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第五楽章 饗談

 二十人程度が集まった志士の宴席で、

 毒殺されたのは六人だ。

 桂小五郎、勝海舟、宮部鼎蔵や俺は無事だった。

 後日、宮部は、こう吐き捨てる。


「料亭の使用人に饗談が紛れ込んでいたのだな」

「我々の内情も、かなり敵に掴まれていますね」


 俺と宮部は昼下がりの茶店で、

 ヒソヒソと話をしていたのだが、

 そこへ桂小五郎が顔を見せた。そして、


「あの宴席で毒を混入した犯人が分かった」


 と、言う。

 その言葉を聞いた宮部は即座に問う。


「いったい、どこの誰だ?」

「女だ。居場所も特定した」


 桂は確信を得た表情で答え、

 その後、俺の方へと視線を向けた。


「殺してくれるか?」

「無論、殺しますよ」


 そう応じた俺だが、

 やはり女性の殺害には抵抗感がある。それでも、


「俺の仕事は暗殺ですから」


 殺るしかないだろう。そして宮部も、


「よろしく頼む」


 と、俺を当てにしているようだ。


「で、女は何処に?」

「呉服商の別宅だよ」


 俺の問いに桂は即答した。その話によると、


「女は最近、呉服商の妾になったらしく」


 与えられた別宅が、

 京での饗談の活動拠点になっていることは、


「当事者の豪商も知らないらしい」

「しかし詳しく調べたものですね」

「京には長州の密偵も、大勢いる」


 と、桂は言い、そして、

 俺は桂に教えられた、その別宅へと向かった。

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