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反撃

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


テルマンゴ Lv.46


ステータス

攻撃力 : 168

防御力 : 132

俊足力 : 40

魔法攻撃力 : 37


職業 : 冒険者


所持スキル : 怪力 魔法使い


所持魔法 : 『電池』 『技付(エンチャント)・雷』


【称号】なし


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


「おっさんが雷適正一筋だったとは…俺も運がつくづくいいな。」


「あ?なんだァ、坊主?俺の魔法は『電池』ぐらいだぜ?使えるもんなんか技付(エンチャント)ぐらいだろ」


仮面と相見えながらおっさんは後ろにいる俺に声をかける。

正直なところおっさんの言うとおりだった。

『電池』という魔法は、電気系統の魔力を全身の容量を超えた時にその魔法の器で貯めておくことのできるものだ。


電気属性適正者はまずこの魔法を覚える。

俺ももちろん覚えた。

ではなぜこの魔法を覚えなければならないのか。


まず、電気属性攻撃魔法を行使するには当たり前に電気系魔力が必要だ。

しかし魔法を全く使ったことのないものが急に攻撃魔法を電気系魔力を用いて打ったとしても、元々体に貯蓄してある電気系統の魔力が少ないため不発、または魔力の暴走で体が吹っ飛ぶ。


そんなわけで、電気属性魔法を取得していく者にとって、『電池』とは初心中の初心魔法。

そしてこの魔法がゴミとみられるマイナス部分は、この魔法が目に見えた状態で行使できないこと。


それに発動者は『電池』という魔法の実感ができない。だから、厄介なことにこの魔法を覚えず電気系統の魔法を使う輩が少なからず発生してしまうのだ。


もちろん体内にある保有魔力の雷属性変換率が高ければ不発や暴走の心配もないが、そこまで変換効率の高いものは雷魔法を使う全体の4割ほど。


そんな人達だからこそ、仕組みも知らずに『電池』をとりあえず覚えておいたら十分なのだが、俺は気づいてしまった。


この『電池(チート)』に。


異世界の人々は知らないのであろうが、この魔法はなんと他人から与えられた微弱な魔力の橋渡しをしてくれるのだ!

つまり、さっきの魔力譲渡の原理はこいつで、俺とおっさんの仲介役ってわけ。


そして何より『電池』はオート魔法なのだ。

これはかなり古い(らしい)文献で記してあるのを村の書庫で見つけた。

確か著者はヴィーナス=キラ=スキリニスさん。

当時の聖騎士団で団長補佐…つまり副団長を務めた実力者だ。


オートというのは電気系統の魔力が体内に保存できる量を超えた時、自動で蓄電するというもの。

しかもこの魔法、鍛えていけば貯蓄量がほぼ無尽蔵。


異世界人は体を超えるほどの魔力を持つものが少ないのでこの真実に気づく人はなかなか少なかったのであろう。

事実、俺もわからなかったし。


もちろん、電池という雷系統の保存魔法があるなら、他属性の貯蓄魔法も存在する。

それらの魔法も『電池』と効果はあまり変わらない。


火属性『囲炉裏』

水属性『水槽』

風属性『風車』

土属性『庭』


俺はこれらの魔法をすべて取得している。

一応すべての属性魔法を中級まで習得するためには貯蓄魔法の存在が必要不可欠だからだ。


そして今回、電気系統の適性をおっさんが持ってるのを知って、大体は予想してたが鑑定で確信を得た。


これで、全員を助けることができる。


「おっさん、ちょいこっちきて…」


「あ、ああ。早めに終わらせやがれ。俺はあいつをけちょんけちょんにしテェ。」


おっさんは、殺気をガンガンに発しながらも俺を守る体制のままあいつを睨み、後退して耳を貸す。


『放電』


「うおおぉ、なんだこれ…」


おっさんは多分今までに感じたことのない魔力を体で受け取り、快感と優越感に浸っているはずだ。

自分が今まで保持したことのない力。

それはおっさんの自信となり、俺の盾となるだろう。


その時の俺はおっさんが俺の(あだ)になる可能性の考慮をしていなかった。


「おっさん、よく聞いてね。僕はあの人達に魔力を渡しに行く。そして僕の手は決して壊せない手錠で繋がれている。だから、おっさんに僕を守って欲し……」


すると急におっさんが俺の作戦を遮る。


「は?やだね。俺の今の力ならあいつらを1人で木端微塵にできる。お前さんには恩を感じているが、そんなもん後でやれや。」


「っ?!おっ、おい!待て、独断専行で勝てる相手じゃない!」


既に地面を蹴っておっさんは叫びながら、仮面女の元へと駆けていた。


「俺の女房と…子供を、返しやがれええぇえええ!」


おっさんの右手はバチバチと光が包む。

技付(エンチャント)・雷。

技付とは武器となり得るものの周りに属性が付与されたオーラを纏わせる強化魔法。


火や水、雷が嫌いな魔物や動物を討伐・撃退するために使用される冒険者お得意の魔法だ。

その対象は剣や拳はもちろん、脚や額、馬の足にだって適用される。

その原理は至極簡単で正直俺は取得していないが使えると思う。


今おっさんの拳に纏っている技付の威力は森一つを潰せるぐらいの魔力が篭っているはずだ。

不幸か幸か、おっさんと俺の電気魔力の適性は以上によかったのだ。


盾としてしっかりと使えるようにかなりの魔力を注ぎ込んだのが俺の非となってしまった。

とは言ってもこのまま見ているわけにもいかない。


すぐさま他の囚われ人の側に行き、鑑定をかけていく。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


グランダム・ヒロリ Lv.49


ステータス

攻撃力 : 112

防御力 : 102

俊足力 : 123

魔法攻撃力 : 158


職業 : 行商人 兼 護衛請負人


所持スキル : 勘定 魔法使い 商売上手


所持魔法 : 『火球』 『火炎弾』 『火炎池(マグマレイク)


【称号】なし


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


そしてこいつがこの中で一番強い人だ。

性別は男で服装は俺たちと同じ、見窄らしい服だが、肩にかかっている髪の毛は綺麗な碧色でどこか気品を感じる。


この人は火の広範囲上級魔法『火炎池』を保持し、『火球』 『火炎弾』で遠距離からの射撃攻撃も得意とする。


こちら側についてくれればかなりの戦力になるのだが、この人は火属性貯蓄魔法『囲炉裏』を持っていない。いきなり4割に当たってしまったのだ。

そして『囲炉裏』を持ってないということは火の魔力を伝せることができないことを表す。


「おおおおっらぁあああ!!」


おっさんが仮面を守るように立ちはだかる黒服達を薙ぎ飛ばし、体を吹っ飛ばす。

首が飛び、脚が飛ぶ。腕が飛ぶ。血が飛ぶ。内臓が飛び、壁が崩れる。


徐々に徐々に、仮面へと近づいていく。


このまま彼が陰湿ババアと対峙してしまえば俺の作戦は98%役に立たない。

なぜならおっさんは即死するからだ。

仮面の手によって。


それは避けなければいけない。

この人達全員を生きて返したい。

俺だってこんなところでまたに死にたくない。

ママにだって会いたい。父にだって会いたい。

ヤハーナさんにだって会いたい。


獣人はこりごり。


グランダムさんの横にいた女の人に再び鑑定をかける。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


アイル・クロムウェル Lv.43


ステータス

攻撃力 : 103

防御力 : 106

俊足力 : 98

魔法攻撃量 : 111


職業 : 領主の娘


所持スキル : 魔法使い 誘惑


所持魔法 : 『風車』 『流風』 『波風』


【称号】なし


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


この少女、アイルさんは風魔法の使い手のようだ。

そして、この人を選んだ理由は2つ。


もちろん一つは貯蓄魔法『風車』があること。

これがなきゃ話にならない。

この魔法で彼女に正の魔力を流し込み、戦力となってもらう。


決定的な決め手となったのが、アイルさんがグランダムさんの次に強いことだ。レベルやステータス面でも他の人達よりも少し優れている。


アイルさんが所持する魔法はどちらもサポートに適している。『流風』は強い風を創り出し、指定した方向へとその風を流すことができる。

そして『波風』という風の上級魔法持ちだ。


誘惑というスキルはよくわからないが、多分ここでは使えないだろう。


あと可愛いからといって加点したわけではない。


決してない。


俺は彼女の肩に触れる。

そして風の生活魔法を唱える。


『温風』


名の通り、暖かい風を送る生活魔法だ。

この世界に冷房や暖房は存在しない。

もちろん冬?らしい季節になると気温は格段に下がる。そして凍えを免れるためにこの魔法があるのだ。


もちろん『冷風』もあるが、魔力を渡すためには温風が一番いいと、ヴィーナスさんの文献で見た気がする。


体に触れながら彼女の冷めた肌を体温を温めるように魔力を送った。



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