第16話 デートタイム到来です 番外編3/6
室外に出たのでもう安心です。しかし、あのポミュ感が手から無くなってもの足りないですね、ここは元カレに癒して貰いますか。また蓮のお腹に手を突っ込むと、蓮が心配そうに私の顔を覗き見て来ます。
「愛ちゃん大丈夫か? さっきから慌ただしいけど……やっぱり元カレ、腹筋と別れて、腹筋チャージが足りないのか?」
「えええ!? ご、ごめん蓮ッ私は蓮だけで満足してますから! 蓮といるだけで幸せですから!」
蓮に変な心配をかけてしまいました……このままでは水族館デートが台無しです。私は元カレとさよならしたんです、だからもう元カレを触っては……
蓮は私の言葉に少し照れながら言います。
「まあ俺の腹筋と別れるも何も、腹筋も俺の一部なんだから、愛ちゃんは実質腹筋とも付き合ってるもんでしょ」
「え、ええええ!? 腹筋と蓮どっちも付き合うのってアリなんですか!?」
「そりゃまそうなる」
わわわッ腹筋、腹筋と蓮をどちらも独り占め出来るだなんて……これ以上ない幸せです。こんな幸せな人間が居ても良いのでしょうか。
「あの、いつでも腹筋を堪能出来るよう、へそ出しコーデしませんか?」
「流石にそれは腹筋に要相談ということで……」
ちぇ。腹筋は即承諾すると思いますけどね~。
そんな蓮にひっつき虫な私は、室外の道を列になってペチペチ歩く激カワ生命体を発見します。
「わぁ! ペンギンですよ!」
「めっちゃレアじゃんあれ! もっと近くで見ようぜ!」
興奮した二人は、鳥のようにバタつかせながらペンギンに向かいます。その姿はペンギンからしたら頭のおかしい外敵が現れたのも当然。列の最後尾に居た二人の飼育員さんに集まってしまいました。
「ああごめんなさい、驚かすつもりは無かったんです」
最上列に居る一人の飼育員さんがペンギンにエサを与えながら。
「いえいえ大丈夫ですよ! 今ペンギンショーが終わって、水槽まで散歩中なんです。ここの線までであれば近づいて構いませんよ」
よく見たらペンギン達が歩く道に白い線が引いてあります。二本の線を道路のようにして歩いていたんですね。
「やべ、ペンギンショー観るの忘れてた」
蓮が思いの外ショックな表情をしています。両手が塞がっているので、蓮のショック顔をスマホカメラで撮れないのがまた残念。
「蓮がペンギンの代わりにペンギンショーしてください」
「そんな無茶な……え、しかもペンギン側?」
「ご褒美もありますよ?」
「バックから取り出したそのパクチーがご褒美?」
「口移しでどうですか」
「そこまでして人間ペンギンショー観たいの!?」
ちぇ。パクチーではダメですか、今度はバックに冷凍庫ごと魚を持って来なければいけないようですね。
手に取ったパクチーを頬張りながらそう思う私に、蓮はパクチー食ってやがると言わんばかりな視線を送って来ます。なんかパクチー貰ってく内にこの不味みが欲しくなっちゃったんです、あの美少年は私にパクチーを教えてしまった罪深き人間なんですよ。




