Lo181.悪い神様じゃないよ! 闇龗神(くらおかみのかみ)
宝箱を開けるとあたりが闇に包まれ、【ダークネス・ドラゴン・ゴッド】もとい【闇龗神】が姿を現しました!
闇のドラゴンさんが言います。
──そろそろ普通に話したいんだけど、人間の形取っていい?──
急にフランクな喋り方になりましたね!?
あ、もう別にいいですよ? お好きなようにして。
──じゃ、そーすりゅ──
気の抜けた台詞とともに闇龗神さんの身体が血のような赤い水に包まれました。
赤い血のような球体がギュムギュムと縮まっていきます。おお、なんか怖いですね。
やがて赤い球体は小さな人の形を取りました。
そこから現れたのは……龍の角の生えた……暗青色のボサボサ頭の…………幼女です!
……幼女ならばよし! 全て許します!!
「……りゅ、この姿は……? どーやら思念に感化されてしまったらしい……相当なロリコンがこの場にいると見たりゅ……」
自分の身体を見ながらそう呟くと、私の方をじとっと見ました。
え、私? 私がなにかしましたか?
「んりゅ……もう喋っていいりょ~。沈黙の効果は消すりゃ~」
そして闇龗神は指パッチンをしました。
ん? 今まで喋れなかったのは何かしてたってことですか?
とりあえず声を出してみます。
「……あ、あ、あー。喋れます」
「wi……ちょっと驚いた」
「神様かぁ。突然でびっくりしたね」
魔法少女2人はあんまりびっくりしてないように言いました。
ホントに驚いてますか貴方たち。まぁ私はこれで神様によるダンジョン内拉致は2回目ですけど。
「えと……貴方は……? そしてこの空間は……?」
西蓮寺さんが恐る恐る聞くと、幼女は答えました。
「ここはくらちゃんの神域~。ようこそー【聖湖の迷宮】の深淵へ~。うりゅが『ダンジョンマスター』ってやつりゅ~」
「神域……? ダンジョンマスター……?」
「まぁそこりゃへんはどうでもいいりょ」
微妙に舌足らずな声で話す闇龗神。かわいいです。
魔法少女2人が落ち着いてる中、西蓮寺さんだけはちょっと混乱してるみたいです。
無理も無いでしょう。こういう不思議体験はあんまりないですからね。
西蓮寺さんは首を傾げながら推察します。
「……闇のドラゴンでダンジョンマスターってことは……魔王の味方……?」
「ふむ。なんせダークネスなドラゴンでゴッドですからね。悪神の一種だったりするんですかね?」
私達がそう推測すると、闇龗神はそれを否定しました。
「ん? よく勘違いされりゅんだけど、うりゅは『闇』とか名前についてりゅけど、別に悪神でもなんでもないりゅ。こう見えて水の神様で、農業とか山の水とかのご利益があるりゅ。名前に反して闇は全然操れないりゅ」
「操れないんですか!? ダークネスさんなのに!?」
「操れないんだりょ。ダークネス・ドラゴン・ゴッドさんなのに。水の神様だから。自分で言うのも何りゃけど、普通に良い神様側寄りだりょ」
なんと、ダークネスさんは普通に良い神様っぽいです! 闇なのに!? というか水属性なんですか!?
「なんか宝箱開けた時にもくもく出てた闇は!?」
「ん? たぶん墨汁っぽい何かだりゅ。細かいことは気にしないでいいりゅ」
「墨汁なんですかあれ!?」
どうやら宝箱開けた時のやつは闇ですらなかったっぽいです! じゃあなんだったんですかあれ!?
「くらちゃんは血の中から生まれた神様だりゅ。さっき人間の姿を取るときも血に包まれてたりょ? 姿を変えるときはああいう変化を取ってしまうりょ。びっくりしたりゅ?」
「まぁ、びっくりしましたけども……というか最初に龍の姿で出てきたのは何だったんですか?」
「演出だりょ演出。神様は色んな姿で現れるりゅ」
「喋り方が最初と変わってるのは?」
「特に意味はないりゅ。威厳っぽいの見せてビビらせりょかなーと思ったのに全然ビビらなくて拍子抜けだりゅ」
いや、私は割とビビりましたけどね。魔法少女2人が平然としてたのでなんとなく落ち着きました。
そして闇龗神さんは私を指差して言いました。
「そして人の形を取るときに予想外に幼女化してしまったのは、この場にいりゅ強いロリコンの影響を受けてしまったからだりゅ……」
「……えっ、私のせいですか!?」
「くらちゃんみたいな割とマイナーな神様の姿は人の思念の影響を受けやすいりゅ。おまえらは闇龗神がゲームとかアニメとかに出てるの見たことあるりゅ?」
え、闇龗神がゲームとかで……? いや、そんなの見たことも聞いたこと無いですし……
他の3人も首を横に振りました。あ、やっぱ見たこと無いですよね。
「……そうなんだりゅ。闇龗神はゲームとかでも扱ってもらえないマイナーな神様りゅ……だからイメージが不安定なんりょ……闇でドラゴンという美味しい属性を持ってりゅのに……」
「でも闇じゃなくて水属性なんですよね?」
「そうだりゅ……闇操れないりゅ……」
うん、そうですね……ゲームとかに出てこないのちょっと可哀想ですね。
あ、なら今度私が描きましょう! とびっきり可愛く描いてあげますね!
「邪な思念を感じるりゅ……」
「私ですか!?」
「おまえ以外いないりょ……」
なんか幼女に睨まれました。うぅ、私は善属性のロリコンなのに……
そんな茶番をしていると、ルナ子ちゃんが敬語で闇龗神に尋ねました。
「それで……あなたはどうして私達をここに連れてきたんですか? 神様の目的は何でしょう?」
「んりゅ。そうだりゅ。それを話すんだったりゅ」
こほん、と闇龗神は咳払いをします。
まぁ今更取り繕っても威厳はあんまり無いんですが。
闇龗神はまず、きなこちゃんを指差しました。
「猿田彦神の巫女……」
次にルナ子ちゃんを指差します。
「月読命の巫女……」
そして私を指差します。
「そして淡島神の巫女……っぽいやつ……?」
「っぽいやつなんですか私!?」
ふむ、どうやら闇龗神が言うには……
望月きなこちゃんは『猿田彦神の巫女』。
須木月子ちゃんは『月読命の巫女』。
そして私は『淡島神の巫女っぽいやつ』らしいです。
そういえば魔法少女の前身が巫女だとかいう話、こないだルナ子ちゃんから聞きましたね?
アワシマ様に選ばれた私と同様に、きなこちゃんとルナ子ちゃんも別の神様に選ばれたってことで合ってますか?
じゃあ……もしかして私も魔法少女……だったりするんですか!?
「あー、なんとなくチーちゃんはそういう気配あったけど、私達と同じ巫女だったのかぁ」
「wi、不思議な感じはした。きっと分かるやつは分かる。あいどんのぅ」
「今まで色んな魔法少女に会ったことあるけど、淡島様の巫女は今まで会ったこと無いなぁ……」
魔法少女2人はどこか納得したように顔を合わせています。
え、ほんとに私も魔法少女で良いんですか!?
アワシマ様からは『勇者』とか言われてた気もしますけど……魔法少女ならそれはそれでいいと思います。可愛いので!
「3人も巫女がいるとは、揃いも揃ったもんだりょ」
闇龗神はうんうん、と頷きます。
そしてこの中に仲間外れが1人……西蓮寺さんがおずおずと手を挙げます。
「……私は?」
「ん? おまえは一般人だりょ」
「草ぁ……」
西蓮寺さんは草を生やしつつも、ずーんと落ち込みました。どうやら仲間外れが嫌だったようです。
この人、「人の多いところ嫌い」とか言いながら、割と友情に飢えているところあるんですよね……ちょっと私が共感を感じるのはこういうところというか。
そう、つまりめんどくさい陰キャです。
「まぁまぁ、そんなお前に良い提案があるんだりょ。というか今回呼んだのはお前だりょ」
「……え、私?」
まさかのご指名。というか西蓮寺さんが75階層まで飛ばされた主犯だったんですか!?
てっきり私が原因かと思ってました! 自意識過剰乙です!!
闇龗神は西蓮寺さんにある提案をしました。
「お前も巫女にならないか? そうすればこの3人と並ぶ力を得ることが出来りゅ」
「……私も……巫女に? それって……」
「つまり、魔法少女になるってことだりゅ。この闇龗神の力を得て。どうすりゅ?」
闇龗神はそう言って、西蓮寺さんに手を差し伸べるのでした。
サブキャラの口調はいくら変でも良いと思ってます。
そこらへんはワンピースから学びました!




