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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第54話 嘘つき

傭兵が入ってくる前に二人は力ずくでロープを外す。

ヴィラは弾け飛ばすが正しいかもしれない。


そして小さな声で「せーの」という声を合図に壁に体当たりをした。


ドバァーンと大きな音がした。

壁の板が向かい側の壁まで吹っ飛んだようだ。

壁の裏が外だとわかると二人は同時に走り出す。


後ろの方で逃げたぞ!と怒鳴る声が聞こえる。


わざと壁を壊す時って結構爽快なんだな、なんていけないことを考えてしまう。

発信機はディナが持っているので離れないようにしないといけない。


「ぐるぐる走り回ってたら抜け出したって気づくんじゃないかしら」

「あの傭兵さんたちも捕まえないといけないから、離れすぎないほうがいいのかな」


商店街っぽい通りを走りながらどうしよう、と考えていると


「そこのサイハテのガキどもは盗っ人だ!!捕まえてくれ!!」


傭兵が嘘をついた。

なんだなんだと、道ゆく人の視線が集まり、ヴィラの足が一気に重くなる。


『化け物』


景色がゆっくり歪んで見えた。


_______



「もしもしシータ?無事にエミアさんに治して貰ったよー。僕がラピスに色々怒っておいたから安心してって後でエリーに伝えといてねー」

「泣きながら、ね」


チクるイダーテに思わずボソリとラピスは呟く。


「お?これは反省してないね?」

「してるわよ」


「それで今どこにいるー?まだ見つからない?」


『……今、片方の腕輪のところにたどり着いたところだ。姿が見当たらない』


『シータ!あそこ壁が壊れてる!ここに閉じ込められてたんだ!!』


少し遠くの方でエリーの声が聞こえる。


「なるほど、これでもう一個の拠点はわかったと」


『もう一つの腕輪は商店街の方に向かってるようだ。また連絡する』


「了解ー僕も少ししたらそっちに向かう「私も行くからね」


イダーテが不満そうにこちらを見ながら通信機のスイッチを切った。


「休んでなって。危険な目に遭ったばかりでしょー」

「占いの結果をちゃんと見届けないと。また何か起きるかもしれないもの」


イダーテはそういえば、とエミア様から貰った紙を見た。


「うーん、これはさすがに無理があるでしょ」

「何が書いてあるの?」


はい、とラピスにメモを渡す。


〜〜〜〜〜


◎能力を解呪っぽく使う方法

1. 落ち着いて深呼吸する

2. 周りに人がいない事を確認する

3. 治したい人と引き剥がしたいものを確認する

4. 掴むイメージをする

5. いたいのいたいの飛んでけ〜感覚で引き剥がす


☆point

やさしい気持ちで、必ず周りに人がいないことを確認しましょう。


〜〜〜〜〜


思わず目が点になった。


「うん、まあ、確かに理にかなっているかもしれないわ。拘束具の外し方っぽいわね」


「確かに、拘束具がはめられて僕が運ぶにしても、僕の能力まで制限されたら動けないもんね。その場で外せるようにする必要があるってことか」


それを誰がやるのか。

これをみる限り、あの子なのだろう。


「教えないとどのみちできないわ。行きましょう」

「そうだね。ところで、お猫様の姿になる時って魔力を使っているのかな?」


「ええ、確かに体の大きさを変えるわけだから多少は使うけれど」


突然どうしたのだろう。

お猫様になった方が彼にとっては嬉しいことなのではないのだろうか。


「そして実は魔力、あまり残ってないよね?大怪我してたし、そこから結構流れ出ちゃったよね?傭兵も言ってたし」


「あ」


イダーテはにっこり笑って言った。


「そのまま運ぶから強化魔法だけにしてね?」


これは、絶対わかってやっている。

絶対わざとだ。

来る時、私が嫌がってたのをわかってやってる。


はあ、とラピスはブランケットを外して自分に強化魔法をかけた。


「かけたわよ」


そう言ってさっさとやりなさい、運びなさいよとイダーテを見ると上着を脱いでこちらに差し出し、顔を片手で隠し背けていた。耳が赤い。


「今度は何」


「おなか」


え?と自分の腹部をみるとぱっかり露わになったお腹が見えていた。

この間猫姿でちょっとつっかえて太ったんじゃないかと心配になっていた腹部が見えている。

立ちあがろうとしたからか、服が腰までずり落ちている。

白いレースの下着と紐が少し見えている。

傷は綺麗さっぱり消えている。


そうか、エミア様はこうなってたからブランケットをかけてくれたのか、そうか。

そういえば、エミア様は《《治療は》》終わったって言ってた、うん、そういえば。

そうだった、治癒魔法は布までは治らないんだった、そうだった。


「一瞬しか見えてない、見えてない、大丈夫、大丈夫、これは事故」


イダーテから上着を受け取り、静かに腰に巻いた。

きゅ、と締めるとラピスはなんとか笑顔をつくる。


「服しばらく借りるわ。もういいわよ、ありがとう」


「ははは、跡もなさそうだったし綺麗に治してもらえてよかったね」


少しの間があった後、にぎゃああ!!という声と共にバシーンという音が部屋に響き渡った。

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