うん…だれ?
≪異世界固定職業の条件を達成。条件を満たしたことにより称号を獲得。称号の取得の効果より固定職業スキルが開放されました。≫
「へっ?!」
急に女性の声が機械のような淡々とした口調で頭に響く。焦るがすぐに冷静さを取り戻し周りを見渡す。特に俺のことを注意してみている者がいないことを確認すると強化を体にかけ、できるだけ早い速度で裏路地へと逃げる。
裏路地にちょうどいい隙間があったのでそこに体を入れ込んで呼吸を落ち着かせる。
マジ、ほんとばれたかと思ったよ…
一体なんなんだ、今の音は?異世界なんちゃらとか言ってたが、まさかチート開拓?開拓なのか?
今から俺TUEEEEEEするのか?
ここでどうこうしても仕方ないな。ガジャを上着の内ポケットに入れて立ち上がり再び路地を抜ける道へと駆ける。
確か、あの道を左だったっけな。
左へと体を傾け路地の入り口へと向かうとそこにはあのおばあちゃんが2人の男を連れ未だ座っていた。
「やあ。またあったね」
おばあちゃんは俺と目があうと優しく微笑みこちらへ手招きして椅子に座らせてくれた。
「はい。先ほどはありがとうございました!」
今はちょっと急いでるんだけどこの人に勇気をもらったのは嘘ではないからね。ちゃんとした例もまだだったし。
「その様子だと無事終えることができたんだね。」
「はい!」
ああ。そうだ。課題はクリアした!まだ罪の意識が重く心にのしかかってるけど、どうせやらねばならぬ宿命だったんだ。そう思えば体も軽くなり開放感と嬉々とした表情が表に出てきた。
あぁ、クセになりそう……ってやばいやばい。
「どれ、少し占ってやるかね。」
「お願いします!」
このおばあちゃん占いできるんだね。というか、占いできそうな容姿だけど。
まあこの凄そうなおばあちゃんにタダで占ってもらえるなら貰いもんだ。この機会だし折角だからお願いしてみる。
「………」
「ど、どうしたの?」
急に黙りこけて下を向くおばあさん。まさかなんか悪いことが起きるのか?!まだ2歳だよ?とてつもない波乱万丈な人生を送っちゃうの?!なんか当たりそうで怖いんだけど!
「むふ。やはりね。」
「な、なに?」
「あなたにはこれから色々なことが起こるかもしれないわ。でもめげないで。頑張りなさいよ。」
「は、はい?」
な、なんだ。励ましだったのか。でもなんか力が湧いてくるね。前世からそうだったんだけどテレビとかで出てくるご老人ってのは優しそうな人たちばっかりだよね。
「あの、名前聞いてもいいですか?僕はテルマッドです。テルって呼んでください!」
「ほう。もう名前が言えるのかい?私はリリスっていうよ。また会いにおいで。わたしはずっとここにいるからね。」
別れの挨拶をリリスばあちゃんに告げてから俺は裏路地を抜け大通りを走り宿へと到着した。
宿の戸を開けると1回は宿泊者専用の酒場となっており昼間からの利用者は1人を除いていないようだ。
ここのオムライス?は絶品なんだよね!
「おっちゃん、バードランドの卵被せご飯よろしく!」
料理長兼宿店長のおっちゃんにバードランドというモンスターの卵を被せたご飯を頼む。バードランドは家畜として一般的に飼われていて体長は4〜5mほど。
むちゃ大きい。
さて、座ってるのは誰かな?
あー。迎えの人かな?
ヤハーナさんが言うには違う人が来るって言ってたよね。後ろ姿は女の人っぽいけど…
「…お待ちしておりました。坊っちゃま」
「あ、あの誰ですか?」
前に座る女性は金髪を肩まで下ろし毛先をくるくると遊ばせていて実に愛くるしい女性だ。だが、俺のことを坊っちゃまと呼ぶ者は村の中でも1人しかいない。
が、あの人は代わりの者を寄越すって言ってた。
よってヤハーナさんの妹か、もしくは姉らへんが硬いとこだな。
「あぁ、いつもヤハーナさんにはお世話になっています。帰りはよろしくお願いします!」
「ん?ええ?あ、ああ。はい。わかりました。」
ってもめっちゃかわいいな。ヤハーナさんは髪の毛をいつもポニーテールにしてるからこの人みたいに髪の毛下ろすと印象がまた変わるんだろうなあ。
宿のおっちゃん特製オムライスを思いっきり食べて宿代を払い、酒場をあとにした俺はヤハーナさんの姉妹が乗ってきたと思われる馬に2人股がる。赤色の綺麗な毛並みを靡かせた馬の名はアンジュン。どう考えても俺のママを意識してるとしか思えん。
「それで、まだお使いの成果を聞いていませんでしたね。どうだったんですか?」
「ふふーん。これを見なさい!」
右手でヤハーナさん姉妹の腰に手を回し左手で胸ポケットからガジャを取り出し堂々と見せる。
あんだけ苦労と焦りを感じたんだ。褒めてくれなくちゃ困るわい。
「よくできました、坊っちゃま。これで第2段階に進めますね!」
「うん!……え?…は?」
俺はとんでもないループに飛んでしまったのか?
金髪美女は誰なんでしょうね?




