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第六楽章 七尾の女狐

 桂小五郎に教えられた別宅に着くと、

 室内からは妖しげな声が漏れ聴こえ、

 覗き見などはしなくても、


「こんな明るいうちから」


 お取り込み中なのが、よく分かった。

 とりあえず俺は、


「呉服商の旦那が帰るのを待つか」


 と、物陰に身を潜める。そして、

 しばらくすると、身支度を整えた旦那が、


「じゃあ、また来るから」


 ニヤけた顔で玄関から出て行く。

 その後、旦那と入れ替わるように俺は、

 室内に押し入った。だが、


「あら、あなたは人斬りさんね」


 と、余裕の態度で女は応じる。


「そうだ。お前を殺しに来た」


 その言葉を聞いても、女は動じない。


「私は七尾の女狐と呼ばれているわ」


 と、名乗りながら、

 着物の胸を開けて、白い肌を見せつける。


「色仕掛か」


 俺は鼻で笑ったが、七尾は、

 美しく整った顔から妖艶な笑みを魅せて、


「どうせ殺すなら、楽しんだ後にしたらどう?」


 などと俺を誘惑した。

 おそらく、隙を誘う策略だろう。だから、


「お前は、こんなにも美しく生まれたのに」


 と、俺は語りかけながら、刀に手をかける。


「騙した男に抱かれ、毒で人を殺す」

「あんただってさ、人斬りだろうに」

「左様、お前と俺は、同じ穴の狢だ」


 そこまで言うと、俺は静かに刀を抜き、


 ズバンッ。


 血飛沫が舞い上がり、一刀で七尾を斬り殺した。

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