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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第59話 事後処理

「さて、これからどうするかねー」


村人たちは周りを見渡した。

ばたばた倒れている傭兵を片付けなければならないし、これで全員なのかもわからない。

騎士団や近衛兵はドラゴンの登場で混乱に陥っていたのだからすぐには駆けつけてくれないだろう。


ディナの怪我は治したけど、服がどろどろだ。

それに疲れたのかディナとヴィラが寄りかかるように眠ってしまった。


「近衛兵が来るまでここに一人見張っていた方がいいな」

「私が残るよ」


エリーが名乗り出た。


「え、オレ残ろうと思ってたんだけど」

「大蛇様が待ってるでしょ?」


少しの間があったがシータは思い出したようだ。


「すっかり忘れてた……」


シータは届くかわからないが「申し訳ありません。もう少ししたら行きます」と手を合わせて念じておく。


「んーじゃあ行って来なよー僕が何回か分けて往復しようかな」

「悪いわね」


「ラピス、先に送るからサリュさんに服とか用意お願いできないかな、あとこの人たち入れるから牢屋の場所教えてほしい」


「わかったわ」


ラピスは返事をしたが、イダーテを除く全員があれ?と首を傾げた。


「もしかしてコイツらも運ぶつもりなのか?」

「うん」


「大人数だけど、大丈夫なの?」


「上から行けば狭い道とか関係ないし」


「いや、そうじゃなくて重いでしょ」


イダーテより大きくて体格の良い傭兵がごろごろといる。


「べつに、昔よく運んでたし……あ、でも引きずりながら運ぶのもいいよね、仕返しに」


イダーテの真っ黒に染まった目が開眼する。


「イダーテお兄ちゃん……」


「あ、ごめん起きちゃった?子供に聞かせる話じゃなかったね。ごめんごめん」


あっはっはと笑う。


「通信機、エリーが持ってた方がいいよな」


シータがウエストバッグの中に入れていた通信機をエリーに渡す。


「え、でも大蛇様関連でなんかあったら……」


「じゃー僕が持ってたの使ったら?どうせここは往復するから。いいよね?」


イダーテは耳につけていた通信機をシータに渡す。


「ええ、その方がいいと思う。というかシータあなた耳にかけてなかったのね」


「小さいから飛んでいきそうで怖くて。あと、イダーテの声がでかいから遠ざけてても聞こえる」


「周囲の声も聞こえるなぁって思ってたらそういうことかぁ、そしてとうとう呼び捨てかぁ」


「そうね、確かに大きいからエリーの耳が潰れちゃうって思ってシータに渡したのよ」


「「ひどい」」


___________



傭兵見張り&待機組のエリーは耳に通信機をつけた。


「えっと、これ押せばいいんだよね」

『エリー聞こえるか?大丈夫か?』


シータの低くて落ち着く声がクリアに、耳に直に聞こえる。

まるですぐ横で囁いているみたいだ。


さすがラピス製の通信機。うん。


「……うん、聞こえる。そっちも大丈夫?」


『ん。ちゃんとこっちも聞こえる、大丈夫そうだな』


「傭兵も全員まだ気絶してるし、身動きできなくしてあるから心配しないで行ってきて」


『ああ、また連絡する』


通信が終了するとエリーは思わずしゃがみ込んだ。


(なんだろう、なんだろうこれ、破壊力がすごい)


ぷしゅーっと何か出て来そうだ。


「……ラピスお姉ちゃんどしたの、大丈夫?氷溶けはじめてるけど」


ヴィラに言われてエリーは慌てて魔法をかけ直す。


「ごめん、ちょっと耳がやられただけだから、はははそうだイダーテお兄さんが運ぶなら強化魔法もかけないとねえ、ははは」


ペンダントのトラウマで魔導具もあまり使ってこなかった村人にとって、この最新の魔導具はとても心臓に悪かった。


なるほど、これは危険物だなぁ。


___________



イダーテとまた抱えられたラピスは王城には戻らず、何故か屋根の上で止まっていた。


「何故立ち止まってるの」


「質問がありまして」


「今度は何に怒ってるの」


「よくお分かりで」


にっこり笑うイダーテ。

すっと真顔になる。


「あの王家のペンダントやらがあるからあんな無茶したの?あんなのあったとしても自分の身体が壊れるってことだよね?完全に自分を犠牲にしようとしてたってことじゃん、どうして言わなかったのかなぁ?」


顔が近い。


「う、言ったらもっと怒ると思って」


イダーテはもおおおおおと長いため息をつく。


「めっちゃ怒ってる」

「ごめんなさい」


ラピスの耳が折れる。


「それと、ずーっと思ってたんだけどどうして護衛がいないのかな?王族の自覚がないのかな?」


「それはあるわよ。しょうがないじゃない、護衛にできる信用できる人がいないから」


「もしかして狙われてるの?」


「そうね。昔は護衛もいたのだけど、みんな買収されて毒を盛られたり暗殺者をけしかけたり嫌がらせだったり、色々されたわ」


妾の子の癖に獣人の癖に、占いができる青い瞳を持っている、それだけで疎まれる。

面倒になってサリュ以外全員追い出しちゃった、とその時の事を思い出すように言う。


「だから何度も死にかけて再生しての繰り返しで慣れちゃったの」


笑いながら話すが、イダーテは不服そうにラピスをみる。


「や、約束は守るわよ!その顔は何!!」

「エリーたちはその事は」


「言ってないわよ、だって巻き込んじゃうもの。このことは言わないでね」


「言わない……わかった」

「よかった」


「その事は言わないけど。今のわかった、はそれの為のわかったじゃない」


「え?」


イダーテが突然走り加速する。


「どういうことぉぉぉおおおおお」

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