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ホモは嫌いですか?

こっち(就活編)


木村大吉はハローワークに来た。今回は本気マジだ。求人検索でパソコンを叩き、良さげな求人票を手に待つ。スマホのゲームをしながら待つ。


しばらくすると自分の番号が呼ばれた。まず、第1声が


「木村さんは29歳ですから若者ハローワークが利用出来ますよ。ここより空いてますよ」


との事だった。35歳まで利用出来るらしい。


「ここアカンかったら次回は若者の方に行きます」


と言い求人票を出した。モデル撮影する仕事だ。


資格不問・年齢30歳未満まで、未経験可


資格不問、未経験可に惹かれた。それにかわいい子と出会えるんじゃないかって下心もあった。モデル撮影の仕事やし。


職員がアポを取ってくれた。明日の10時から面接になった。


家に帰り、大慌てで履歴書と職務経歴書を書く。明後日やったら良かったのにとグチる。



まずい。

トイレに行きたくなった。

駅に行くとまずい。

考えた結末が立ちションしに外に行くだった。


家の近くの河川敷の原っぱで誰も見てないのを確認し、立ちションをした。

小学生以来だ。


部屋に戻り、大慌てで履歴書を書く。職歴が全部バイトなのが情けない。

敗北を予感する経歴だな。ストレートな奴が羨ましいよ。無駄に書かなくていいから。こうして見ると無駄の多い人生だな。明日面接官に


「すぐ仕事辞めるね」

「派遣多いね」


って聞かれたらどうしよう。これをプラスにする答えは・・・


「色々知りたかったんです」


完璧やないか。これは良いカウンター。


履歴書を書いた後、職務経歴書を書こうとしたが、書き方が分からない。

ネットで調べて見よう見まねで書いた。


会社についても調べた。モデル撮影の他にイベント運営もしてる会社だ。ホームページには知らない地下アイドルの撮影会の様子が載っていた。


この子はあんまり美人じゃないけど、夢はありそうだな。求める人材の所に


「元気でハキハキしてる人」


とあり不安にもなった。


母親に


「明日面接行くからスーツ出してほしい」


と頼むと喜んでケースから出して来た。


「どこ受けるん?」

「イベントとか運営するとこ」(モデル撮影は言わなかった)

「ふーん。頑張りや~。面接は声張って元気よくな」

とアドバイスされた。


次の日


書類を持って面接会場へ電車で向かう。正社員の面接なんて新卒ん時以来だ。電車の中で緊張して来た。ヤバい。また、トイレに行きたくなった。今度は大の方だ。


スーツ着て野糞はまず過ぎるので駅のトイレに入った。


・・・普通に出て来れた。あれっ?

この駅のトイレはセーフなのか?

安堵した直後、ガッツポーズが出た。



面接会場に着くとムキムキな40歳くらいのおっさんがいた。

「ハローワークの紹介で面接に来た木村ですけども」

「君が木村君か!待ってたよ。藤代です」

握手を交わした。これは好感触か!ムキムキおやじ藤代って言うんや。

履歴書と経歴書とハローワークの紹介状を渡す。

藤代さんは目を通しながら


「何か夢でもあったの?」

と聞いてきた。

「えっ?」(予期せぬ質問にびっくりした)

「いや、ずっとバイトしてはるから」

「そうですねぇ。公務員を目指してました」(いきなりウソ付いた)

「ふーん。で、諦めてここに来たの?」

「はい」(嫌な言い方するな・・・)

「まぁ、諦めてシフトチェンジするのも大事やからね。ハッハッハ」

「そうですね。ハッハッハ」(笑い返した)


しばらく藤代さんの過去の話を聞かされた。何でもうどん屋で働いてたらしい。


「では、そろそろウチの会社の話していいかな?」

「どうぞ」

「ウチは主に男のモデルさんを撮影してます」

「えっ?でもホームページには女の子の撮影会が・・・」

「もちろん。女性のモデルの時もあります。けど、圧倒的に男性モデルの方が多いです」

「そうですか・・・」(内心がっかり)

「あと・・・そうですねぇ。木村さんに偏見ってありますか?」

「何の偏見ですか?」

「例えばホモの人とかどう思いますか?」

「えっ?」

「今回の求人はホモビデオの撮影スタッフなんですが、一応、性病検査もしてほしいんですが・・・」


「えっ!?」


「いや、ウチの利益の9割がソッチ系の売り上げ。めっちゃ美人なニューハーフもおるけど」

「ホームページのアイドル撮影会は?」

「あれは、残り1割の仕事です」

「それやったらホモの方をホームページで押すべきじゃないんですかね?」

「・・・ホモ嫌ですか?」

「いや、会社のホームページがウソ付いてるみたいなんが嫌ですね」

「ウソじゃないよ」

「あと、性病検査をするって時点で男優で出演する可能性あるって事ですよね?」

「・・・人が足りて無ければ」


「辞退させてもらいます」


「・・・分かりました」


目の前で履歴書と職務経歴書を破り捨てられた。


逃げるように帰った。でも、あの会社ってホームページ見てもホモ系の事は書いてなかったぞ。何でや。と言うかハローワークのチェックはどうなってるんや。

なぜかハローワークに腹が立ってきた。


家に帰り調べ直すと、一番下に小さく


「同性愛に興味のある方大歓迎」と書かれていたがこんなのよっぽど目を凝らさないと見えない。


母親に

「どうやった?」と聞かれ

「多分落ちたわ」と返した。

「なんで」

「経験者がおってん」(また、ウソ付いた。面接は1VS1だ)



その日の夢に老婆が出て来た。ゲラゲラ笑ってた。

「君、面白すぎるわ。けど、受からんで正解やで。あんな詐欺みたいな会社」

「求人内容違いますもんねぇ」

「そうそう。ほんで、後な。就活してる間はあっちには連れて行かんから安心してトイレ行っていいで」

「ほんまですか!」

「うん」


猛烈に喜んだ。生きれると。


受けたホモビデオの会社は後日


『ホモの仲間作り』


ってビデオが出演者に許可をほとんど取らないで、レイプまがいの事をしてたのが問題になり訴訟された。


スタッフとして雇った子を「人が足らん」と無理やり男優にレイプされる内容が問題になった。ヤラセじゃなくガチだったのだ。


木村君は持ってるのかも知れない。

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