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幼女勇者チーちゃんの異世界奮闘記 ~限界ロリコンアラサー女がオリキャラ幼女に転生した結果 ><~  作者: オフィ


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183/242

Lo183.魔法少女と勇者のクエストの始まり

 ルナ子ちゃんやきなこちゃんは……【勇者召喚】で連れてこられた転生者たちは、ここに来る前に【魔王】と会っていた……?

 私にとっても衝撃の事実です。あの【魔王】が、この子達に……?

 サクちゃんの命を奪った、あの魔王……【黄泉津大神 (ヨモツオオカミ )】が……?


 それを語った後、ルナ子ちゃんが膝から力が抜け、崩れ落ちました。


 ルナ子ちゃんが子供のように泣きじゃくってました。西蓮寺さんは、わけもわからないまま泣いているルナ子ちゃんをあやすように撫でてます。

 それをきなこちゃんは複雑な顔で見ています。


「わ、私達は、あのとき、あの恐ろしい影と戦って……みんなを守ろうと、したのに……なのに……」


 ルナ子ちゃんの目からボロボロと涙が流れます。


「勝てなかった……ごめん、ごめんね、私が弱かったから、みんなを護れなくて。私が……」

「……もういい月子ルナシー、護れなかったのはワタシも同じだ。お前のせいではない」

「でも、でも、私がちゃんと護ってたら、みんな死ななくて……」

ふぁっきゅーばかやろう……」


 自分を責め続けるルナ子ちゃん。きなこちゃんが顔をしかめながら目をそむけました。

 二人とも、自分の無力感に打ちひしがれているようでした。


 私には彼女たちに何があったのか、その詳細は分かりません。分かりませんが……

 私はあのとき、サクちゃんの命を奪った魔王の影のことを思い出していました。あの悲劇が、この子達にも……


 闇龗神(くらおかみのかみ)は言います。


「……【勇者召喚】というのは偽りの儀式だりゅ。本当は逆。あちら側に魔王を呼び寄せる……【魔王召喚】の儀式なんだりゅ。お前たちは、この国が行った愚かな行為で死に、この世界に連れてこられたりゅ」

「じゃあ……私達は死んだの? じゃあここは……この世界は、『あの世』なの?」

「いや、少し違うりゅ。ここはお前たちの住んでいた世界と隣り合う別の世界……」


「【常世の国とこよのくに】と呼ばれる世界りゅ」


 常世の国。そう闇龗神(くらおかみのかみ)は言いました。私も初めて知る事実です。

 私も過労死で死んでからこの世界に来たはずですけど、私達は死んだわけではない……ということなんですか?


常世とこよの国……それは、あの世とは違うんですか?」

「元々は、死者の住まう【黄泉よみ】という世界があったりゅ」

「黄泉……? この世界が?」


 黄泉……それはあの世のことを意味します。


「この世界が黄泉だとするなら、やはりあの世なのでは?」

「んや、元々はそうだったんりゃけど、そこが色々と変遷して今の形になったりゅ。この世界をそう変えたのは、人々の願いりゅ」

「人々の……願い?」

「死後の世界を作った人々は思ったりゅ。『死んだ後もどうかご冥福をお祈りします』と。そこから人々は、死んだとしても『別の世界で生きてる』と思うようになり、死者の国に命が吹き込まれたりゅ。

 それが、この【常世の国】」

「常世の国……本来あの世だったはずの場所が、今は違うということ?」

「そういうことりゅ。例えば……『アガルタ』、『シャングリラ』、『ニライカナイ』、『幻想郷』……そして【常世の国】。

 人々が願う、隣り合った異世界の一つ。それがこの世界りゅ。」

「ここが人々が願う……異世界の一つ?」

「つまり、ここは死者の国ではなく、お前たちは今この世界で『生きてる』りゅ」


 この世界で生きてる。ここは死者の国ではない。そう闇龗神(くらおかみのかみ)は言いました。

 ……確かにそうです。この世界の人たちは生き生きとしていて、ちゃんと生きてます。

 私の漫画を読んで、楽しんでくれる読者もいます。

 ちゃんと……みんな生きてるんです。


 私達はただ死んだんじゃなくて、この世界でやり直し出来るんです。


 しかし西蓮寺さんは空気を読まずにぶっこみました。


「……でもそれって元の世界で死んだということには違いない……よね?」

「それは……まぁ、そういうことりゅ」

「やっぱり死んだんだぁ……私があのとき負けたから……!」

「西蓮寺さん、空気読んでください」

「ご、ごめんなさい……」


 全くもう、これだから西蓮寺さんは。ルナ子ちゃんまた泣いちゃったじゃないですか。

 ルナ子ちゃんは泣きながら言います。


「もう、家族には会えないのかな……友達とかには……きっと悲しんでるよね……」

「死んだことは覆せないりゅ。だけど実は条件付きで会うことは出来りゅ」

「本当!?」


 え、そうなんですか? 普通はこういうの、元の世界に帰れなかったりするんですけど。


「ただ、その道は魔王によって塞がれてるりゅ。魔王を倒さないことには、その希望は叶うことは無いりゅ」

「そこでまた魔王? この世界の魔王って一体何なの?」


 闇龗神(くらおかみのかみ)はその質問に少しだけ沈黙し……恐る恐るその名を口にしました。


「魔王の名は……【黄泉津大神よもつおおかみ】。我ら神々の母、【伊邪那美命いざなみのみこと】のなれ果て。

 そして今は……この世界に死と混沌をもたらす魔王だりゅ……」


「ヨモツオオカミ……そしてイザナミ……」


 ルナ子ちゃんがその名前に衝撃を受け、打ちひしがれたようにぼそりと呟きます。


伊邪那美命いざなみのみこと……それは私も知ってる。そうか……相手は創造の夫婦神の片割れ……【神】なんだ……あのとき私達が戦ったのも……」

「うりゅ。そういうことだりゅ。【勇者召喚】の儀式によって現世に【魔王の影】が一時的に降臨し、お前たちの命を奪っていったりゅ」

「そっか……神様相手じゃ勝てないわけだ……私程度じゃ……」

「いいや、勝てるりゅ。【真の勇者】なら勝てる」


 落ち込むルナ子ちゃんに、闇龗神(くらおかみのかみ)はそう断言します。


「……【真の勇者】? それってどういうこと? 『勇者』の天恵ギフトを持ってる高橋は違う?」

「あれは偽物の希望。本物の勇者は他にいるりゅ」

「本物は他に……?」

「ただ、本物の勇者でも今の魔王には勝てないかもしれないりゅ。今の魔王は過去最強。かつて勇者が戦ってきた魔王とは比べ物にならないほど強いりゅ。ただ、それは勇者一人での話りゅ」


 闇龗神(くらおかみのかみ)はそこで話を区切ると、私達をゆっくりと見渡しました。

 一瞬、私のところに目が留まりましたが……何事も無かったかのように言います。


「お前たちは、魔法少女の力で勇者を助けるりゅ。そして、この世界……【常世の国とこよのくに】を救ってほしいりゅ」


 ……まるでそれは、壮大なクエストの始まりを宣言するようでした。

 きなこちゃんは言います。


Huuumフーム、だが勇者ではなく……ニンジャが魔王を倒しても構わんだろう?」

「え、きなこちゃん?」

「いや構うりょ。ニンジャじゃ雰囲気台無しだりゅ」

「いや、倒す。ワタシと月子ルナシーに敗北の屈辱を味わわせてくれた相手。故に神とて今は敵。キルゴッドかみぶっころす


 きなこちゃんはそう力強く宣言しました。まるで私達を勇気づけるように。

 そしてルナ子ちゃんに振り向き、聞きました。


「オヌシはどうする月子ルナシー。そこで縮こまって泣いているだけか?」

「わ、私は……」

「ワタシは知っている。『なんとなく魔法少女を続けてるだけ』とオヌシは言ってたが、本当は本心から一般人モータルの人々を助けることが好きで、それが何より幸せだと思っていることに。

 誰よりも熱い情熱を持っているがゆえに、救えなかったことに泣くほど後悔するオヌシのことを」

「そんな……それは買いかぶりすぎだよ。私はただ……なんとなく……」

「いや、買いかぶりじゃない。私の月子ルナシーを侮辱するな月子ルナシー。オヌシごときが月子ルナシーの何を知っている?」

「ええー……? 私は私なんだけど……」


 ルナ子ちゃんはきなこちゃんの言い分に困惑してますが、言いたいことは分かります。きなこちゃんはルナ子ちゃんのことが大好きなんですね。

 西蓮寺さんが、顔をあげて闇龗神(くらおかみのかみ)の前にずいっと進みます。


「……契約する。私を魔法少女にしてほしい」

「静香ちゃん……いいの?」

「うん。私は知らなかった。月子が私達の為に魔王と戦ってくれてたこと。私も、月子と一緒に戦いたい。だから力が欲しい」

「静香ちゃん……」

「というか私だけ仲間外れにされるのめちゃくちゃ寂しいし絶対魔法少女になる」


 西蓮寺さん、それ一言余計ですよね。良い感じにカッコ良かったのに。

 でも、たぶんそういう子なんでしょう。わざと重荷にさせないように、冗談めかして言ってる気がします。良い子なんです。たぶん。

 よーし、ここは私も便乗です!


「ふふん、ルナ子ちゃん。これからはこのチーちゃんも一緒に戦うから安心ですよ?」

「あ、チーちゃんが……? ええっと……」

「その反応に困るみたいな感じやめてくださいよ!? 私も仲間ですよね!?」

「う、うん。そうだね。仲間だね」


 くぅぅ、感動的な場面でかっこよく宣言したつもりが、幼女パワーが強すぎたせいでちょっとギャグっぽくなってしまったじゃないですか!

 ルナ子ちゃんはくすりと笑いました。


「でも……そっか。チーちゃんが……なら、安心……なのかな?」

「……え、安心なんですか? 私で?」

「うん、チーちゃん。私ももう一度、魔王と戦うよ。一緒に戦ってくれる? 私達のリーダー」

「……あれ? 私、いつの間にリーダーにされてたんですか?」

「チーちゃんってそういうとこあるよね……」

「脳が心配」


 あれ、なんか心配されてます!? え、だって、リーダーっぽいことしてましたっけ私?

 なんかこう、ダンジョンに入ってからずっとベテラン魔法少女2人に引っ張られてた気しかしないんですけど!

 ま、まぁいいです!


「と、いうことなので闇龗神(くらおかみのかみ)さん! 私達の結束も深まりましたので、ちゃっちゃと西蓮寺さんを魔法少女にしちゃってください!」

「あ、仕切り出した」

「今思い出したようにリーダーっぽい存在感出そうとしてるね……」


 いや、どっちですか!? 私をリーダーに祭り上げておいてこの言い草!?

 もー、この子達はもー!


「うりゅ。じゃあ西蓮寺静香を魔法少女にするりゅ~」

「……うん、お願い」


 闇龗神(くらおかみのかみ)は小さな両手の手の平を西蓮寺さんに向けました。

 その手の平から、血のような赤いもやもやが出てきます。それを見て、西蓮寺さんはちょっと引きました。


「あの、この赤いの何……?」

「これは魔法少女になる為の加護りゅ。赤いのは……くらちゃんが神の流した血から生まれたから、その名残?」


 ところどころ物騒な由来の神様なんですよね闇龗神(くらおかみのかみ)。本当に悪神じゃなくて良い神様なんですかね?

 西蓮寺さんに向かって赤いモヤモヤは流れていきます。

 西蓮寺さんは意を決してそれを受け入れ……るところで思い出したようにルナ子ちゃんの方に向き直りました。


「あ、言うの忘れてた……これだけ言わせて」

「何? 静香ちゃん」

「……ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる」

「私、ほむらちゃんじゃないから!?」


 西蓮寺さんは『魔法少女まどか☆マギカ』の名台詞を言いながら、赤いもやに包まれたのでした。

 いや、こんなんでいいんですか貴方!? ここは魔法少女になる重要な局面ですよ!?

 そもそも西蓮寺さんはどうみてもまどかじゃなくて、ほむらちゃんタイプの陰キャじゃないですか!!


 そう思っているうちに西蓮寺さんを包んでいた赤いモヤモヤは晴れました。


 ……そうして、また新たなる魔法少女が一人、この世界に誕生したのでした。


 西蓮寺さんの衣装は魔法少女への変身により変化し、魔女っぽい服装からちょっとだけ露出度の増えた魔法少女っぽい姿になりましたが……

 その姿のお披露目は……そうですね。きっとピンチになったときにお目にかかることになるでしょう!

 そのときまで楽しみにしてください!(これは誰に向かって言ってるんだろう?)

【闇龗神(くらおかみのかみ)】

ちょっと聞いたことの無いマイナーな水の神様。ゲームとか漫画とかで全く見たことが無いです。

とはいえ、祀っている神社はそれなりにある模様。貴船神社、闇龗神社など。主役級ではなく、合祀されているのも数えるなら全国100社以上はありそうです。

流石は水を司る神様だけあって、農業国の日本では古くから信仰されているようですね。


闇龗神はイザナギがカグツチという火の神を斬り殺したときに、その剣先からしたたる血より生まれた神様です。

闇とかついてるけど、全然邪神や悪神の類ではなく、ただの良い神様。

気になって色々調べてみましたけど、祟りとか全然無いっぽい? 良く分かりません。


(ここからはこの小説でのオリジナル設定)

その姿は美女のように描かれることが多いのですが、今回どこかのロリコンの思念をキャッチしたのか何故か幼女の姿になりました。その頭には龍の角が生えており、髪の色は暗青色でボサボサ。目は血のように赤い。きっとそんなデザインです。

水のようにつかみどころの無い性格をしており、本人は自分の姿を特に固定する気は無いようです。むしろ「美女は時代遅れかもしれないし競合多そうなので、いっそ幼女の姿のままでいいかな?」と思っている様子。たぶん幼女の姿だと信者が増えます。可愛いので。

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― 新着の感想 ―
ああ、この異世界=常世の国で、イザナギとイザナミの決別の神話の舞台はまさにここだったのか。 それでサクちゃんは生まれも育ちもこっちの世界で地球情報は伝聞でしか知らなかったと。
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