赤の色
ブックマークまた一つ。ありがとうございます(泣)
見渡すと周りには、
死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体ーーーー
この細い路地はいつもの見慣れた通りで間違いない。
まさか間違うはずもない。スラムで死体が公に出ることはない。このやり方は完全に部外者だ。
路地から湧き出る臭いは悪臭を保ちながら面積の狭い暗路地の中に立ち込める。俺は猛烈な吐き気に襲われた。しかし、なんとかして持ち耐える。
ここで吐いている場合ではない。実は死人に対して、こちらに来てから抵抗がある。軍が村に攻めてきた時なんかがいい例だ。
壁には日本でもよく見る落書き。いろいろな色で着色されている。だがそれは、真っ赤なペンキで再び塗装されたかのように、ココの人間の血液でドパッと塗り替えられていた。
下を見れば首が飛び、腕が飛び、足が飛ぶ。ざっと数えて20人ほど。そこには知った顔もあった。大通りから裏路地へ帰ってきた者は皆悲鳴をあげて他の路地へと尻尾巻いて逃げ惑う。
そんな中を俺は1人呆然と立っていた。何も感じなかった。何も感じることがないように心が外界との接続を切り落とした。
その中でも少し『気がかり』という種が芽を出した。俺は吐き気と頭痛に耐えながら、やっとの思いで立ち上がる。周りを見渡し目的の女性を探す。
「あ、あぁ。」
そこはいつも彼女が座って占いをしていた場所。その机は破壊され青のテーブルマットはビリビリに破かれており、青白い水晶も美しい欠片となって散り散りに砕かれている。まるで空き巣のようにぐちゃぐちゃにしている。
その近くには剣を右手で持ったビザリア…リンダの息子のうちの1人が倒れていた。後ろからザッパリと斬られたようだ。
それを見た途端ざっと冷や汗が込み上げてきて、すぐに彼に近寄る。首筋に手を当てるが既に脈はなく氷のように冷たくなっていた。
俺は再び息が詰まる。昨日まであれほど親しげに話していた人が突然この世から消えてしまうのはこれほど辛く悲しいものなのか。と。
俺の死に対する覚悟を再び問うようだった。
「リンダばあちゃんはどこだ?!」
よく見るとそこに老婆の姿はなく、息子の片割れもいなかった。もしかしたら無事逃げ切れたのか!
淡く切ない希望が生まれる。真っ白い希望だ。
折角この場所で村以外の人間と巡り会えたんだ。あの人にそう簡単に死んでもらっちゃ困る。まだ話し足りないことでたくさんなのだ。
できればすぐに探したいが俺如きでこの壮大な大きさを誇るウォール街からおばあさんと男性1人を探し出すのは確実に不可能。
なぜか。
裏の奴らにはご存知の通り普通の人間はいない。
皆一派人に比べて戦いの技術が高いのだ。
もし裏路地の人達を殺すのが目的でこの大量虐殺が行われたならば相手は相当の強者。
リンダの息子を殺すことが可能であるのなら俺を一撃で倒すこともできなくはないだろう。
よって探し出せたとしても俺の強さでは対抗できず、結局助けることはできない。それに相手が1人ではないかもしれない。
それに今度はヤハーナさんも戦闘に関しては当てにできない。あの人の所持する魔眼について、この前尋ねたことがある。あの人の能力は殺すか生かすかの2択。だから相手を捕縛することは難しい。
どんな2択だよ、ちきしょー
でもヤハーナさんが使えないのはあくまで戦闘のみ。戦闘以外は完璧なのだ。
課題の試練は明日やるとして今日はリンダおばあちゃんとその息子救出作戦だ。
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身体強化をかけた俺の体はいつもの速さをはるかに超越したようだった。周辺の景色が次々と流れ、空の雲さえ俺の速さにはついてこられないと錯覚するほどに。
それほどまでに冷静で怒っていた。同時に焦ってもいた。人に頼らなければ何もできない貧弱で哀れな自分自身を責めた。
でも自称メンタルは強い俺。結局俺1人がいたところであまり戦局はいいものにならないだろうと言える。だから前向きに、俺がその場に居て死んでいたらこうして彼女を助けるための手段を選べることができなかったと考えてみる。
うん。実にポジティブシンキング!
「ただいま!ヤハーナさん。探して欲しい人がいるんだ!」
「ん…ふぁーあ。んえ、しゃがあしたいひとですかぁ?」
呂律先輩仕事してくださいよ。まあ急に起した俺も悪いかも知んないけど。あと可愛いから許す。
「いつも寝てるんですね?」
「にゅ!しっけいですねー!お仕置きしますよー。なんて、えへへー。」
あ、この人ダメだわ。お酒入っちゃってる。可愛いから許しざる負えんが、昼間っからお酒は感心しないよねー。パパに言っとくか。
蛇足だが、うちの親は元々強い方だったから俺もアルコールにはめっぽうつおい。昼食中の水代わりに飲んでたぐらいだからなー。アル中じゃねーのかって?うるせーよ!ちっげーよ!
………ちがうょ
「とりあえず探知使える?」
「むぅ。そういう流しはダメですよ?でも、つかえるのはつかえまーす。どお?天才でしょ?えっへへ。褒めても何も出ないんだからねー」
今その可愛さいらない!
「早く!魔力の特徴はパパによく似てる!」
「にゅー。わかりましたーだ。どうせ私には魅力なんてないですーだ。」
彼女が探知中にヤハーナさんの体を鑑賞する。やる事がないからね!あの人今、結構はだけてたりする。
上は白のカッターシャツ。ベッドのシーツに凄く会って、女優みたいだ。
そしてパンツは……うん、たぶん履いてる。カッターシャツが太ももまで長くてギリギリな感じがいい!
ん?それになんだ、ボタンは上4つを止めておらず非常に、けしからん。
なぜ飲酒した人間は服を脱ぎたがるのかが理解しがたいところだ。みんながみんな脱ぐわけじゃないけど。
それでもなんでちゃんと服着せないかは、サービスサービス。目の保養!
「んー。ひっかかりましたよー?裏路地の6番街路地ですねー。なんでこんなところに族長がー?」
「さんきゅー。ありがと!」
俺はまだ目が虚ろな天使が大きなあくびをし終わると頬に軽くキスをし、身体強化をかけて窓から裏路地へと走り出した。
「うにゅ?!……はっ!あれ、坊っちゃま…今何を?」
帰ってきた時、彼女と目を合わせるのが気恥ずかしかったことはまだ先のお話。
お読みいただきありがとうございます!
こんなシリアスなお話を書くのは初めてでいろいろおかしい点があるとは思いますが温かい目で見守ってやってください。
アドバイスや感想待ってます!




