表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/87

試練

「では、坊っちゃま。しっかり盗ってきてくださいね。」


「わかってますよー。ではヤハーナさんも記憶を消されないようにしてくださいね!」


「2歳児に心配されなくても大丈夫ですよ。」


「では。」


「それでは。」


昨晩あんなことがあったのにヤハーナさんは今日俺のやるべきことをしてくれと言ってきた。彼女がクラウド君を連れて一足先に村へ帰り、代わりの者を寄越してくれるらしい。それまでになんとか終わらさないと。


正直まだ盗むということに抵抗がないといえば嘘になる。綺麗に舗装された街道を歩く足取りも遅い。それほどまでに気分はこれから犯してしまう罪という重りで足を動かすのがいっぱいいっぱいだった。


昨日、人を殺そうとはしていたけどあれはもう良意識が生きてなかったからなー。



そしてその時の嫌な気分も運命だったのかもしれない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ん?ここ…どこ?」


やべぇ。また迷ったぞ。

確か大通りをそのまま歩いて行くと市場に着くはずなんだが。なんでまたスラムに来てんだよ俺。

まてまてまて。ここはやばいだろ。昨日のこともあるし、俺1人だとあいつらがもっと精鋭を連れて……一刻も早く出ないと!




5分ほど走っただろうか。家の屋根を通ればいいだろ?という話なんだけど真昼間だし周りにはスラムの人達が居るからあんまり目立つことは良くない。昨日の今日だからね。


ふと、道の端におばあさんがイスに座っているのが見えた。そのおばあさんは謎めいた雰囲気で直感的にスラムの人でないことがわかった。同時にどこか懐かしいような気もした。


彼女の前には小さな机があり紫の布が被さっていて、その上に水晶が飾ってある。机の前には2人の強面ゴツゴツおじさんが刀を持って周りを警戒している。

占い師か何かだろう。


それにしてもこんなところでやってるのか。絶対占いに来る人なんて居ないのにね。何かの商売なんだろうけど。もし何かの商売なら2人の護衛をつけている意味に納得がつくからね。


でも今は構ってられないや!


「坊や。少しこちらへ来なさい。」


先を急ごうとすると占いおばあちゃんに声をかけられた。うーん。断ってスラムから大通りへ行く道を探すのもいいけど、ここから大通りへ行く道を聞いたほうが早いよね。


「どうしたの、おばあちゃん?」


「お前さん、その魔法をどこで覚えたんじゃ?」


「えっ…い、いやだなおばあちゃん。僕魔法なんて使えないよ?まだ2歳だもん。」


なぜだ?なぜばれてる!だってこの人の前で魔法を使った覚えはないし、まさか知り合いなはずもない。ならばなんだ?これも試験の一環か?


「そうかそうか。わるかったのぉ。これからお主は人生において大事なことをするんじゃろ?」


「えっ、まぁはい。」


俺は頭をかきながら答える。


「それが成功するかは自分次第じゃ。気持ちの持ちようじゃの。さあ、頑張ってくるんじゃ。」


「リンダ様。もう…」


「わかっておるわい。それじゃあの。坊や。」


俺は席を立ちおばあさんの護衛の人に道を聞いてから、お礼を言ってその場を立ち去った。

なんだったんだ、今のおばあちゃん。まるで俺の全てが見えていたようだった。不思議と重りが軽くなったような気がした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



少し走ると無事大通りに出れた。確かこの前はここを右に行ったから貴族の領地の方まで行ったんだったな。ここを左に曲がると……あった!


大通りの道が大きなアーチ状の円形に広がっており左端、中央、右端と3本の本線があって、その本線沿いにたくさんの屋台が出ている。その全てが野菜だ。もちろん全てが日本でお目にかかれないようなもので結構テンションが上がったりする。


この市場は特徴がある。それは一つの屋台には一つの野菜しか売ってはならないという暗黙のルールだ。よってより美味しい野菜が集まるわけだ。



……あれかな。ガジャ専門屋台。屋台主は優しそうなおばさんだ。あの人から盗るのか…やはり気が引けてしまうな。けど、やらなければいけない。やらなければ進まない。ここでチャンスを失えば5年も長く村に滞在し続けなければならない。


「よし。いくか。」


ここでミマーフル先生の話をする。なぜなら彼女の訓練内容が今非常に役立つものだからだ。

先生は人から逃げているのではなく人の視界を駆使して視界の死界に逃げるのだ。それによって消えたように見える。


そして今回は……実はシチュエーションが色々違う。まず店員のおばちゃんから隠れるのは第一前提。

プラスここは人が多い。よって周りの人間の視界からも逃げなければならないので条件が訓練時より凄く厳しいのだ。




結果、俺が立てた計画はこれだ。




雷撃(サンダー)

雷属性の中級魔法だ。これは目視できる距離ならば、どれ程の長距離でもその地点に落とすことが可能な魔法。その点威力は少し劣るけど、今回の使用方法はパワーを必要としない。


ニンザンという人参のような野菜を売っているお店がガジャのお店の近くにある。その屋台の店員がお客と話すために外に出たタイミングでこの魔法をその屋台の天井に落とす。


すると客もガジャの店員おばちゃんもそちらを必ず見る。そこでスッとお店の前に晒し売りされているガジャを手に入れる。



我ながらパーフェクト!

完璧!



早速実行に移す。

ガジャは右端の本線にあり、しかも1番端っこで売っているので隠れやすい。晒し売りの屋台の前まで来ると2個隣のニンザン屋台に軽い雷を落とした。勿論屋台のビニール?屋根が少し焦げる程度だが音は最高級。ゴンッと鈍い音が響き、あたりに焦げ臭い匂いが漂う。


よし、視線が外れた!周りをコンマで確認し一つ、さっと手に取り胸に入れ電光強化を施した足ですぐに本線からズレた。


ふぅ。なんとかやってやったぜ。多分0.6秒ぐらいだろうな。悪いことだけどなんか達成感がある。昔から考えて行動することは嫌いじゃないんだ。本能的に動くことも大切だけどね。


なんて考えていると…


≪異世界固定職業の条件を達成。条件を満たしたことにより称号を獲得。称号の取得により固定職業スキルが開放されました。≫



「へっ?!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ