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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第30話 ライフラインの危機

「シルビアさんおはようございます〜」

「あらおはよう、今日はとても眠そうね?」


ヴィラは半分寝ているし、ディナは髪を縛っていないしなんなら欠伸をしている。


「流石にちょっと疲れているので、出かけるのは午後からにしようかと」

「そうね〜昨日話を聞いた感じ、普通の人だったら今日一日起き上がれないわよ」


シルビアさんはそう言ってフレンチトーストを机に並べる。


「シータは平気そうね」

「いつもは早朝に起きてるし、今日はゆっくり寝られたからな。剣術科にいた時は24時間ぶっ続けだったからまだ全然マシ」


何それ過酷すぎる。


「ディナちゃんいつものツインテールも可愛いけど髪を下ろしているのも可愛いわねぇ〜」

「ありがとう……シルビアさん……髪の毛、いつもお兄ちゃんに結んでもらってる……」


ディナがコクコクと眠そうにしながらもお礼を言う。

昨日は私が起きるのが遅かったから知らなかったけどいつもシータが結んであげてるのか。

だからリボン結びじゃなくて結んだだけなのか。


「後で結んであげようか?ディナの他の髪型も見てみたいな〜」

「んじゃあ、エリーにお願いする……」


ディナ様の許可が出ました。

三つ編みや編み込みも良いかもしれない。


「色々できるのにエリーちゃん自身はお団子なのね?」

「楽なので」


エリーの髪型はゴムでくるっとまとめただけ。


学院ではずっと勉学と魔術の研鑽に集中していたので、楽さを追求し続けていた為正直おしゃれに興味がないのだ。

それに失敗したり攻撃されたりしてボロボロになることが多かったから、可愛く結んだとしても気がつけば解けてぐしゃぐしゃになる結末。

だったらもうお団子で髪をまとめるだけで良いじゃない!という結論に至った。

ちなみに髪を切ることも考えたが、学院時代の友人にめちゃくちゃ止められた。


彼女曰く勿体無いらしい。


「まぁ〜美人さんなのに勿体ない。そういえば、サイハテの人たちって美醜あまり気にしないのよね」

「サイハテからすると村以外の人ってほぼ全く違う人種って感じなんですよね。髪色のせいかも」


あと恐れられてばかりいるから、美人でも魔女だの傾国だのと悪い意味で受け取るので嬉しいとかあまり思わない。


「イダーテちゃんも爽やか系美青年だからモッテモテなんだけど、イケメンですねって言うとそうなんですか?って言ってさっさと仕事に戻っちゃうのよ〜友達がモデルして欲しいって頼んだけど断られたらしいわ〜」


「イダーテお兄さん、村のライフラインみたいなところがあるからな」

「たしかに、他にも配達する人はいるけどイダーテお兄さんがいなかったら結構大変かも」


もう一人くらい同じような能力で配達できる人がいたら楽になるのかもしれない。

でもイダーテお兄さんのお父さんはもう引退しているし、兄弟はいないらしいから同じ能力の人は聞いたことがない。


「魔素に耐性がある魔術師で村に来てくれる人がいたらいいんだけどなー」


まあ、サイハテは嫌われているので望み薄だろう。


_______



「にゃん」

「!!!!!!」


その頃、噂のイダーテは翼猫様と対峙していた。


「にゃんにゃん」

「!!!!???」


そしてイダーテは混乱している。

猫アレルギーなので近づかないようにしているのに、翼猫が近づいてくるのだ。

触りたい、でもアレルギー、お猫様、近づいてくる、嬉しい、でもアレルギー。


「お、お、お、お猫様、僕、猫アレルギーなんですよぅ、ううう、可愛い……」


半泣きでそう言うと、突然翼猫が光り人型へと変わる。


「ごめんなさい、猫じゃなくて獣人なのだけれど。これでもダメかしら」


青い瞳に魔術師の服。少し垂れた猫耳にシャランと鳴る綺麗なイヤリング。


「お猫獣人様!?え!?いやっ貴方は!!もがっ」


お猫獣人様は声が大きくなったイダーテの口を片手で塞ぎ、しーっと人差し指で静かにするように促す。


「騒がないで。私、人の視線が集まるのが嫌いなの」


そう言うと、人気の少ない路地へと移動した。


「……てっきりお身体が弱く出歩かないものだと、思っていました」

「見ての通りよ」


とてもピンピンしている。


「でも、こんな所にいて大丈夫なのですか?」


王宮周りと違って結構物騒な地域だ。

相手はかなり高貴なお方。

イダーテは心配そうに周りを見回したが、お猫獣人様は平気そうな顔で言った。


「あなたに聞きたい事があって来たの。王宮近くじゃ、視線が気になるから」

「守秘義務があるのでものによりますが……」


「いいわ、ダメならダメと言ってちょうだい。エリーは王都にいるのでしょう?今どこにいるかしら」

「エリーですか?確かに今王都に滞在していますが」


イダーテは場所を伝えて良いものかと悩む。

するとお猫獣人様は写真を取り出した。

少し幼いが、エリーとお猫獣人様が笑って一緒に写っている。


「エリーとは学院時代からの友人なの。占いで悪い結果が出てしまったから、それを伝えたいの」

「悪い結果?」


イダーテの顔が曇る。


「ええ、でも心配はないと思うの。一応いらないと思うけど勇者に帰ってくるように伝えたし、彼女が自分で解決すると思うから。問題は、一緒にいるサイハテの誰か、ね」


それなら、とイダーテは宿屋の地図を書いたメモを渡す。


「日中は出かけてるかもしれませんが、ここにいると思います」

「……ありがとう。ところであなたの能力で私を連れて行くことはできないかしら?」


「すみません、物理的に走っているので人や生き物は運ぶことができないんです」


耐え切れる人じゃないと辛いだろう。高貴なお方を運ぶのも怖い。

「あなたの能力、転移じゃなかったのね」


お猫獣人様は目を丸くする。


「よく言われますが僕の能力は早脚です」

「じゃあ、魔法でコーティングした猫姿の私なら運べるかしら?お礼はするわ。何が良い?」


お猫獣人様は「ぽん」と再び翼猫の姿になった。

先程とは少し違い、毛の周りが虹色のパウダーのようにキラキラしている。


「お礼は……あの、不躾なお願いで大変申し訳ないのですが、後で罰を与えられても、ギロチンで処刑されても構いませんので、お願いがあるのですが」


翼猫様はにゃ?と首を傾げる。

何怖いこと言ってるの?そんな事しないわよという目をしている。


それでもイダーテは片膝をついて懇願する。


「……一度でいいので、全力でもふらせてください!!」

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