Lo174.ダンジョン前でばったり遭遇クラスメイト
さて、ダンジョンです。サクサク攻略してしまいましょう。
イーグレス神聖国の首都、【聖都レムエルサ】には神聖国内で最大のダンジョンがあります。
通称、【聖湖のダンジョン】。
聖湖のど真ん中にあるから【聖湖のダンジョン】です。そのまんまですね。
全100階層もあるそのダンジョンは、城から10分ほど船でクルージングした先にあります。
はい、目の前です。距離にして1kmも無いくらいです。乗ったと思ったらすぐ降ろされます。
「この距離なら橋かけた方がいいんじゃないの?」と思いましたが、もしダンジョンから魔物が溢れた場合に橋から魔物が渡ってくるので、橋をかけないようです。まぁ仕方ないですね。
私達は城から出る小舟に乗り、ダンジョンのある小島に上陸しました。
目の前には荘厳な神殿があります。まるで古代ギリシャのパルテノン神殿のようです!
……まぁ他に私あんまり神殿知らないので、その例えしか出来ないんですけど。
そこは冒険者たちでそこそこ賑わってました。神殿の大広間では、新人っぽい人達からベテランっぽい人達まで広い層の冒険者が集っています。
階層が多い分、難易度も細分化されてそうですね。街の方からもこのダンジョンへの船が出てるので、皆そこから来たのでしょうね。
「しかし……人間以外の種族がいないですね」
「あそこ、ドワーフっぽい人いるよ」
「おお、本当です! ……あ、でも奴隷の首輪つけてます」
「獣人っぽいやつも見つけた。だがあっちも飼い犬」
うーん、やっぱり人間至上主義のこの国では人間以外の異種族は奴隷なんですねぇ。世知辛いですね。
ちょっと怖いので、人前ではフードでケモミミ隠しときましょうか。
このフードはユナさんが作ってくれたもので、フード部がネコミミ型なので私の耳がすぽっと収まるのです。
つまり見た目がケモ耳幼女から、ネコミミフード着用幼女(人間かもしれない)になります!
……あんまりカムフラージュ出来てない気がしますが、気のせいです!!
「あ、あそこに聖湖まんじゅうがありますよ! 食べましょう!!」
「えと……なんで饅頭があるの?」
「そこだけ西洋風の世界じゃなくて草」
良いんですよ! 細かいことは気にしなくて!
エールちゃんからおこづかいは持たされています。所持金100センカ。これが私の全財産です。
うぅ、転移する際に財布持ってこなかったから無一文なんですよね私。本来なら悪神討伐報酬がたんまりあるはずなのにー!
「おまんじゅうください!」
「あいよ、1個1センカね」
「わぁい! 10個ください!」
「いや食べすぎじゃない!?」
ほむほむ。早くも貴重な10センカが消費されました。この世界は食費がかかることかかること。
元の世界だとそこまで大食いじゃなかったんですけどねぇ。
せいぜいペヤングペタマックスとかすき家のキング牛丼とか食べられる程度でした。
あつあつ美味しい。焼きたてまんじゅう。
これを今川焼というのか大判焼きというのかはちょっと戦争が起きるので、聖湖まんじゅうということにしましょう。私は福福饅頭って呼んでました。
例によって日本にいたときより2倍くらい大きいです。これが異世界サイズ。もぐもぐ。
「……西蓮寺?」
「……あ、なんかいる」
「西蓮寺! 西蓮寺じゃないか!?」
むみゅ? なんか饅頭食べてる間に西蓮寺さんにお呼びがかかったようです。
声がした方を振り向くと、なんかピカピカの鎧装備をした若い男4人組がいました。ふむふむ、どこか初心者っぽい雰囲気なのに不釣合な高そうな武器と防具がアンバランスですね。
私達は人のこと言えない? その通りです。みんな装備にお金かかってますからねぇ、私以外は。
あの人達クラスメイトの転生者さん達ですよね? あっちもちょうど同じタイミングでダンジョンの攻略に来てたようです。
装備がやたらとよさげなのも、聖王様のお金で色々買ってもらってるんですかねぇ?
さて、その若い男達のうちの一人がこちらに向かって叫んでます。ほえ? 西蓮寺さんのお知り合い?
「西蓮寺! お前、なんで戻ってこないんだよ! あの聖女様に脅されてるのか!?」
「……」
しかし西蓮寺さんは答えません。
「なんで首輪なんて嵌めてるんだ! 何かされたのか!?」
「……」
……あ、なんか見たことあります。あんまり特徴の無いイケメン顔の……た、た~……田中さん?
私、昔からイケメンの顔覚えるの苦手なんですよね。イケメンってこう、みんな同じに見えるじゃないですか。
1万人の顔をモンタージュして生まれる平均顔、それが不快感の無いイケメンの正体です。つまりイケメンは尖った特徴があんまり無いんです。
「なんで何も言わないんだ!? なんとか言ってくれ! 西蓮寺!!」
「……」
問い詰められても無言のままの西連寺さん。顔を伏せたまま、くいくいって助けを求めるように私の袖を引っ張りました。
あ、なんとかしてくれってことですか? めんどくさいですね……
ま、しゃーないです。私が幼女力を発揮してこの兄ちゃんをなんとかしてしんぜよう。
慈悲深いリーダーに感謝してくださいね?
私は武器として携帯してる船の櫂を振りかぶります。
そして田中さん(仮)の鎧の上からごつんと櫂をあてました!
「いった!?」
「こらー! ママをいじめるなー!!」
「……え、幼女? え、ママ?」
「ママをいじめるやつはこのチーちゃんがゆるさないぞー!」
「え、え? ママって? この子何? 西蓮寺が??」
ふっふっふ、混乱してますね。突然の幼女乱入に。
そして西蓮寺さんをママにしてしまったことに!!
……さて、どうしましょう? なんとなくノリでやってしまいましたが完全にノープランです。
西蓮寺さんもさぞ困惑していることでしょう。チーちゃんを頼るからこうなるのです。愚かですね!
「……この子は私の子です」
「は? え、西蓮寺の?」
「……はい?」
西蓮寺さん、まさかの便乗です! これには私もぽかんとしてしまいました。
「……お引き取りください。私は一人でこの子を育てます」
「あ、え、ええ? さ、西蓮寺!?」
「……さよなら」
そう言って西蓮寺さんは私を小脇に抱え、ダッシュで逃げました!
うわ、意外とちからつよい。そういえばステータス上では結構強いんでしたこの人。
「さ、西蓮寺! 西蓮寺ーーーー!!!」
「へい兄弟、ちょっと事務所までごーとぅーへる」
「……高橋くん。もうあの子のことは放っておいてあげて……」
きなこちゃんとルナ子ちゃんも適当なことを言い出して高橋くんをブロックしました。あ、田中じゃなくて高橋だったんでした。名前間違えてましたね。
……なにこの茶番?
私は抱えられながら饅頭をもぐもぐします。
「もぐもぐ。西蓮寺さん。あの人とはどういったお関係で?」
「どうって……クラスメイト?」
「まぁそんなもんですよね」
大して深い関係じゃなさそうです。よかったよかった。
色々と深刻な誤解を生みそうな茶番でしたが、まぁ関係は浅いので大丈夫でしょう。
あの人たちもダンジョン攻略に来たんですかね?
まぁ応援しますよ。あちらも国に期待されてるんでしょう? どれだけ強くなるのか分からないですけど、お互いに頑張ればいいんじゃないですか?(他人事
どうでもいい微妙な修正点。
西連寺→西蓮寺に漢字を変更しています。
理由は「西連寺」で検索するとToLoveるの西連寺さんが出てくるからです。
よく間違えられますが、この作品はToLoveるじゃありません。たぶん。




