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相笠さんは金縛りくんにイタズラしたい  作者: おりみみ


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第17話 デートタイム到来です 番外編4/6

「あれ、こんなところに野生のバカップルがいますよ」


 あ、パクチーをすれば美少年こと亀石さんです。横に美少年と釣り合わない大柄な男性がいますね。


「水族館でだなんて偶然だな。横にいる男の人はお兄ちゃんだったり?」

「お兄ちゃんですねえ」

「お、おう、始めまして」


 亀石兄は大きな手を後頭部に当てて小さくお辞儀します。お兄ちゃんにしては似つかない風貌ですね、猫と虎が歩いてるみたいです。


「弟さん、パクチーが無くなりそうなので補充分ください」

「あ~いよ、パクチー同士が増えて僕も嬉しいものです。そろそろ大学でパクチー愛好会を作っても良い頃ですね」

「「……」」


 パクチーを頬張り合う二人を、珍生物を見るかのようにする無言な男組。そんな男組を思っての美少年がパクチーを手提げ袋から出し。


「二人もどうぞ」

「「いえいえ」」

「……」

 断られた亀石さんは、行き場を失った手のパクチーを持ちながら歩くペンギンに目をやります。


「ダメだよ? いくらなんでもペンギンにご挨拶パクチーはダメだよ?」

「「そうですよ」」


 汗垂らして止める兄と便乗する私達。激カワ生命体に、この世の不味を教えてはならないのです。

 三人が両手を広げてペンギンガーディアンをしたお陰か、パクチーを手提げ袋に戻してため息をつく美少年。やはりこのパクチー悪魔、自分が美少年だからと何しても許されると思っているに違いありません。


「蓮、私達は尊い命を守ることが出来ましたよ、これで世界平和が訪れます。なのでペンギンショーしてください」

「話飛躍しすぎ。ペンギンでも空飛べる勢い」


 ペンギンお守りパワーでもダメでしたか、仕方ないですねもう。


「そういえば相笠さん、幼馴染で彼氏な笠原さんにも敬語なんですね。相笠さんが敬語じゃない時見た事ないので、タメで笠原さんと喋ってくださいよ」

「それはまた急ですね」


 蓮にタメ口……そういえばしたことないですね。正直私が蓮にタメ口で会話する想像が出来ないレベルで違和感があるのですが、ここは勇気の一歩を踏み出す時ですよ!


「あの、れ、蓮ッ……」

「愛ちゃん……無理しなくていいんだぜ? 別に俺は敬語の愛ちゃんのままでも気にしてないよ?」

「相笠さん……でしたっけ、湊の言った事を間に受けなくて大丈夫。こいつは人を巻き込んではほくそ笑むクズですから」

「いや、タメってみますよお二人さん」


 兄の心の無い言葉に、特に気にもとめない美少年クズ。言われ慣れているのでしょうね。

 私は深呼吸をしもう一度。


「蓮……私、私ね、ぺぺ、ペンギンショーする蓮がみみ、み……」

「もしかしてタメ処女とかですか?」

「「「タメ処女!?」」」


 爆弾魔がここにもう一人いました!

 あと私の勇気のタメ口を遮らないでくださいよ!


「湊……発言には気をつけろ。今日の帰りに買うパクチー抜きにするぞ」

「そもそもタメ処女ってなんですか?」

「タメ口を他人にした事が無い人です」


 蓮も知ってますかという目線を蓮に送る。そんな私を見て首を横に振りながら。


「俺も聞いた事ないけど」


 そんな困り果てる三人に当然の如く亀石弟は言い放つ。


「まあ僕が今作った概念なので」

「もう自由人じゃないですか」


 この道に佇むパクチーはほっといて蓮にタメ口しましょう。


「良し蓮、今度こそタメ口しますよ。私の処女を貰ってください!」

「その言い方やめて!」

「私の初めてを貰ってください!」

「いやそうじゃなくて!」


 私は二回目の深呼吸を終え、蓮を見つめながら手を繋いでいる右手を固く握ります。


「蓮ッ……!」

「愛ちゃん!」

「……やっぱり後でセットであげます」

「ま、まあ無理しないで良かっ……セットって何!?」

「もうバカップルはおいて散歩ペンギンを追いかけますよ」


 場を荒らした本人がそんなことを言って、兄と共に行ってしまいました。兄が後ろを向いて謝るポーズをしながら、申し訳なさそうにしている姿が可哀想ですね。


「なんか嵐のように去っていったな」

「これが嵐を呼ぶ疾風伝ですか」


 そんなことを言いながら、私達はまだ行っていなかったクラゲコーナーに向かって行きます。

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