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十字紋  作者: まうりあ
2/7

上杉家

年末に書き始めましたが自分の解釈で書いています。


色々納得できないこともありましょうがよろしくお願いします。


下記ためていないのでしばらくは書き下ろしで書いていき不定期に出来上がり次第のせていきます

京へつき正純へ報告を終わらせると京での宿に栄子を収容し忠勝へ報告しようとしたが栄子に止められてしまう。

私は家茂に医者をつれてくるように言うと豊久に頼まれた事を果たしに向かうことにした。

京へ徳川勢が入り緊張した町民の中を抜けきらびやかな一角へと向かう。


勝成に連れられ一度兄と共に来たことがあり客は少ないが直ぐに多くなるところなので気にせず入っていく。

客引きをしている男に店の名前を聞くと一番きらびやかな店であり以前勝成と来たところであった。

能登店にはいると左右には着飾った遊女がおり私を誘ってきており遊びたいのは山々だが、今日は後ろ髪を引かれる気分で主人を呼んでもらう。

にこやかな頭のはげた肥えた男がでてきて、

「これはこれは、以前水野様とこられた松平様でしたか私にいかなるご用でしょうか。」

そう聞かれ、

「すまないが勝山という花魁に会いたいのだが、」

そう言うと、

「それはいきなりの申し出、いきなり花魁に会いたいとは無理な話でございます。勝成殿のように無茶はこまります。」

そう言われ慌てて、

「いや遊ぶんではなくとある方より頼まれたことがありその事について聞きたいのだ。遺言なので申し訳ないがとりなしてもらえないだろうか。」

そう言うとしばらく考えたのち能登屋は、

「わかりました花魁にお伺いをたててきますが駄目なときは大人しく帰っていただきましょう。」

そう言うので、

「わかった、十字紋と伝えてくれ」

そう伝えると能登屋は部屋から出ていく、部屋から聞こえる三味線の音を聴きながら待っていると廊下を歩くおとが聞こえ、

「花魁、お待ちくだされその様なことをされては困ります。お願いです」

そう言うとバタバタと廊下が響き私の前に美しい花魁が息を弾ませながら現れ私の前に座る。

「あの方はどうしたのでしょうか、お教えください」

そう目の前に良い匂いがしている美しい花魁の顔がきて私は心臓が破裂しそうになりながらも、

「関ヶ原の戦いで亡くなりました。私にこれと手紙を託して」

そう言いながら兼光を前に出し手紙も渡す。

花魁は自分の書いた手紙を見て兼光を抱きしめ涙する。


花魁が涙を流し始め能登屋やかむろなどのお付きが慌てて、

「花魁、お願いします」

そう普段客には見せない行動にうろたえており、私は静かに見守ると

「あの方はなんと、なんと言われましたか」

そう言われ、

「二人の子供の事やあなたの事を心配して苦渋の決断で敵であった私に託したのだ、私は彼の気持ちを汲みここへ来たのだ。」

そう言うと花魁は目を見開き大粒の涙を流し始めなんと私の膝の上に顔をふせて泣き始め、さらに周りを呆然とさせてしまい、私は身振りで襖をすべて閉じるようにと促し私と二人だけにしてもらった。


しばらく泣いてようやく落ち着いたのか白粉に涙の後が残りながらもしっかりと私を見た。

「最後を看取っていただきありがとうございます。これはお返しします。」

そう言いながら兼光を手渡してくれる。私は、

「私は信忠と申す。それで子供は私の養子にしたいと思うが二人とも、無論上様には誰の子とふせて了解をえるつもりだが勝山殿がよろしければ。」

そう言うとうなづく、しかしよく考えると一昨年母がなくなっており兄も嫁をもらう予定で亡くなり私はと子供達を育てる女性がおらず考えてしまう。

私が悩み始めるのを見て勝島が聞いてきたので子育てを話すとしばらく考えて能登屋を呼ぶ、能登屋が慌てて入ってきて座るなり

「急なのだけれども信忠様に身請けしていただくことになりました。よろしくお願いします。」

そう言われ私は凍りつき、能登屋は慌てて勝山と私を交互に見る。

花魁の身請けはかなりのお金がかかるはずと勝成から聞かされた事を思い出しながら堺で貿易にお金を投資していたがいくらになったかとか、上様に頼んで借りられるか等と考え始めてしまう。


私の顔を見た勝山は、

「安心してください、身請けにかかるお金は私が全部出します。ご安心ください。」

そう言われ思わず頷いて笑われてしまう。

能登屋はこうなるともう言うことを聞かない勝山を知っているのかため息をつくと女房を呼び吉日を決めて身請けを手配するようにと伝えた。


勝山はきちんと座り直し、私も座り直すと

「いきなりの事信忠様には申し訳なく思います。しかし私も花魁である前に子の子達の母です。なのでお願いできないでしょうか。」

そう言われてしまい、

「美しい方が来ていただければ私も嬉しいですし、ただ武家のしきたりがあろうと思います。そこはよろしくお願いします。そういう私もよく知らないのですが」

そう言いながら笑ってごまかす。


「私の方はどうすればよいか確認してきます。そちらも準備ができ次第知らせてください。」

そう言うと遊廓をでると私は勝成の元へむかった。



「なに、あの勝山を身請けするだと、俺にさえなびかんのにおまえどこでどうやったら、というか身請けする金はどうした何十両もかかるぞ」

そう言われ苦笑いしながら

「いや、あの勝山に出してもらいますけど、はい」

そう言うと勝成は暴れまくる暴れまくる。いつもの事なのか家臣は誰も来ず息をゼイゼイさせながらようやく落ち着き座る。

「で、俺にどうしろと言うのだ。信忠」

そうため息をつきながら私にたずね、

「身請けをすればうわさもたち色々めんどうがおきるやもしれません、それと勝山に最低限の武士の作法を教えていただければ奥方様から、そして勝山の娘と息子を養子にします。」


そう言うと勝成は「あっ」と言う声と共に頭をかきむしり始め、

「上様からお前に養女をもらい嫁を与えようと言う話が内々にあったんだよ、わかった今からいくぞ」

そう私の襟を掴むと走り始めた。


家康も正信も忠勝そして秀忠もあきれた顔で私と勝成を交互にみており、あれから勝成が無理矢理面会を家康に求め何かの相談をしているところに飛び込み、正信からやな顔をされながら勝山事を話したところで家康から、

「その方は強運と言うか、しかし1才になる子供を作っているとは」

そうため息を家康がつきながら

「勝成に聞いたようだがその方に嫁をとおもっていたがこの際だ花魁を養女としてそちにめとらせるか」

そう正信を見ると、正信はわたしをにらみ

「上様も上様、立場と言うものをお考えくだされ。しかし信忠殿を監視させるにはちょうどよいですな確かに」

そう言うと本来認めないはずの正信が認めたのでそれで決まってしまう。家康が、

「勝成に養女としてまず武家のしきたりを教えそしてわしの養女としてその方の嫁とする。」

そう言われ「はは、ありがたきしあわせにございまする。」そう言って平伏した。


翌日に能登屋に勝成と向かい勝山に勝成そして家康の養女とすること、その間は勝成家で子供を預かることを伝え身請けも急遽3日後することになり慌てて能登屋も大騒ぎで準備を始める。


私は一度宿へ戻り身請けの話を津田に話をするのと共に全員を私が召し抱える事を伝えると、

「花魁をあの当代一と言われる勝山殿ですか」

そうため息をつくと仕官を了承してくれた。

そんなことで準備を頼んでいると小太郎が現れ島津義弘を寺に無事保護したことを伝えられた。


私は利光と家茂に津田と共に頼むと私は小太郎を連れて大和へと向かう。小太郎がチラッとこちらを見るので促すと、

「信忠様は花魁を嫁にするようにございますがよろしいのでしょうか武家として。」

そう言われ、

「普通に考えれば不味いだろうが、どういう理由であれ嫁に来ていただけるなら嬉しいよ」

そう言うといきなり小太郎が馬を止め路傍の石の上に私を座らせると私に話始める。

「私の名は風魔小太郎と申します。我が一族は海をわたりここに来た一族で本拠地は箱根ですが各地に散らばっており遊廓も私達の砦でございます。」

そう言われ遊廓にはお堀と壁があり、遊女を逃がさないようにするためかと思っていたが守るための物かとわかり頷く。

「そして今回わしらの一族である勝山を正妻に迎え入れてくれ感謝に耐えません。お返しと言ってはいかがですが風魔を使って頂けませんでしょうか」

そう言われ頷きたいが雇えるほどお金を渡せるのかと思っていると、

「心配には及びません、お金は一族が色々稼いでおりますれば、ただ家中を増やすのに我らが一族で固めさせていただけませんでしょうか、ご迷惑はかかりません今は素性はしっかりした者達ですから」

そう言われ私的にも探す手間は省けていたので、

「よろしくお願いします。風魔の小太郎とはもっと背が大きく鬼のような顔で牙が生えてるとお聞きしていましたが実際とは違うようですね。それと小太郎殿は私の重臣でよろしいでしょうか」

そう言うと笑いながら、

「それは対外的に言いふらした姿にて敵を欺くためです。そして私は今のままでよろしいです。」

そう言うと馬にのせられ再度急いで馬を走らせ始めた。


大和三輪山平等寺と言うところに到着すると小太郎が「少々お待ちを」

そう言って中へと入っていく。私は山にかこまれたこの寺ならもうしばらくは追っても来ないかとおもいながら待っていると

「お待たせしました。」

そう小太郎が本堂へと案内をする。


中には10人ほどの男がおり一番奥は島津義弘その人であり、60をとうに越えているはずだがそんな事を微塵にも感じさせない武将であり、私は刀を鞘ごと抜くと横に置きながら座る。義弘が、

「その方がこの老人の主か、このような場所を使わせていただき感謝に耐えない。わしは島津又四朗義弘、世間では鬼島津と呼ばれている。」

そう言うので私も、

「お初にお目にかかります。徳川家康が家臣松平信忠ともうします。以後お見知りおきを、」


そう言われ島津の家臣は動揺して

「徳川の手の者か我らを囲んで一網打尽にするつもりか」

そう刀に手をやり口々に叫び私は気にせず。義弘も気にせず家臣を鎮める。

「狼狽えるな、捕まえるつもりならもうすでに捕まっておるわ、わざわざ顔を見せたと言うことはわしに直接の用事のようだが、」

そう言われたので横においた兼光を自分の前に置くと義弘は家臣から手渡され刀を見ると、

「これは、兼光これを持ってきたと言うことは豊久の事か」

そう言われ私は、

「私が討ち取りましたがその時に義弘殿の事を案じておられ私に頼られたのでこの者に指示をしたしだいです。」

そう言うと呆れた顔で、

「こんな事を敵を匿えばお家断絶にもなるかも知れないのになぜ。」

私は頭をかきながら、

「知れればですね、まあ家のとりつぶしは免れないでしょう。まあ豊久殿と義弘殿に惚れたと言えばよろしいでしょうか、あの関ヶ原での敵中突破すべてを蹴散らし鬼島津ここにありと、なので勝手に支援させていただきました。」


そう言われ義弘は目をしばらくつぶりゆっくり目を開けると私に平伏してお礼を言もい、家臣も私に同じく礼を言った。私は、

「しばらくはここにとどまらなければならないですが何か困ったことがあればこの者を残しますのでご相談ください。」

そう言って小太郎にすべて任せるともうひとつお願いをする。

「私と一緒にいる豊久の家臣である利光と家茂を正式に迎えたいので関ヶ原の1週間前に私に仕えるようにと言う書状をしたためてほしい」

とたのみ了承してもらい急ぎ何かあれば書状をと頼み早々に京へと戻った。


利光と家茂を連れて正純の元へ向かうと正信もおり、

「私は正式に二人を雇うことになったが、仕えた家がこれなので」

と義弘の書状を渡すと正信が読み、

「これにはまだ逃亡中の島津義弘の署名がしてあるがこれは関ヶ原の前に雇いいれているとなっているが、」

そう言われ見透かされているのはわかってはいるがあえて馬鹿なふりをして、

「雇ったが父が急死し兄も戦死で出しそびれていたのを五千石と言う大身をいただき家臣を増やさなければなくなって、父の家臣は兄と共に島津にのみこまれ居なくなってしまい一から建て直さなければならなくなりそうなった次第で、」

そう言うと正純が、

「と言うことは関ヶ原の当日島津の兵が徳川の本陣にいたと言うことですか、父上これは軍令違反では、」

そう言われ、

「この書簡が本物なら戦いの前にすでに信忠殿の家臣であるので問題はない前ならな。」


そう言われ、

「この二人のお陰で島津豊久を討ち取り本陣に突入させなかった。十分な功績もあり正式に雇うことを許されたいと願い出たのです。」

そう言うと正純が父親である正信の顔を見て、

「特に書類の問題もない、遅れて出してきたことに憂慮する点はあるが家の事もふまえて特に問わない、家臣とすること特に問題はない。」

そう言うと感謝を言い下がろうとすると正信に呼び止められ二人で話がしたいと外へ連れ出され、昨日切られ五条河原にさらされている三成や小西などの首が見える土手に座った。

黙っている正信に警戒していると、

「お主は何を他に隠しておる。島津の事で、」

そう言われ背中に汗が滴り落ち黙っていても仕方がないかと思っていると、


「あれは豊久の思い人です。十になる娘は豊久の下の子は豊久か私かわかりません。同時期ですから回数は向こうでしょうけど若さなら私なので、」

そう言うと鋭い目を向けたので、

「世継ぎに問題があるのなら考えますけど特に息子にはこの事はふせると勝山とも意見の一致をしております。」

そう言うと黙って立ち上がりながら、

「信忠殿、立場を考えなさい何れにしても薩摩との折衝に入ってもらう、それでこの事は」

そう言いながら行ってしまい、私は穏やかな顔つきの三成の顔つきを見ながら私はこの後始末どうするかと思いながら身請け当日を迎えた。


表門で籠と勝成そして利光と家茂そして清幽と共に配下になった少年11人と共に待っていると綺麗に着飾った勝山が足をひきずる独特の歩き方でやって来る。

紅い着物に金の刺繍、しゃんとした身のこなしそして紅い唇、どんどん引き込まれて行き頭の中は勝山一色になる。

ゆっくりと最後を皆に見せるが如く私も他の人も一言も声を発せずゆっくりと進みようやく私の前に立つと、

「これからは、まこととお呼びください。私の親が唯一与えてくれたものです。」

そう言われ私はまだ夢から覚められず見つめていると、背中を叩かれ横にいる勝成に促され特製の大きなかごに入ると出発させる。


ゆっくりと進むと聞き付けた京の人々が大通りに溢れかえっており私は足を止めてしまう。

勝山は京の中では高嶺の花の花魁であり、それが身請けされて見るのが最後だと言う事で集まっており姿を人目見ようと集まってきている。

私はどうしようかと思っていると勝山がかごから出てくると最高潮になり移動しなければ危険とも思えると、勝成が私に声をかけ私の肩と勝成の肩を合わせて勝山をかついだ。

身分のあるものが大夫を担いで練り歩き京の人々はおひねりのごとく銭を投げ始め清幽等が慌てて駆け回り他の大名なども騒ぎを聞くと見にきてはあっけにとられながらも勝山の美貌に魂を抜かれた顔をしていた。


公卿も見に来ているようで見つめており私の隣にいる勝成が、

「これ程ならばもっとかぶけば良かったな。」

そう笑いながら次はあそこを曲がるぞ等楽しみながら進むと真面目顔の正純が目の前に現れ、

「上様から二条城と内裏を通れと」

それだけ言うと民衆の中へと戻っていってしまい勝成と勝山の顔を見ながらゆっくりと歩き始めていく。


ようやく二条城の前につくと鐘楼に家康が登って見ており慌てて勝山を下ろし礼をする。

家康は頷くと消えてしまい水を飲みまた肩に勝山を担ぎ歩く。

内裏を通り門の内側に誰かいたようだが一礼だけするとようやく勝成の京での家に到着した。


勝成の奥方お珊の方が出迎えてくれ嬉しそうに、

「こんな綺麗な娘ができて私も幸せにございます。短い間になりますがよろしくお願いしますね勝山、それと子供達はもう待ちくたびれてますよ」

そう言いながら奥へとつれていき私は勝成とゆっくりと風呂に入り汗を流して昼間の事を色々思い出しながら酒を飲んでいく。

「信忠よこりゃ明日からしばらくは大変だな、嫁におんぶにだっこだ」

そう笑いながら言われ同意するしかなく、徳川の一族となる松平信忠の名は勝山の名で売れていくのだろうと思いながらゆっくりしているとお珊の方とともにまことが花魁を脱ぎ捨て一人の女性として現れたが、それは衣裳を脱いでスッキリとした着物をだが美しさにはかわらず杯を持つ手が止まり勝成はお珊の方から

「若い子に見とれるなんて許しませんよ、義娘なのですから」

そう言われながらつねられその声で引き戻され奥方に詰め寄られた勝成が珍しく動揺しているのを見ながら酒を煽る。


まことは声を出さずに笑いながら、

「義父様お世話になります。これからも末長くよろしくお願い致します。」

そう勝成に挨拶をすると勝成は鼻の下を伸ばしてまたもつねられ悲鳴をあげ皆を笑わせた。

明日から家康について退去した毛利の代わりに大阪城へ向かうため早々に宿へと戻り昼間の銭を総出で数えている清幽達に断り早々に寝たしまう。


翌朝具足を整え外に出ると百人ほどの兵が待っており小太郎が手配をしてくれた風魔の兵と言うことで清幽と利光と家茂に率いるように頼むと隊列を整えている家康本陣に入った。

先頭が出発して次々と進んで京を出ると家康から呼び出しがかかり馬で向かうと横にこいと指でさされその通りにする。

「その方は相変わらず。勝成だけならいざしらず信忠も同じくするとは、内裏からも覚えめでたくなり、その分使いではありそうだがな」

横にいる正信を見て、

「信忠を大阪での仕置きに参加させるぞ」

そう言うと正信が

「信忠を使い大阪の淀どのをですな」

そう言い私はこれから起こる事にため息を吐きながら大阪城へと入場を果たした。


具足をはずし着替えると家康に呼び出されて淀殿への挨拶をするため秀忠と忠勝そして正信の後ろからついていく。

大広間に入り臣下の礼をとり改めて淀殿を見るがまことを見てしまっている私にはさして美しいとも感じず横に座っている秀頼はふくよかだが覇気にかけている少年と言う印象を受けた。

淀殿から関ヶ原の勝利をお祝いされ家康に自ら杯を渡してしゃくをして飲み干すとそれを秀頼にと切望して家康は渡して後ろ楯が出来たと嬉しく淀殿は接待をしてようやく解放された。


翌日から西の丸で井伊直政・本多忠勝・榊原康政・本多正信・大久保忠隣・徳永寿昌と共にろ論功行賞を始めた。

先ずはどの様に行うかと言う話になり若輩の私にまずふられたので、

「江戸を中心に譜代で固め上様の直轄は倍まで増やし、東海道等も譜代で越前なども一族で固めると共にこの戦いで功績があった大名は加増すると共に九州などの西国へ転封させればよかろうかと」

そう言うと皆頷き作業を始め、まずは西軍の改易武将と死罪や追放などとり潰しになった国をあげて国高を記していく。


そして残りの西軍の武将についての精査がはじまり、同時に諸大名やその家臣が訪れ親しい大名に対する罪の軽減等をお願いする運動であり、その事に筋が通り裏がとれれば話し合いでの議題とした。

その他に対馬の宗氏については家康自ら家臣を西軍へ派遣したことを詰問されたが私が朝鮮等の窓口になると言うことで不問としたりと忙しく走り回った。

そして今回の火種だった上杉景勝については家康からは当然改易と本人は流罪と言われ私も賛成する。

しかし上杉と対陣していた家康の次男結城秀康が上杉の家臣千坂と正信を含め強固に反対をしており、家康は私に意見を聞き明後日に結論を出せと一任されてしまう。


部屋に戻れば面会が次々と来ることがわかり私はしばらく考えに更けたいと思いながら勝成を捕まえると大阪城をでて遊廓へと向かった。

始めての場所なので大きな尾張屋と言う店に入り二階の大部屋と三味線を弾く遊女を頼むと騒いでいる勝成をほっておき2階から遊廓の通りを眺めていた。


上杉については家康が三成の暴発を促すため先ずは前田を挑発したが母親のお松の方を差し出し矛先を変えられたので上杉を次の標的にした。

自尊心が強い上杉なら挑発に乗ると、当然直江兼続をかえして書状を出してきて今回の戦いの口実を作る。

家康は特に佐渡にある金山を渡すように言いそれが激怒させたと言うことであり、このような大名を残しておいても害だけではないかと思っていると、店の者が私に用があると武士が訪ねてきたと言ってきて私は忙しいと拒否をする。

申し訳なさそうに店の者はふすまを閉めていってしまう。


こんなところに来ても誰かに探し出されてしまい移動するかと腰をあげると、お客様お止めくださいませ、お願いでございまする。

そう言いながら階段を上がる大きな足跡が響いてきており私はため息の後屋根へと上るために外に出て横から上へと上がった。

瓦の上に寝転びいわし雲が広がる空を見ているとどうやらふすまが大きな音を開けて開いたようで、

「信忠とか言ったな、わしを無視するとはいい度胸だな太閤殿下の息子、結城秀康をだ。」

そう言いながら多分酒をのんでいる勝成に突っかかって行ったのか殴りあいが始まったようで打撃の音と店の者の悲鳴が上がる。


私は勝成に心のなかで御免と思いながら屋根を伝い柳を降りると一人の大男が立っており、

「なかなかすばしっこいネズミだな嫁は大物なのにな」

そう笑いながら私を見つめ私は無視して通りすぎようとすると、

「すまない松平信忠殿とお見受けする。久しぶりの遊廓に嬉しくなり言い過ぎた。」

そう言われ私は振り替えると大男は歩き始め尾張屋に戻ると2階へ上がっていく。

2階ではまだまだ殴りあいは続いておりふすまはボロボロで私を見た尾張屋は泣きながら止めてくださいと泣きつき私は桶に水をいれて持ってこさせ二人の頭に浴びせる。


二人は気がつきこちらを見たので、

「結城殿、水野殿ここは楽しむところであってこんなことをする所ではありません、大人しくするか出ていってください。」

そう言われようやく相手が違うと秀康は気がつき座り込んでしまい勝成は私をにらみながら酒を頼みその場で座る。

私は尾張屋に別の部屋を準備してくれるようにとこの請求はそこの秀康殿に頼めと言い皆で新しい部屋に移動した。


私は秀康と大男を上座に据えようとしたが断られ対面で座る。私は呼ぶまでしばらく人を遠ざけるように尾張屋に言うと衣を正して向かい合い、

「お初にお目にかかる徳川家康が家臣松平信忠と申す。先程は失礼した。考えたいことがあり面会を断っていたので。」

そう言うと、

「わしは結城秀康、その方に頼みがあり来たが先走りすぎて勝成殿には申し訳ないことをした。」

そう言うと柱に背を持たれかけ酒を飲みながら手のひらをヒラヒラさせてる勝成がいる。

そうして大男が、

「上杉家家臣前田慶次利益と申す結城秀康殿を頼り貴公に会うためにあそこで待たせてもらった。」

そう笑顔で勝成から聞かされた当代一のかぶき者である男が座っていた。


慶次が私に、

「上杉家の処分についての事だが信忠殿に今一任されていると言うことだがどうされるのか聞きたい。」

そう言われため息をつくと、

「端的に言えば上様と同じ改易というつもりです。残していて国の安定を望めるとは思えません。」

そう言うと慶次は、

「信忠殿の言うことごもっともだが全ての憂いを取り除けば安定は安定でない、それをわかっているはずだ、だからこんな所にいるのだろう。」

そう見透かされたように言われ沈黙をするしかないがそれで上杉を生き残らさせるとは思えない。私は、

「しかしこの戦いを起こした短慮特に直江兼続の短慮と考え方に私は同意しかねる。わざわざ転封の時に上杉謙信の亡骸を春日山に残し兵糧をすべて持ち去った事を、今生き延びるために行動を起こすならなぜ前田の様に恥もなにもかも捨て上様のつけいる隙を与えないようにしなかったかと私は思います。なので今さらなのです前田殿。」

そう言うと横で聞いていた秀康が、

「男というのは意地があってこそだ、前田の小倅のように尻尾を降るような御仁は上杉にはいない義と武士としての意地を通してなぜ悪い、父である家康も何故なんだ。」

そう言われ、その覇気が警戒されていると言うのがなぜ気がつかないのだと思いながら私に色々捲し立てる秀康を見ていた。

慶次は私の気持ちに気がついてはいるが秀康を止めずにさらに私を不愉快にさせていく。


私は無言のまま聞いているとふすまが開き何と正信がおり尾張屋に酒をと頼んで秀康と私の間に座る。

衣を正して私を見つめており、秀康も現れた正信にあっけにとられておりそのまま黙りこむ。

「いっけん徳川のためだが代がかわればそれは緊張の緩みを生んで積み上げたものが崩壊する。」

それだけ言うと黙りこみ私は正信を見ながら考える。


確かに上様なき後あの秀忠が後をついだときに危険がなければやりたいように責任も感じず行う事になるのはあの性格からして明白であり、だからこそ危険すぎる上杉を潰した方がいいのではと思うのだが正信はそれ以上の効果を考えていると言うことであり、当然上杉を生かさず殺さずとするつもりなのであろうが思惑どおりに行くのかと考えていると、

「当然ではないか国高も三十程にすればよかろう、上杉は家臣をそのまま抱え続けると言うことだしな」

そう言われ私はびっくりする。今の上杉の国高は百二十万石の大身でありそれをそのまま抱え続けると言うことは生活する上でも生きていくだけで精一杯であり反乱を起こすことさえできないそう言うことでありそれを伝えにわざわざここまで来たのかと思いながら秀康と正信を見て納得して、

「言われることいちいちごもっともだがそれで危険がなくなるとは思えませぬ、これは持ち帰り色々考えることにします。」

そう言うと秀康はなにか言いたそうにしたが慶次が来た酒をそそいで秀康に進めてくれた。


しばらく黙って飲み続け解散となり、

「明日上様に報告をします。つきましては秀康殿、慶次殿出席していただきたい。よろしいかな」

そう言うと頷いて帰宅をした。


翌日西の丸へ向かうとすでに秀康と慶次が到着しておりそのまま家康のもとへと向かった。

家康の前に二人をつれて座ると家康は、

「秀康に慶次殿ようこられたが信忠が上杉の事について発言するのをわかってきたようだな。」

そう言うと二人は平伏して慶次が昨日正信が伝えたことを話し始める。

家康は目をつぶり聞いておりその横の正信も目をつぶり聞いている。私は話がおわり家康が慶次に、

「そちは戦いに来たのか和平を望むのか」

そう聞かれ少し時間をとその場で頭をそり僧籍に入ることを伝え、

「和平を橋渡しに」

そう言うと家康は頷き、

「信忠どうする。」

そう言われ平伏しながら、

「上様の思うとおりでよろしいかと」

そう言い家康は正信に確認して上杉に対する処分は決まった。


私は一礼するとそのまま出て忠勝等が作業を行っている部屋に戻り自分の机に座ると、

「政道とはそう言うものだ一人ではなにもできん正しいと思っても多人数で違う結果が出てくることもある。上様はそう言うこともあってお前に任せたのだ。」

そう忠勝が私の横に立ち呟くと行ってしまった。

それを考える暇もなく吉川広家が面会を求めてきたので別室で会うことになった。


広家は本家の毛利から突き上げをくらいかなり疲労しており私に、

「吉川広家と申す。信忠殿に今回の沙汰で我らに与えられる物を本家の毛利に与えられるようにご助力をお願いできませんでしょうか、正信殿から信忠殿に口利きを頼めと言われたのでまかりこしました。」

私は正信が私に休まず経験を積めと暗に言われているようだが上杉の件もあり私は話は聞くことにして私の知識のなかで質問をする。


「広家殿は徳川のため色々尽くしてくれ正信殿も認めているようです。しかしながら毛利は敵対したと言われても致し方無いと言われ、上様も義兄弟と言われた輝元の所業怒っておいでだそうです。ならば毛利を潰すのは必定であり広家殿は功もあるので問題はないと思いますか、」

そう言うと汗を滴らせながら広家は

「そうなのですが父春元から毛利なくして吉川はないと存命に何度も言われ私も本来は毛利をあげて東軍へと思いましたが、あのくそ坊主の安国寺が勝手にしたことです。なので私の功で毛利の罪を消していただきたいのです。」

そう言われ私は、


「しかしそれをしたところで恨まれど感謝されないでしょう広家殿は、それなら何れ毛利を三万石程で再興させれば良いではないでしょうか」

そう言われ顔をふり、

「あくまで毛利なくして吉川です。」

そう言われてしまい私は茨の道だと思いながら口添えを了承した。

直江兼続と言う人物、苦手と言うか嫌いなんですよね


その事を少し感情的に書いてみました。

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