先輩
瑛花について、大きな画面で説明を始める葵。
そして、まっすぐな眼差しで、真剣に画面を見詰める、高校1年生のときのクラスメイトたち。
その光景を見れば、わたし以外にも喜びと笑顔がにじみ出る人もいるだろう。
「あ..水嶋先輩だ!」
クラスメイトの女子たちが、騒ぎ始めた。
そう、水嶋先輩。
フルネームだと、水嶋馨先輩。
誰もが一度、好きになったことがあるくらい、女子に人気だった先輩だ。
中性的な名前とは別に、顔はイケメン系だ。
1年上のため、たぶん現在20歳だろう。
瑛花と同じ、中央委員会に入っていて、そのときの委員長だった。
話したことはないが、みんなのためにとわざわざ会場に来てくれたのだった。
画面での葵の説明が終わったあと、
水嶋先輩の周りには、女子がたくさん集まっていた。
女子の波に飲み込まれたわたしも、水嶋先輩の周りに来ていた。
すると、水嶋先輩と目が合ってしまった。
水嶋先輩はわたしの方に来て、何かの資料を渡してくれた。
「大学のサークル」
「?」
「瑛花は俺と同じ大学に入ってる。1年前から来てないけどね」
「大学..ですか」
「サークルの集まりで一回会ったことがあるんだ」
近くの座るところで、資料を見せながらわたしにいろいろ教えてくれた。
「そのとき、瑛花と両思いって噂の出た男子が、事故で亡くなって」
「....」
「それが、瑛花の苦しめた原因かもしれないよ?」
この話は本当なのか..
わたしの記憶に、刻まれた。
新しい現実が。




