第60話 自分でお確かめになりました
祝60話!
「サリュさん。後で連れて来るんですが、ディナとヴィラが泥だらけになっちゃったんで、服の用意をお願いできますか?」
「かしこまりました」
「あと、捕まえた傭兵を入れる牢ってありますか?連れてくるので、場所を教えていただきたくて」
「服と一緒に地図を用意しておきますね」
それと、とイダーテは言い淀む。
「なんでしょうか。ご主人様のスリーサイズはお教えできませんよ」
「いらないですー」
突然何を言い出すんだこの人は。
サリュはハッとしながら拳を叩いた。
「つまり、自分でお確かめになると」
「違いますー」
「でも、ラピス様のお体を隅々までお触りになったのでしょう?」
「言い方ーお猫様姿ー!!」
この感じ、確かにこの人サイハテの遺伝子持ってる。
エミアさんやエルダさんみたいに冗談が冗談にならないような話で揶揄ってくる人種。
苦手だなぁ。
でももう決めたから、言わないと。
ふう、とため息をついて一旦落ち着く。
「その、ラピスの護衛が、サリュさん以外今誰もいないと聞いたんですが」
「私はメイドですが。つまり?」
「ラピスの護衛ってどうしたらなれますか」
_______
イダーテに部屋まで送り届けてもらうと、やっぱり自分からサリュさんに頼むと言って彼は部屋を出ていった。
「なんだったんだろう」
今のうちに着替えよう、そう思ってイダーテから借りた上着と破れた服を脱ぐ。
「ビリビリね……」
傭兵に斬られたところが放置していたからか裂け目が大きくなっている。
着るのが楽だったので気に入ってたけど捨てるしかない。
ふとイダーテの上着を見ると、裾はほつれ、ボタンが取れかけていた。
「相当年季が入ってるじゃない、これ」
後で付けなおしておいてあげよう。
そう思って、ぴたりと止まる。
「待って?」
イダーテが毎日この制服を着ているところしか見たことがなかった。
まさかこれを毎日着回してたり?
おそるおそる匂いを嗅いでみる。
「あ、ちゃんと洗濯はしてある、大丈夫そ「ラピスー今から二人迎えにい……」
一瞬の沈黙。
イダーテは顔を手で隠し、すすすっと出て行きパタンとドアを閉める。
ラピスは上着を持ったまま座りこむ。
『みてないです、みてないです、みてないです。ごめんなさい。ごめんなさい。なにもみてません。イダーテは何もみてないですーぅー!!記憶から抹消ー!!』
と、ドア越しに声が聞こえる。
こ れ は み え て た
ラピスはよろよろとクローゼットの手前にあった適当な服を着て、布団に潜り込む。
さっき、何を見られた?
自分の下着姿。
イダーテの上着を嗅いでいるところ。
ラピスは涙目になって顔を覆う。
私変態だあああああああああああああ!!!!
ベッドの上でうずくまる。
傍目から見たら明らかに変態に見える。
いや、まだ上着の言い訳はできる。
自分の腰に巻いてたから、汗の匂いが染み付いてないか気になってとかそういう言い訳が。
いやそれもなんか恥ずかしい!!
そもそも下着姿を見られたのが恥ずかしい!!
たった二日でイダーテに恥ずかしいところばかり見られてるのは一体なんなの!?
デート(追跡)して
醜態を晒し慰められ
身体(猫姿)の隅々まで撫でられ
可愛い(寝言)と囁かれ
お姫様抱っこ(緊急)されて
怒られて
お腹(事故)見られて
怒られて
上着を嗅いでるところを見られ←New!
下着姿を見られ←New!
ともかく、変態だという誤解は解きたい。
サイハテの能力でピンポイント完全記憶消去とかないのかしら。
でも今は無理。
「あああああああああ」
ラピスは声にをならない叫びをあげる。
あ な が あ っ た ら
は い り た い




