ラスト 「恋愛災害認定」
崩れた第二回廊では、
修復班が慣れた手つきで瓦礫撤去を始めていた。
慣れた手つきなのが嫌すぎる。
木材運搬。
魔力測定。
危険区域封鎖。
全員の動きに無駄がない。
完全に災害対応だった。
その中心で、
バルド
が腕を組み、崩壊現場を見上げている。
そして一言。
「あー……壁ドン系か」
分類されていた。
レオノーラは思わず振り返る。
「分類されておりますの?」
「されてる」
即答だった。
バルドは慣れた様子で瓦礫を蹴る。
「去年から増えた」
嫌な進化である。
修復班の若い職人が、手帳を見ながら確認する。
「壁ドン系は恋愛災害レベル3ですな」
「レベル3……」
もう災害区分が存在していた。
「ちなみに爆発伴うとレベル4」
「最高はいくつですの?」
「合同告白祭でレベル7」
国家危機では?
別の職人が会話へ混ざる。
「今回、柱二本と壁面崩壊だけなんで軽傷です」
「軽傷……」
基準がおかしい。
そのまま修復班は淡々と話を進める。
「予算申請通します」
「資材足ります?」
「たぶん無理」
「じゃあ旧校舎解体予定分回しましょう」
完全に自然災害復旧会議だった。
一方、
クラリス・エヴァレット
は少し離れた場所で帳簿を見ながら震えている。
「また予算が……」
魂が削れていた。
その隣で、
ガイウス・ベルンハルト
が小さくなっている。
「……本当にすまん」
「もう貴方個人の問題ではない気がしてきましたわ」
レオノーラは半分本気でそう思っていた。
彼女はゆっくり崩れた壁を見上げる。
薔薇模様の焼け跡。
割れた柱。
崩れた天井。
ロマンチックの成れの果てだった。
そして静かに呟く。
「この学園……」
一拍。
「まず耐震補強が必要ですわね……」
切実だった。
その時。
遠くで爆発音。
ドゴォォォン!!
全員が反射的に空を見た。
もう条件反射である。
すると、
エマ・ローレンス
が窓から身を乗り出し、元気よく実況する。
「あ、今度は屋上告白イベントです!」
「何が爆発しましたの!?」
「たぶん給水塔です!」
「なぜ!?」
「盛り上がったので!」
万能理由やめろ。
レオノーラは数秒黙った。
そして。
心の底から呟いた。
「もう嫌ですわこの学校」




