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ついにチート開拓?

「ま、まさか、あれって…」


ドームの周辺にある壁はアメジストのように煌びやかな青に包まれて中心に残るショーケースを守るかのようにぐるりと一面を囲っている。


俺は再びこの場所へと入ってきた入り口を見る。その壁は他の青色を発しているのと特に変わったところがなく、確かにバレるはずがない。


「ふふーん。驚いたかな?この場所はバイル=フィン=アルドゥトス伯爵が秘密裏に作っておいた隠し通路なのだよ。」


「ほぇ〜。」


俺は関心と疑問の混ざった声を出す。

なぜ伯爵はそんなものを作ったのか。見た感じ、俺たちが入ってきた扉以外にこの場所へと入ることのできる扉はない。ならばこれが正規のルートなのかもしれないが。


「この部屋はね。あの真ん中にある箱見える?…そう、あれ。あれに入ってる石を守るために作られた部屋なんだよー。」


「ダリアンさん…まさかあれって紅黒蒼石…ってやつ?」


俺は突っ込んで聞いてみる。すると、彼女は驚いたように俺の顔をみる。


「ヘェ〜よく知ってるね。そうだよ、あれが紅黒蒼石。ウォール街全貴族党首しか知らない禁忌の石。それをなぜ君が知ってるの?」


「うっ?!」


俺は初見の情報を聞き身体中に冷や汗をかいた。喉が渇き目が虚ろになる。体が震え、彼女の軽い疑いの目がさらに恐怖を助長する。


間違いなくここで答えを間違えれば死ぬ。この人は想定以上に強い。昨日の戦いで確信された俺の弱さが頭によぎる。慎重にと言葉を選び…


「僕は…貴族の使いです。それ以上は聞かないでください。それは裏のボスとの契約に違いが生まれるのでは?」


「そうだね〜。確かに君ほどの魔力なら貴族の使いでも問題はなさそうだよ。しかし、こちらの契約内容は聞いてるの?」


「へっ?」


完全に論破した気分に浸る俺へ彼女から追撃を食らう。全く耳に覚えのない契約内容の更新は安堵した心を再び削られた。


「契約内容は私と一緒にこのアントラキスタス邸で暴れるってことよ?まさか忘れちゃってた?」


「OH…」


唐突なテロリスト発言に体が固まる。多分この人の暴れるは桁違いの暴れるだ。1等地全てを焼き払わんほどの威勢を持っている。


「君の目的は?」


「聞いてなかったんですか?……僕の仕事内容は紅黒蒼石を盗むことです。」


それを聞くと彼女は目を丸くし1秒ほど無の空白が生まれる。


「……えっええ?!あれ?盗む?正気?」


「え、ええ。」


一言一言を絞り出すようにして言葉を紡ぐ彼女は実に面白い。なんか可愛いんだもん。


「そ、そうなんだー。へぇ。やめといたほうがいいんじゃない?」


「なんでですか?」


「い、いや〜…」


ダリアンさんがそこまで下手な白の切り方を続けるには何か大きな理由があるのかもしれない。ここは突っ込んで聞くべきだな。


「んじゃ、取りに行きますよ!」


「い、いや!待って!わかったからわかった!その石を運ぶときは絶対中をみちゃダメ。わかった?その約束が守れないならお姉さん、君を殺すよ。」


彼女はそんなことしたくない。と言いたげに小さな尻尾をふりふりさせて俺に願う。


「わ、わかりました。しかし取り出すときは?」


「ふぅ、よかった。ショーケースから取り出した時点ですでに原型は見えないから大丈夫だよ。」


そう言ってダリアンさんはその石の入ったショーケースへと歩み寄り白く透明な薄い箱をゆっくりと開ける。それにしてもセキュリティ甘々だな。


「ここ防犯的に甘すぎるでしょ?なんでこんなに甘いのかはこの部屋に秘密があるのよー。」


「部屋に?」


「ええ。この部屋はアントラキスタス邸においてアントラキスタス本人しか知らない場所なのよ。ついでに言えばあいつ本人でさえ開けることは不可能。よって部屋のセキュリティを信じ込みすぎた結果ね。念には念を入れなきゃ。私たちみたいな…コソ泥に持ってかれちゃうってのに。……はい、これだよ。大切に持って行きな。」


彼女が箱を開けると中からは白く小さい布が姿を現した。見た目は特に特徴なく、普通に護石だと渡されても気づかないほど地味だ。


しかしアントラなんちゃらさんもバカの極みだ。折角見つからない部屋にしたのにそれを信用しすぎて本体に結界をかけないとか馬鹿だ。絶対。でも、なんでアルドゥトスさんはこの部屋の所在を知ってて秘密通路なんて作ったんだろ。


その箱の中から俺は地味な紅黒蒼石を取り出しジャケットの右ポケットに入れた。ポケットに入れて石から手を離したその瞬間だった。



≪異世界固定職業の条件を達成。条件を満たしたことにより称号を獲得。称号の取得により固定職業スキルが解放されました。≫


俺はその機械音を聞いた瞬間飛び上がり元いた場所からすぐに入ってきた扉までバックステップする。そのあと全力で魔力を練る俺をダリアンさんは不思議そうに見る。


「どったの?」


「い、いえ、何もないです。」


また例のアレだ。称号を獲得ーとかなんとか言ってたな。まだいまいちその事についてはよくわからない。しかし1番先に実行できそうな能力を俺は持っていた


べ、別に今思い出したわけじゃないんだからね!


『鑑定』


心の中でそう唱えつつダリアンさんを見つめる。ダリアンさんは不思議そうにしている。ケモっ子かわいい。



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



ダリアネス=フィン=アルドゥトス Lv.236


ステータス : 鑑定不可


所持スキル・称号・職業 : 鑑定不可



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



ケモっ子のイチャコラを想像し気持ちを落ち着かせるために努めようとした時だった。俺の目の前には薄青い液晶が浮かび上がった。それに多少驚くが、その画面を触ろうと目の前にフラフラと手を出すが、全く触れそうにない。


なら書いてある文字を見てみる。


ダリアネス=フィン=アルドゥトス…っていうのがダリアンさんのことなら一つ引っかかりができた。ダリアネス以外の名前に聞き覚えがある。たしか…裏ボスの父の名前と似ている!まさか…あのボスと兄弟とか?でもあの人は人間だったぞ。ならなぜ…


よし、難しいことはあとだ。それよりも目を惹かれるものがあるだろ!なんだ、そのおかしな桁のレベルは!236だと?!ツッコミどころしかないわ!


そしてステータスとか称号は鑑定不可なんだな。レベルに応じて見れたり見れなかったりっていうのもあるんだろうか。しかしここまでの状況を確認できるなら、俺自身に鑑定をかけるとどうなるだろうか。


それは、帰ってからのお楽しみだ!称号も気になるがまずは試験を終わらせなければ。


「なーんか忙しいね、君の表情って」


いつのまにか目の前にきていたダリアンさんに驚く。

正確にはダリアネスさんなのかな?



しかし、もしかすると、俺はリンダおばあちゃんからとんでもないチートを継承してしまったのかもしれない。

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