まま……
俺はこの前嫌な夢を見たんだ。
少年が川に落ちるのを助けた後、巨人達に囲まれて手がちっちゃくなってたっていう夢。
何を言ってるかわからん?
いや、俺もわからないんですが…
ま、それも夢というわけだ。
夢オチ。
いや、そう思いたい。
なぜなら今目の前にいるのは実家にいるはずのない超スレンダーな金髪外人娘。
蒼色の綺麗な瞳に長い金髪がよく似合ってる。
歳は10代後半ぐらいだな。
そんな人がこんなド田舎にいるか?
「いつもいつもごめんね、テル坊。私おっぱいがでないからこれで我慢してね…」
この未成年は俺のことを赤ちゃんと思ってるのかな?巨人族の赤ん坊はこんなにミニマムなのね。
いや、そんなわけあるか!
僕は思うんだ。これはね、死後の世界なんだ!
で、報われない青年を神様が生まれ変わらせたっていうおとぎ話なわけ。
そんでそんでお金持ちの家に生まれ変わらせてくれて、おかさあさんが超美人、お父さんは無茶イケメン。その間に生まれた俺はパーフェクツ!
………は?
いやいやいや!んな訳あるわけないじゃん
だって、そんな…異世界転生?
や、やだあ、ドッキリ?
でもそんなバカなことあるわけ…
「はーい。……テル?
また食べてくれないの?せっかくお母さんが作ったのにぃ」
おい母さん…生まれて1ヶ月の赤子にお粥?は早すぎますぜ…
毎日こんな調子で1ヶ月が経った。
どうやら元の世界には返してくれないみたい。
我が妹、姫香のトイレを修理してから来たかったものだな。
だが、俺はこの1ヶ月何もしていなかったわけではない。実はずっと言葉の勉強をしていた。
っていうより言語をバッガスが、やたら教えてくれるのでいつのまにか会話もサラサラとわかるようにはなった。バッガスってのはパパのお友達だ。
怖ずらのおっさんだがかなり良い奴。
でも舌や歯が発達しきってないのでまだまだしゃべることは無理そう。
言葉が理解できるようになったから、この辺のことは会話から聞き取ることができた。
もちろん俺のこと、もだ。
俺はリハンっていうこの村のボスと第2警備隊の隊長アンジュとの間にできた長男で名はテルマッド。
最近は国家間で戦争が起きて、いつこの村に火種が飛ぶかわからないらしい。
だから警戒しろーって…。
まあまあまあ。それならばわかる。
元々村落っていうのは、か弱い人間達が群れて自分達を守るための手段の一つだ。
でもここの村人達は少しばかりおかしい
昨晩のことだ。この村の狩場というか農場らしいけどそこに侵入者が来たらしい。
俺は最初、動物か害虫がそんなもんなんだろうなと思った。
で、バッガスとパパとママのお話を聞いてた。
勿論彼らは俺が言葉を理解できるとは思ってないのでペラペラと話してくれた。
その内容は他国の精鋭ばかりを集めた軍隊がこの国の機密情報をスパイするためにうちの敷地に入ったらしい。
その精鋭達は一軍隊を全滅させられるほどの戦力があるそうだ。
で、うちの村が対応した部隊は1つ。
1つで壊滅させたのだ。
ちょっと意味がわからない?
大丈夫、俺もだ。
確かに聞いただけの話だ。
俺はそんな夜中ぐーすかと寝ていたからな。
全く誰かもわからん人間にされた話なぞ信じる方が狂ってる。
でもその話をしてきたのが俺のマミーだったんだ。
俺はアンジュママのことを母親とはまだ完全に信じきれないけど、少なくともアンジュは俺の事を本当の息子だと思ってる。
なら、嘘をつく必要もないはずだ。
だって本当の1ヶ月児だったら言葉も理解してないから。
でもねママ。1ヶ月児に人を殺す時の感覚は教えちゃダメなんだよ?




