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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第33話 おしのび調査

宿屋を出たエリーたちはシルビアさんに地図を描いてもらったトマト料理店へと向かう。

ヴィラはトマト料理が好きだし、ディナはいつもよりグレードアップした髪型にるんるんご機嫌だった。

結び方を色々変えてみたけれど、最終的に編み込み入りのツインテールに落ち着いた。

リボンはアクセサリー屋さんで買った新しいリボンだ。


「でもやっぱりツインテールなのね」

「落ち着かないのよ。バランスのせいかしら」


編み込みがあってもツインテールなら落ち着くらしい。


おさげにしたりお団子にしたりエルダさんみたいに後ろで結んだりしてどれも可愛かったけれど、どれも落ち着かない様子だった。


可愛かったのに。


エリーお姉ちゃんはやらないのかと聞かれたが、こういうのは可愛い女の子がやるから可愛いのよ、と言っておいた。

首を傾げられたが、いや何故。


「エリー、ちょっと地図よくわからないから見てくれ」


シータが手招きをして地図を見せて来た。


「ん?さっき見たけどそんなに難しくは……」


シータが指をさしたところに小さな文字。

”誰かにあとをつけられてる”


「なるほど?」


私はいつものシータの腕に書いてる魔法のインクで紙をなぞる。


”何人?”


「2箇所かな。ここに一つ、少し遠くに二つ……ここは見た事ある。こっちは評判が悪そうだ」


見た事あるというのは知り合いの二人、悪意がある者が一人って事かな。

遠くの二人はそれを追っているのかもしれない。


「うーん、ここに入ってから様子見かな」


エリーは元々目的だったトマト料理のお店を指さした。


「わかった」


アクセサリー屋さんで聞いた、サイハテの子供が狙われている事を思い出す。


「ディナ、ヴィラ。人が多いところに行くかもしれないから、二人は手を繋いで離れないようにね」


_______


エリー達たちと、それをつけている謎の男の後を監視する二人。

ラピスはイダーテがその辺で買ってきたコロッケとコーラを持っていた。


(何故私は知り合ったばかりの異性と食べ歩きなんてしているのかしら)


ラピスはこのよくわからない状況に首を傾げる。


王族は政略結婚が基本だ。

ラピスには婚約者はいないが、王族特有の占いができるので子孫を残す為にいつかは知らぬ誰かと結婚させられるだろうなとは思っている。

だからできるだけ異性との交流は避けてきた。

そもそも人の視線が嫌いなのでひっそり息を殺していたので存在すら忘れられているだろう。

でもエリーとシータの楽しそうな姿を見ていると、恋愛もいいなぁなんて憧れてしまうのだ。

ただの幼馴染らしいけれど?


異性との初めてのお出かけが、この人だとは。

いいえ、これはデートでもなんでもない。ただの散歩よ。

いや、散歩じゃ私が散歩させられているみたいじゃない、これは調査よ!


「……でも、何故コロッケとコーラ?」


とても美味しい。

コロッケはコーンとポテトとお肉の配分が絶妙で、サクサクふんわり。

コーラはシュワシュワ甘くて美味しいのだけど。

何故コロッケ、何故コーラ。


「お腹すいたと思って。あと、ジャンクっぽいのがいいかなと」


「王族だからって馬鹿にしているのかしら?」


どちらも勇者が作り上げた伝統的なものだがどちらかといえば平民向けの食べ物である。

じとっとラピスはイダーテを睨む。


「そうじゃない、だっていつも手紙配達してるのに出歩いてるところ見たことなかったから。こういうの食べた事あるの?」


イダーテはたまにエリーから頼まれて王宮に手紙を届けに行っていた。

他の王族を見かける事はあったが、ラピス第七王女に関しては肖像画だけで公の場でも見た事はなかった。

その相手がまさかお姫様(ラピス)だったとは思わないだろう。



「出歩くし、たまに食べてるわよ。見かけなかったのは多分認識阻害をかけていたからだわ。自分から声をかけると効かなくなってしまうけど」


「僕のお猫様センサーがまだまだだったという事ですね」


イダーテは悔しそうに拳を握る。

この人本当に猫の事になるとおかしくなるわね。

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