Lo185.私は頑張って事情を話しました! だから次は貴方の番です!!
前略。私の素性もついにバレちゃいました。
そう、私の正体は……『ハルテンの小さな勇者』にして『10人目のSランク冒険者』……
人呼んで『幼女勇者チーちゃん』だったのです!!!(熱いタイトル回収)(別に呼ばれてない)
というわけで大体洗いざらい話しました。
私がアワシマ様に『勇者』として魔王討伐するように言われたこと。
転生して半年前にこの世界に来てたこと。
ハルテンで悪神を倒したこと。
私がロリコンの漫画家であること。
そして【魔王の影】に遭ったこと……
今、エールちゃんに黙ってた罰としてほっぺをつねられてます。
流石に幼女を殴るのはエールちゃんも気が引けたようですね。
「いたいれふ~」
「……あなた、ちょっと喜んでませんか?」
「ふぇっ、じぇんじぇん?」
私のほっぺはもちもちほっぺ。良く伸びるので実はあんまり痛くありません。
いや、ちょっと痛いです。でもまぁ、幼女にされるならご褒美ですね!
「しかし……『勇者』ですか。これが、今代の……」
「たしかに闇龗神様はチーちゃんのことを『巫女っぽいなにか』とか言って魔法少女とは明言はしてなかったけど……私達が助ける勇者って、これなの?」
「チェンジ」
「草。これが勇者の姿か……?」
なんか皆から散々なこと言われている気がします。
まぁ私も同意見なので、自分の見解を述べます。
「えっとですね。確かに私はアワシマ様に『勇者』として転生させてもらいましたけど……別に私1人が勇者じゃないのでは?」
「ふむ、どういうことですか?」
「以前、ユナさん……私を拾ってくれた恩人から話を聞きまして、彼女の旦那さん?的な人が『転生者』だったらしくて……」
私は以前、ユナさんから聞いた話をしました。うろ覚えですけど。
そう、ユーくんの父親の話です。
なんか転生者でめっちゃ強かったとかそういう話でしたけど、ハーレム作ってユナさんとの子供も作って王女と駆け落ちした後、行方不明に……
……あれ? 今気付いたんですけど、ユナさんって元々どっかの国の姫様だとか誰か言ってなかったですか? じゃあ駆け落ちした王女って、ユナさん本人?
「……そんな感じでユナさんも刀巫女で転生者なんです。なんでしたっけ、ユナーリア姫って言いましたっけ? おフランス共和国かどっかの……」
「……話があちこちに飛んで良く分かりませんが、なんとなく言いたいことは分かりました。もう少し話すことを整理してください」
「あ、はい。自分でも良く分かってませんので。あと色々忘れてます」
「多分それはオ・ルフレンス騎士王国ですね。10年前に滅びたという。ユナーリア姫……少し調べてみる必要がありますね」
まぁぐちゃぐちゃでしたけど、なんとなく伝えられた気がします。憶測で話すの苦手なんですよねぇ。
「じゃあチーちゃんの見解では、そのユナさんって人が勇者?」
「いえ、ユナさんの旦那さんもなんか怪しい気がします。ユナさんから聞いた限りでは、よくラノベとかで出て来そうなチートハーレム主人公っぽいですし」
「……あくまで推測。アテにはならないということ」
「そういうことです。可能性の話です」
そんなわけで、別に勇者が私一人ではないかもって思ってます。知らないですけど。
それにユーくんだって……私が会った中では一番の勇者です。これは言わないですけど。
私はエールちゃんに向き直ります。
「と、いうわけで私の事情はあらかた話しました。次はエールちゃんのことを話して欲しいです」
「……私の話、ですか……」
エールちゃんは口ごもりました。むぅ、私にだけ話させておいて卑怯ですね。
それならばエールちゃんが食いつきそうなとっておきのネタを投下してやります。
「私はハルテンって国で二人の冒険者に助けられました。一人は鎧の騎士、ガイナスさん。そしてもう一人は、盲目の聖女シャイナスさんです」
「え……シャイナス……さま?」
その名前を出した瞬間、明らかにエールちゃんに動揺が走りました。目がカッと開き、呼吸が乱れています。普段、感情を露わにしない子なので、その様子から衝撃の大きさが分かります。
「……その人たちは、どうしていましたか?」
「どうやらご存じのようですね。イーグレスでは指名手配されてるらしいので今まで話しませんでしたが……エールちゃんが事情を話してくれるなら、私も彼らのことを話しましょう。その前に聞きますけど、エールちゃんはシャイナスさんの味方ですか?」
「味方?……いいえ。私はあの人の全てを奪ってしまったので、敵かもしれません」
え、敵だったんですか!? アテが外れました!
エールちゃんは良い子なのでてっきり味方だと……?
しかしエールちゃんは話を続けます。
「ですが、シャイナス様は……私にとって、この命より大切な人です。話してくれませんか? 彼女のことを。彼女はどうしてました?」
エールちゃんはすがるように言いました。この反応は……敵では無いってことでいいんですかね?
でもまぁ、それはそれ。これはこれです。
今度はエールちゃんに事情を話してもらいますよ?
「むぅ……とりあえずエールちゃんの話を聞いてから決めます!」
「……分かりました。私の事情をお話します。私と……先代の特級聖女シャイナス様のことを」
そうして、エールちゃんは堅い口をようやく開いたのでした。




