長いドア
忙しくて更新頻度が安定しません!
なので短いお話を高い頻度で更新していこうと思います。
「さ、行こう!」
月明かりが小さな鉄格子から部屋を照らし、外に紡がれる月光草が周りに電子を撒き散らす頃。
晩御飯をお腹に入れ終わり、他の牢屋からも寝息が聞こえてくる。
しかし俺と小人の少女はその場で立っていた。
既に俺の魔力はお腹いっぱい。ここに来た頃より魔力を多く保有しているはずだ。
そういえばなんで昨日は魔法を使ったら気絶したんだろうか。…まぁいい。とにかく脱出だ。
「うん。私…なにもできないけど。」
「いいよ。他の人たちは後で村のみんなで助けにくるから、僕達が先に出るんだ。」
俺は『激雷の剣』を行使し檻に一閃する。何か特別なものでもかかっていると思っていたのだが、その鉄格子は高電圧の前にあっさりと解けた。他の人達に今脱出がばれてしまうと騒がれて結局バレそうだ。
「す、すごいわ。あなた、いくつよ?」
「2歳だけど。」
目を丸くした彼女を置いてけぼりにして外に出る。剣を振るった音で気づかれてなければいいのだが。
牢屋の外から王の間に行く道は先ほど通ったから覚えている。
「さて、どうやって脱出路を見つけるか、だけど。」
とりあえず出たことのない扉から外の廊下へと出る。長い宿のようで、王の間へと続く道と同じ、木の板で床は作られている。長い間使われていたのであろうか、ところどころが朽ちて下へ落ちるほど劣化している。
「ま、まってよ!」
そこで彼女が俺に追いつく。
それにしても…
「暗いわね…」
「そうだね。」
本当に真っ暗だ。まだ牢屋の方が明るかったように思う。今頼りに歩いているのは生活魔法の『着火(ファイア』を行使し、周りを照らしている。
俺ほどの魔力持ちだと『着火』でも火炎放射器ほどの威力を持つから流石に威力は調整している。
少し歩くと右手に扉の無い部屋がある。
「入ってみる?」
「ええ。」
ゆっくりと中を覗く。火の玉を両手に出し明るさを2倍にする。そうすると中がよく見えた。
しかしそこは出口ではなく調理室と思われるような場所だった。ところどころには蜘蛛?の巣が張ってあり、かまどや台所まである。
かなり使い込まれていたようだが、埃の被りようから見る限り既に使われてないと見える。
「次行こうか。」
「うん。」
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さらに扉は何個もあったが当たりは一つもなかった。
そして黒服が1人も巡回していなかった。
流石におかしい。だいたい『月蝶』なら俺の居場所ぐらいすぐに掘りあてるはずだ。それにヤハーナさんがあの場にいた限り、普通以上の相手に負けるはずが無い。
「わたし気になるところがあるの。」
「ん?」
ある一室をウロウロしたり、椅子に座ったりして考え事に耽っていた時だ。ウィンターが俺の左裾を引っぱりこっちに来て、と主張する。
今は手がかりが何も無いのでついていく。
するとぐんぐん戻って最初に来た調理室まで戻ってくる。
「ん?ここはもう調べたよ?」
「違うの。ここ見て。」
それは普通のかまどに置いてある鍋だった。なんの変哲も無いものだ。しかし他の物とは違い、鍋の端の方だけ埃がかぶっていない。それはつまり、最近使われたということだ。しかも端だけ。
「なるほど。よく見つけたね。」
「まぁね。剣を修理する時には1つの小さな傷でも治してあげないといけないからね!」
褒められて嬉しそうにしている小人族を側にかまどをゆっくりとずらす。大きな鍋だったので電光強化を体にかけて動かす。
「おお…。」
「やっ…た。」
すると扉が姿を現した。
それを彼女と2人がかりで開ける。
思えば小人族の怪力で鍋も動かしてもらったら……。
「ふぅ。」
ガタッと小さな振動を立てて開けた先は床。
それに俺は一足先に飛び降りる。
あまり高く無いので身体強化は無しだ。
「おおお……」
中は一本の廊下になっており、壁一面に青色の石が埋め込まれている。何処かで見たような石だ。
たしか……アントラなんちゃらのとこか!
そういえば紅黒蒼石は無事なのだろうか。すでにヤハーナさんに渡していたから多分守ってはくれていると思うが。
「す、すごい。キレイね!」
はしゃぐウィンターはすごくかわいい。
決して性的な意味では無い。
そして2人はゆっくりと廊下を奥まで歩く。そこにはまた、扉がある。今度の扉もこれまで開けてきたドアとなんら変わりの無いものだ。
一見。
普通の人間にはわからないだろう。
「ウィンター…。」
「ええ。魔力を感じるわ。」
ここまで来て詰んだか……。




