Lo178.あ、これ多分私の活躍の場ないですね
『望月きなこ』と『須木月子』という二人の女子高生。
クラス転移によって異世界に来て、【天恵無し】と呼ばれて牢屋にぶちこまれることになった二人の正体は……実は『魔法少女』だったのです!
「って、なんで秘密にしてたんですかー!」
「ニンジャは真実を知ったモノを生かしては帰さぬ」
「コワイ!」
「いやまぁ、そんなことはないんだけどね」
良かった、殺されないで。
ルナ子ちゃんがこほんと咳払いをします。
「えっとね……まぁ隠してたのは色々あってね。見たでしょ? きなこちゃんの力。あれがバレたらなんか厄介なことになりそうな気がしてね……」
「確かに……ここ76層ですもんね。Aランク冒険者以上を推奨するレベルの更に上の階層……」
「……少なくともAランク以上の強さはあるし、こんな手札がバレたらすごい厄ネタ」
「そういうこと」
つまりアレです。クラス転移にたまたま2人魔法少女が混じっていただけのことです。
……いや魔法少女って何ですか!? いるんですかそんなの! 現代日本に!?
「でも魔法少女とか……そんなの漫画やアニメじゃあるまいし……」
「魔法少女は昔からいるよ。みんな知らないだけ」
「昔からいたんですか!? めっちゃ最近っぽいイメージあるんですけど!!」
「うーんと、昔は『巫女』とか言われてたんだって。神様の力を使って魔を祓う存在。今は『魔法少女』とか言われてるけど」
「そうなんですか!?」
「そうだね……例を挙げるなら、邪馬台国の卑弥呼も『魔法少女』だったとか言われてるよ」
「そんなに昔から……歴史が変わる。草生える」
「なるほど。魔法少女☆プリティーヒミコちゃん始まりますね。今度漫画のネタに描いていいですか?」
「怒られても知らないよ?」
とんでもない真実をサラッと話すルナ子ちゃん。でも今その力は実証されたわけでして……信じるしかないのかもしれませんね。
それにしても魔法少女ですかぁ……
……ん? 『神様の力を使って魔を祓う存在』? 『巫女』?
なんか似たような話をどっかで聞いたような気が……まぁいいか(適当
「じゃあアレですか。結局お二人が【天恵無し】とか判定されたのなんだったんですか?」
「うーん。良くわかんないけど、私達には必要なかったんじゃないかな【天恵】って。だからこの世界に来るとき貰えなかったとか?」
「ほえー、そうなんですかねぇ」
まぁ、天恵無しでも実際トロルは倒して見せたわけですし。更に優遇されたらオーバースペックになっちゃいますよね。
「須木さん……月子って呼んでいい? 私のことも下の名前で呼んでいいから、ね」
「え、別に良いけど……急に距離詰めてくるね静香ちゃん」
「だって、思ったよりきなこと仲良さそうだったから……」
西蓮寺さん、このタイミングで距離詰めてきました。いやなんでですか。嫉妬ですか?
距離の詰め方が急すぎますねこの人。
「月子ときなこから見ると、【天恵】を持ってる私達クラスメイトって……どのくらい強い?」
ふむ、確かに。
少なくとも【勇者召喚】で呼ばれて、更に神様から【天恵】を貰って、それが理由で国に優遇されてるんですからね。
それなりに強くないと駄目だとは思いますが……
「うーん、まだ1週間だからよく分かんないけど……」
「ぬーぶ」
「いや、まぁ、そうなんだけど。あくまで今のところは、だけど」
あ、弱いんですね。クラスメイト。
たまに訓練場で特訓してるなーと遠目に見てましたが。ちょっと可哀想。
『勇者』のギフトを持ってる男子とか何だったんですか?
「でもまぁ、この世界には『レベル』ってのがあるでしょ? 成長したら良く分かんないかなーって」
「ふむふむ確かに。その為にこうやってダンジョンに潜ってるわけですからね」
「それに私達も何年も魔法少女として戦って成長してるわけであって……それなりに苦労と経験があって強くなったんだよ?」
「コヤツは小学生から。ワタシは3年前からやってる。でもニンジャ歴は10年くらい」
「はえー、結構長いんですねぇ……ニンジャ歴?」
「……ベテラン魔法少女。3年以上放映するなんて」
「番組じゃないからね?」
なるほどー。こう見えてかなり経験年数が長いんですねお二人とも。だから戦いのときに落ち着きがあるわけですか。
「じゃあ二人から見て……特級聖女様は? 強い?」
「深い衝撃」
「まだお互いに本気で戦ったわけじゃないけど他の人と比べるとかなり強そうだよね……底知れない感じがするよ」
「ほえー、そうなんですねぇ」
なるほど。エールちゃんは魔法少女のお二人にとってもかなり強そうに見えるようです。あの子10歳ですけど、そんなに強いんですか。
「でも、試せてよかった。Aランクの魔物があのくらいなら、この世界でもなんとかなりそうだよ……」
「……奴隷の身に甘んじてるのも警戒から?」
「うん。この世界の平均レベルが分かんなかったから、一応ね」
「首輪もいつでも物理で壊せる。べりーいーじー」
「物理で!? 魔法少女なのに魔法とかじゃないんですか!?」
どうやら、奴隷の首輪もこの子たちには意味なかったようです。それが分かってたから大人しく付けたわけですか。
「じゃあ……これからどうするの?」
「うーん、それなんだけどね……まだ考えてる途中で……」
「残る」
「即答!?」
「結構居心地がいい。あいあむにーと」
「いやそれ、きなこちゃんが働かない分私達二人が働いてるだけだからね?」
確かにきなこちゃんはあんまり仕事してないですからね……暇なときはふらふらとどっか行ったり自由にしてるようです。首輪付きとは思えない自由さ。メイドとしてエールちゃんに付き従って仕事してるのは、主にルナ子ちゃんと西蓮寺さんの二人です。
まぁ私も働かずに絵ばっかり描いてるんですけど。
「でもまぁ、現状残るってことになるのかなぁ。エールちゃんも心配だし、他のクラスメイトも心配だし……」
「あ、他の人のことも心配してたんですね。全然心配してないように見えました」
「それはこの二人だけ。私は他の子とも割と話すし……」
「ワタシがボッチと申すかオヌシ?」
「実際そうでしょ」
「酷い。月子は私というものがありながら他のクラスメイトに浮気する……」
「ルナ子ちゃんは悪い子ですね」
「ちょっと仲良くしただけで!?」
いやー、流石クラスで4番目に可愛い子。交友関係も広いようで。
しかしまぁ、この普通っぽい子も魔法少女なんですよね?
「ルナ子ちゃんは変身しないんですか?」
「うーん、いざとなったらするけど……」
「コヤツは燃費がふぁっきゅー。しばらくワタシだけでいい」
「うん。まだ取っておいたほうが良いかなって……反対に、きなこちゃんはいつも打撃だけでなんとかするからかなり燃費が良いんだよね」
「打撃だけとは、魔法少女にあるまじきスタイルですね」
「ニンジャのカラテだ」
「月子の魔法少女姿、見たかった……」
「また今度ね、今度」
どうやらルナ子ちゃんの変身はまだお披露目が先のようです。残念ですね。
そんなわけで、きなこちゃんが先頭に立ちました。
「オヌシら、先に進むぞ。ごーごーごーごー」
「あ、待ってくださいー」
「我が魔法の真髄を魅せるときは……」
「そうだね……静香ちゃんの魔法はボス戦まで取っておこうか」
「しくしく」
そうして、きなこちゃんを先頭に私達は76階層を進み始めたのでした。
ここに飛ばされたときはクソゲーだと思いましたけど、なんか一気に難易度下がってビックリですね?
お二人のおかげで希望が見えてきましたよ!
あ、これ多分私の活躍の場ないですね。まぁいいですけど。




