止まった鉱山
《灰走》へ追いついたのは、翌日の正午を少し過ぎたころだった。
先頭機関車の黒い煙が、丘の向こうに見えた。
小型保線機関車が汽笛を二度鳴らす。
向こうから、低く長い返事。
ノインを載せた低床貨車は速度を落とした。
『《灰走》を確認しました』
「見れば分かる」
ミラは貨車の下へ潜り、左前輪を見ていた。
西口検問所からここまで、欠けた踏面は持った。
だが速度を上げた分だけ、欠損の縁が丸くなっている。
胸部支持架の亀裂も広がっていた。
『支持架の亀裂長、出発時から一・九センチメートル増加』
「まだ母材まで抜けてない」
『交換を推奨します』
「《灰走》の工作車へ戻ったらやる」
『貨車ばねも再検査が必要です』
「分かってる」
『右腰骨格も』
「全部分かってる」
少し間があった。
『確認しました』
ミラは貨車の下から這い出した。
ユリアが脇で端末を見ている。
「ノインの自己診断、停止命令の前より遅くなってる?」
ミラは顔を上げた。
「どのくらい」
「応答平均で〇・二秒」
『正確には〇・一七秒です』
「聞いてるのか」
『私自身の処理遅延についての会話です』
「盗み聞きとは言わないのね」
『通信回線が開いています』
ミラは低床貨車へ上がった。
ノインの胸部保守端子を開く。
「遅延は安全層を書き換えたせいか」
『可能性があります』
「戻すか」
『戻しません』
「聞いただけだ」
ユリアが視線を上げた。
「後悔は?」
ノインはしばらく答えなかった。
『現在はありません』
「現在は」
『将来の判断を、現在の私には保証できません』
ユリアはそれを記録した。
ミラは何も言わなかった。
後悔するかもしれない。
それでも選ぶ。
人間なら珍しくない。
人工人格だけが、選んだ瞬間から一貫性を要求される理由もなかった。
《灰走》が停車していたのは、小さな鉱山町の駅だった。
駅舎は石造り。
屋根の半分が戦時中の砲撃で失われ、その部分だけ波板で塞がれている。
線路の北には、巨大な巻上塔が三基立っていた。
どれも止まっている。
赤錆びた滑車。
垂れ下がった鋼索。
選鉱場へ続く輸送帯も動いていない。
代わりに、町の東端で新しい木造倉庫が並んでいた。
農具。
薪。
羊毛の束。
鉱山町だった場所が、別の仕事で生き延びようとしている。
「ここが旧前線なのか」
ミラが尋ねた。
ユリアが答える。
「前線は、ここから西へ十五キロ。最盛期には町の半分が軍の補給所でした」
「鉱山は」
「閉鎖」
「戦争で?」
「戦争の前」
ミラが振り返る。
ユリアは三基の巻上塔を見た。
「アルディア製の制御設備だった」
ノインの補助光学器が塔へ向く。
『旧ベルク式深坑巻上設備と推定します』
駅で待っていたオスカーが歩いてきた。
「遅かったな」
「隧道を爆破されかけた」
「電信で聞いた」
「灰色の二人は」
「こっちには来てない。少なくとも駅の検問は通ってない」
「回り道か」
「車なら旧軍道がある」
エルナも後ろから来る。
ノインを見上げた。
「壊れたか」
「増えた」
ミラが答える。
「動けるか」
『固定解除後の自力歩行は推奨できません』
「正直で助かる」
『以前から同じです』
オスカーが低床貨車の連結器を見る。
「このまま《灰走》へ戻す。だが、少し問題がある」
「またか」
「水だ」
機関車の給水塔を指した。
古い鉄塔。
その下に貯水槽。
だが給水管からは、細い水しか出ていない。
「蒸気機関車の給水が足りん。予定なら二時間で満水だが、今の流量だと六時間以上かかる」
「ポンプは」
「壊れた」
「直せばいい」
「それを頼みに来た」
駅舎の方から男が一人歩いてきた。
五十代ほど。
片脚を引きずっている。
作業服には、西方鉄道局ではなく町営設備組合の古い標章。
「町の設備主任、ヨハン・ライツ」
男はミラに名乗った。
ノインには目を向けない。
「リーヴァの技術員だと聞いた」
「一応」
「給水ポンプを見てほしい」
「部品はあるか」
「それを見て判断してくれ」
「代金は」
オスカーが割り込む。
「《灰走》の給水費に含める」
ヨハンが言う。
「町からも払う」
「何でだ」
「列車が行った後も水は要る」
ミラは工具袋を持った。
「見るだけ見る」
ノインが通信器を開く。
『私も設備情報を要求します』
ヨハンの足が止まった。
初めて、ノインを見上げる。
右腕のない機体。
固定鎖。
三本指。
旧アルディアの骨格。
「あれも技術員か」
ミラが答える。
「設計と解析はあいつ。現物を見るのは私」
「アルディア製だな」
『はい』
「自律型か」
『はい』
ヨハンの顔から表情が消えた。
「ポンプ室には入れるな」
ミラが眉を寄せる。
「貨車から動けない」
「回線もだ」
『理由を要求します』
ヨハンがノインを見る。
「お前たちの回線で、この町は鉱山を失った」
駅の周囲が静かになった。
エルナは口を挟まない。
ユリアも端末を閉じた。
ミラだけが尋ねた。
「何があった」
「来れば分かる」
ポンプ室は鉱山の第一巻上塔の裏にあった。
低い煉瓦造り。
内部には三台の大型ポンプ。
一台は分解済み。
一台は軸を抜かれている。
最後の一台だけが、給水塔へ水を送っていた。
その最後の一台も、異音を立てている。
ミラは入った瞬間に顔をしかめた。
「止めろ」
ヨハンが言う。
「止めたら列車へ水が行かない」
「今止めなければ軸が焼ける」
「あと二時間持たせたい」
「持たない」
ミラは軸受けへ触れた。
熱い。
油槽の窓は濁っている。
油量はある。
だが潤滑していない。
「油路が詰まってる」
「昨日掃除した」
「入口だけだろ」
「全部開けた」
ミラは耳を近づける。
軸受けの奥。
一定周期で音が抜ける。
「詰まりじゃないな。油環が割れてる」
「外から見えないぞ」
「音が一周ごとに消える」
ヨハンは疑った顔をした。
ミラは軸受け蓋を指した。
「開けろ」
二人でボルトを外す。
蓋を持ち上げる。
内部から、半分に割れた油環が落ちた。
ヨハンは黙った。
「予備は」
「ない」
「作れる」
「工房の旋盤は止まってる」
「何で」
「電動機が死んでる」
「なら手で削る」
「二時間で?」
「材料次第だ」
ヨハンは部品棚へ行く。
そこには、新旧の部品が混ざっている。
西方製の軸受け。
ドラク製の弁。
セレスト製の計器。
そして奥に、アルディア文字の刻印が入った箱。
ミラが箱へ手を伸ばすと、ヨハンが先に閉めた。
「それは使わない」
「中身は」
「旧鉱山設備の予備品」
「油環があるかもしれない」
「使わない」
「理由は」
ヨハンはポンプ室の外を見た。
止まった巻上塔。
「開戦前年、この鉱山は一日六千トンの鉱石を出してた」
ミラは黙って聞く。
「巻上機も排水ポンプも選鉱設備も、半分以上がアルディア製だった。性能はよかった。こっちの機械より小さくて、燃料も食わなかった」
男は壁際の古い制御盤を指した。
銘板。
アルディア語。
遠隔認証端子。
「契約問題が起きた。部品代の支払いが遅れた。西方政府がアルディア製設備の輸入制限を始めた。どっちが先だったか、俺にはもう分からん」
ユリアが小さく言う。
「経済制裁の前段階です」
「名前はどうでもいい」
ヨハンの声が硬くなる。
「ある朝、第一坑の排水ポンプが止まった。故障じゃない。認証鍵が失効した」
ミラは制御盤を見る。
「遠隔停止」
「そうだ」
ノインの声が、ミラの携帯端末からだけ聞こえた。
『戦前の輸出設備には、技術流出防止と不正転売防止のため遠隔認証機能が実装されていました』
ヨハンにも聞こえた。
男の顔が歪む。
「便利な説明だな」
『説明であり、正当化ではありません』
「同じだ」
『違います』
「坑道には地下水が入る。ポンプが止まればどうなるか、お前なら計算できるだろ」
『はい』
「再認証まで四日かかった」
ヨハンは巻上塔を見た。
「四日で下層坑は水没した。巻上路も落ちた。排水を再開したころには、坑道の半分が潰れてた」
「人は」
ミラが聞いた。
「全員、最初の日に上げた」
短い返答。
「死者はいなかった」
ミラは少しだけ息を吐く。
ヨハンはそれを見た。
「死ななければいい話か」
「そうは言ってない」
「鉱山は二度と戻らなかった。町の三千人が仕事を失った。若い奴は西へ行った。残った奴は軍へ入った」
男は自分の左脚を叩いた。
「俺もな」
その脚を戦争で失ったのだと、言われなくても分かった。
「アルディア側では、あれを何と教えた」
ヨハンが尋ねる。
ミラは少し考えた。
「技術保全措置」
「そうだろうな」
「西方が設計を盗もうとしてたから必要だった、って」
「実際、盗もうとした企業もあった」
ユリアが言った。
ヨハンが彼女を見る。
「知ってる」
「なら」
「だから遠隔で町を止めていいって話にはならない」
ユリアは答えなかった。
『同意します』
ノインが言った。
ヨハンが携帯端末を見る。
「お前が?」
『はい』
「アルディアの設計核が?」
『私は当時の政策決定へ参加していません』
「またそれか」
『しかし、現在その機能を評価することはできます』
「評価?」
『輸出設備への遠隔停止機能は、技術流出防止には有効です。同時に、購入側の社会基盤を供給側が一方的に停止できる構造です。安全装置ではなく、政治的強制手段として使用可能です』
ヨハンは黙った。
『この鉱山の事例では、その危険が実際に発生しました』
「じゃあアルディアが悪かったと?」
ノインの返答が遅れる。
『この事例については、遠隔停止を実行した側に責任があります』
「戦争全体は」
さらに長い沈黙。
『まだ判断できません』
ヨハンが鼻で息を吐く。
「機械のくせに歯切れが悪い」
『情報が不足しています』
「人間よりましだな」
それが皮肉なのか、少しだけ認めたのか、ミラには分からなかった。
ミラは予備部品箱を指した。
「開けていいか」
「アルディア製だぞ」
「油環は国旗で回らない」
ヨハンの口元が僅かに動いた。
鍵を開ける。
箱の中には、巻上機用の予備軸受け。
小型ポンプの羽根。
認証端子。
そして直径の違う油環が三本。
「一番小さいのが近い」
ミラは取り出した。
ポンプの軸径より一センチ大きい。
「そのままじゃ入らない」
「切る」
「輪を切ったら油を拾わない」
「一度切って、短くして、継ぐ」
「溶接したら重くなる」
「だから溶接しない」
ミラは油環の端を見た。
「斜めに切って、重ねる。銅線で三点だけ縛る。回れば油は上がる」
『接合部の質量偏位により、回転時の振動が増加します』
ノイン。
「どのくらい」
『毎分一二〇回転で、軸受け荷重が推定六パーセント増加』
「今のポンプ回転数は」
ヨハンが答える。
「九十」
「四パーセントぐらいか」
『推定四・六』
「持つ」
『連続運転時間を要求します』
「列車へ給水するまで二時間。その後は町でゆっくり直せ」
ヨハンが言う。
「町の分も必要だ」
「一日持たせたい?」
「できれば」
ミラは油環を手で弾いた。
澄んだ音。
材質はいい。
「一日なら、継ぎ目を二か所に分ける。一本を二分割して、対角で重ねる。偏りが消える」
『構造強度は低下します』
「回るだけで引っ張られない」
『起動時の衝撃があります』
「だから最初だけ手で軸を回す。油が上がってから電動機を入れる」
ノインは数秒計算した。
『実行可能と判断します』
「最初からそう言え」
『最初の案は提示されていませんでした』
「細かい」
作業は一時間ほどかかった。
油環を切る。
端を斜めに削る。
銅線を焼き鈍し、三点で縛る。
継ぎ目が対角になるよう二つの半輪を組む。
軸受けへ戻す。
蓋を閉じる前に、ミラが手で軸を回す。
一周。
二周。
三周。
油環が油を拾う。
上へ持ち上げる。
軸へ落とす。
「いい」
ヨハンが電動機の開閉器へ手をかける。
「待て」
ミラは耳を近づける。
「もう一周」
手で回す。
音。
継ぎ目が通るたび、僅かに高くなる。
だが引っかからない。
「入れろ」
開閉器が落ちる。
電動機が唸る。
ポンプ軸が回り始める。
三十回転。
六十。
九十。
油環が追従する。
軸受けの音が変わった。
乾いた擦過音が消える。
水圧計の針が上がる。
「給水塔、流量戻った!」
外から声。
「毎分七百!」
「八百二十!」
「まだ上がる!」
ヨハンが軸受けへ手を置く。
温度が下がり始めている。
「持つか」
「二時間は」
ミラが言う。
「一日は」
「朝に開けて見ろ。銅線が伸びてたら締め直せ」
「部品代は」
「箱の中の部品だろ」
「修理代」
「列車長に取れ」
「町から払うと言った」
ミラは少し考えた。
「なら、油を一缶くれ。ノインの腰用」
ヨハンが低床貨車の方を見る。
「アルディア機に使うのか」
「今は西方の作業機油圧器がついてる」
「何だそれは」
「見れば分かる」
ヨハンは初めて少し笑った。
「一缶持っていけ」
給水塔の管から、水が太く流れ始めた。
《灰走》の炭水車へ注がれる。
止まっていた機関車が、少しずつ出発できる状態へ戻る。
ミラはポンプ室を出た。
巻上塔の横を通る。
ノインは低床貨車へ固定されたまま、遠くから三基の塔を見ていた。
『ミラ』
「何だ」
『質問があります』
「言え」
『遠隔停止機能は、設計上は正当な保全手段でした』
「当時のお前の規則では?」
『はい』
「今は違う?」
『用途によります』
「随分便利な答えだな」
『単純化できません』
ミラは止まった巻上塔を見る。
「アルディアじゃ、西方は資源を止めて国を潰そうとしたって教わった」
『西方側の記録では、アルディアは設備停止機能で他国産業を支配しようとしたとされています』
「両方、本当だったりするんだろ」
『可能性があります』
「嫌な戦争だな」
『戦争に、好ましい分類が必要ですか』
「そうじゃない」
ミラは考える。
自分の中にあった戦争は、空襲と配給と不足だった。
西方。
封鎖。
爆撃。
敵。
分かりやすい言葉だった。
その向こうに、止まった鉱山があるとは知らなかった。
「敵が悪かったと思ってた方が、楽だったって話だ」
ノインの返答は少し遅れた。
『私は、陣営分類による敵味方判定を大量に保持しています』
「消すか」
『いいえ』
「何で」
『それも、私がどのように設計されたかを示す記録だからです』
ミラは顔を上げた。
「珍しいな」
『何がですか』
「前のお前なら、役に立たない古い判断規則は削除しようとした」
ノインは黙った。
『現在は、削除前に保持価値を検討します』
「記憶槽を捨てなかったせいか」
『それだけではありません』
「じゃあ何だ」
長い間。
『まだ説明できません』
「そうか」
それで終わらせた。
夕方までに、《灰走》への給水は完了した。
低床貨車も再び最後尾へ連結される。
工作車の工員が支持架へ補強板を当て、左前輪には応急の肉盛りが施された。
完全ではない。
セレネまでは再検査を繰り返す必要がある。
出発前、ヨハンが油缶を一つ持ってきた。
低床貨車の脇へ置く。
「西方規格の油だ。粘度が違う」
「今の外付け油圧器には、こっちの方が合う」
「アルディア機へ西方の油か」
『すでに左膝は民間作業機、冷却器は鉄道部品です』
ノインが答えた。
ヨハンは見上げた。
「自分で気にしないのか」
『性能が維持できれば、部品の出自は問題ではありません』
「国は?」
『それも部品と同じか、という質問ですか』
「そうだ」
ノインはすぐには答えなかった。
『分かりません』
ヨハンは鼻を鳴らした。
「その答えは覚えておけ」
『理由を要求します』
「簡単に答える奴ほど、また人を地下へ置き去りにする」
ノインの琥珀色が、止まった巻上塔を向いた。
『記録します』
「記録じゃなくて覚えろ」
『私にとって、その二つの差は明確ではありません』
「なら、そのうち分かれ」
ヨハンはそれ以上話さず、駅へ戻った。
《灰走》の汽笛が鳴る。
列車が動き始める。
三基の巻上塔が、少しずつ後ろへ下がる。
そのうちの一本に、古いアルディア文字が残っていた。
高効率。
長寿命。
遠隔保全対応。
売り文句だったはずの文字。
町の側から見れば、別の意味を持つ。
ユリアが低床貨車へ来た。
「さっきの話、記録していい?」
ミラが聞く。
「どこから」
「ノインが、戦争全体をまだ判断できないと言ったところ」
ノインが先に答えた。
『私は許可します』
ユリアはミラを見る。
「私は関係ないだろ」
「あなたの発言も入っている」
「残せ」
ユリアが端末へ保存指定を入れる。
「監察報告にはどう書く」
ミラが聞いた。
「未分類意思応答体が、自己の出身陣営に不利な事例を認識しても、即座に否認または正当化しなかった」
「長いな」
「仕事だから」
『補足を要求します』
ユリアがノインを見る。
「何?」
『私はアルディア側の行為だけを違法と判断したわけではありません。西方側による技術窃取、輸入制限、資源供給停止についても、今後検証が必要です』
「分かった。付記する」
『ありがとうございます』
ミラは線路の先を見た。
丘が低くなる。
遠くに、何本もの黒い柱が立っている。
樹木ではない。
砲撃で焼けた旧電柱。
その向こうには、地面を横切る長い土塁。
鉄条網。
崩れた掩体壕。
旧ヴァルナ前線。
エルナが車両間から顔を出す。
「ここから先は窓を閉めろ。まだ不発弾が出る」
「三か月経っても?」
「二十七年分埋まってる」
『前方十一キロメートルに、旧戦闘区域を確認します』
ノインが言った。
「敵味方は分かるか」
ミラが尋ねる。
『旧軍記録上は識別できます』
「今は」
琥珀色の光が、遠い塹壕を向いた。
『現在は、どちらも存在しません』
列車が前線へ近づく。
線路の左には、西方協約軍の墓標。
右には、回収されずに残ったアルディア機の骨格。
同じ雨を受けている。
誰が正しかったかを示す標識はなかった。
あるのは、どちら側にも壊れたものが残っているという事実だけだった。
《灰走》は速度を落とさず、その間を進んだ。




