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第二楽章 奏鳴曲・月光
京の町で宮部鼎蔵と俺は、
長州藩の志士と行動を共にしていた。
藩は違うが、互いに、
「倒幕・尊王攘夷」
という思想で結ばれ、共闘していたのだ。
この夜も、
長州の志士たちの宴席に参加していたのだが、
「新見を斬ったのは悪手だったな」
と、長州藩の桂小五郎が宮部に言った。
「それは、なぜ?」
宮部がムッとした顔で問うと、
桂は、こう応えた。
「芹沢鴨が躍起になっている」
芹沢鴨とは、新選組の筆頭局長で、
新見とは新選組結成以前から、
親友のような関係であったらしい。
また、芹沢は神道無念流の達人でもあるという。
「新選組は密偵を雇って我々を探っているらしい」
桂が、そう発言したので、俺は質問した。
「その雇われた密偵とは、どこの誰なのですか?」
「賭場に出入りしている遊び人の銀太郎らしいよ」
「そこまで解っているのなら、斬り殺しましょう」
そして、俺は刀を片手に立ち上がり、
「おい、どこへ行く?」
と、宮部が尋ねるので、
「銀太郎を斬ってきます」
そう応えて、俺は宴席から離れた。
外に出ると、夜空に月が出ている。
低い位置の赤い満月だった。
「まるで血のような色だな」
その不吉な月を眺めながら、独り、歩く。
「志士は、皆、理想的な未来を夢見ている」
そして、今夜も俺は血の雨を降らせるのだろう。




