね。」
「むむ……くっ!」
そんな煽りにまんまとハマるダリアネスは相手にしないと魔獣の方を向く。
こちらの方がまだ大人だったようだ。
『爆裂銃』
『爆裂銃』
『爆裂銃』
ムカつく思いを込めて魔獣に向かい、強力な攻撃を放つ。
連射音が鳴り響き、ゴオオと火傷しそうな音を出しながら確実にその全てが魔物へと着弾した。
初段の爆裂に耐え切れず爆発を伴ったまま壁へと突撃する。
しかしまだ悪夢は終わらない。
2、3弾目がそこへ入ったのだ。
爆裂銃
銃身にある魔法陣が弾に魔力と爆発魔法を付与して、着弾した瞬時に爆発魔法が魔力に誘発され、幾度もの強力な爆発を起こすA級class3に分類される逸品魔法武器だ。
それを全弾くらえばAランク冒険者ですら瀕死に追い込まれるという。
その説は流石に怪しいとされていたが今しがた証明されたと言っていい。
ゴオアアアオオ
事実目の前の魔人は口から血を吐いたのだから。




