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真打登場



「か、ああ、あ"あ"あぁあああ!!!」


脳列な魔力に俺は圧倒される。

魔力が変化させた風の動きにより、俺たちの体は壁に打ち付けられる。


激痛など感じない。

もはや脳も正確に動いていないのではないか。

黒服や、生贄になったものの死体が飛び回る。


「なんで」


ルートがポツリと呟いた。

それが引き金となり、さらに感情が溢れ出る。


「なんでなんでナンでなんデナンデナンデ!!!」


視界がぼやける。

しかし意識はハッキリとしていた。

いや、ハッキリとした。


俺がへばっている壁の横にウィンターが激突した。

それを溢れた眼球で確認すれば俺の意思は覚醒した。

自分がやらなければならないことがハッキリとわかったのだ。


(彼女を生きて…返す。)


そう決心を固めるとルートから湧き出ていた風がやんだ。しかし魔力の圧は未だ変わっていない。

もしかすると魔力の制御に成功したのか。


壁に貼り付けられていた体が力が入らないまま横に倒れる。

運良くウィンターの方へと倒れた俺はゆっくりと彼女の腕を確認する。


(心臓は生きてるな…)


使い続けた魔法と与え続けた魔力で俺の体はカラカラだった。

そんなウィンターに渡す魔力もなく、残された道は『逃げ』しかない。


重い体をゆっくりゆっくり動かしてウィンターを左脇に抱える。

右腕を地面につきながらその場を立ち上がった。


動くものは俺たち以外にない。

もちろん標的にされるのは反抗するものだろう。

ルートは半狂乱気味に、闇の魔法をこちらへ打った。


この程度の魔法で今の俺たちには十分だと思ったのだろう。

俺は素直に現状を受けとてしまっていた。


弱い俺を憎んだ。

弱いのに、弱すぎるのにウィンターを助けようとかおじさん達を守ろうとか…そんなこと無理なのに……。


「っっらぁああアアアアア!!」


大きな肉の塊が俺たちの前に立ち塞がった。

目の前で魔法が粉砕した。


俺は驚いて声も出なかった。

殴ったのはデルマンゴだった。

最後の最後まで魔力を取っておいたのだろう。

右手に弱々しく電流が流れている。


「ふっ、ここは任せて先に行け!」


「ん、んなことできるわけないでしょ!」


なにかっこいいこと言ってるんだ、この人は。

もうあと2撃ほどで死んでしまうのに、なぜ…?


「弱い人間を守るのが男の仕事で冒険者の仕事だ。

助けられた恩返しがまだだろうが!」


涙が出た。

胸から上がる温かいものが体を包み込み、キュッとした。

仲間って本当にいいものだ。


「ありがとう…ありがとう!!」


背を向けながら俺の感謝の言葉に左手を上げたデルマンゴは戦闘モードへと入った。

俺は一つ脱出の可能性を見つけていた。


それはウィンターとともに見つけたあの扉だ。

なにが鍵になるのかわからないがあれほど怪しいものはない。


行ってみる価値がある。


軽めの圧に耐えつつ、ズルズルと歩いていく少年を簡単に逃がすルートではない。

デルマンゴを振り切って俺たちの前に飛んだ。


左腕を振り上げる。

空気中に存在している魔力を食ったのだ。

人間の魔力までとは言えないがこんなに容量がでかい化け物が自然魔力を使っても強力には変わりない。


今度こそ目をつぶった。

無能だったな、と鼻でも笑えた。

ドンドン力が高まっていく魔力に目を開けられずにいた。


(あ、ああ、すごい…っ!!)


体が収縮しているのが分かる。

恐怖にか、それとも魔力にか。

それとも彼女の怒りにか。


これまで出したことのない魔力が部屋全体…いや、世界全体に響いたように感じた。


『爆裂銃』


それが振り下ろされる前にいくつもの轟音が響いた。

爆発音だ。それもとてつもない魔力を誇った。

圧がより軽くなった。

少しずつ瞼を上げた。


目の前にルートが立っている。

しゅうしゅうと煙を立て、フラフラとしていた。

もしやまた、デルマンゴさんが!?


振り向くとデルマンゴ自身が驚愕の顔をしている。

なに?まさかデルマンゴではないのか?

するとルートが急に対する壁へと激突した。


ルートを目で追いかけ壁を破壊し、外が見えると俺は彼女が立っていた場所を見た。


「ぼっちゃま、探しましたよ。」


「よお、坊主。久しぶりだな!」


天使と獣が立っていた。





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