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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第25話 村人の体験入学

「うーん、どこを見たいか……」


ヴィラとディナはチラリ、とエリーを見た。


正直魔術科がどんなところなのか行ってみたさはあるが、エリーが行きたくないってわかってるのに無理やり行かせる形になって申し訳ないので言い出せずにいた。


「お二人はどこかおすすめありますか?」


「「そうですねぇ〜造形科はまだ企画する段階ですし、使役科も剣術科イベントの際は魔獣を外に出さないようピリピリしているので、今の時期はちょっと。治癒科に来て欲しいところですが、うめき声を聞いても楽しくないと思います。苦手な方もいるでしょうし。そうなるとやはり魔術科でしょうか」」


段々慣れてきたけどこの双子、本当に二人か?


「じゃあ次は魔術科行こうか」


エリーがしれっと言った。


「いいの!?大丈夫!?」

「エリー大丈夫なの?」

「大丈夫か?エリーだけ休んでてもいいんだぞ」


3人が同時に身を乗りだし心配する声を上げた。

エリーは一瞬目を丸くして慌てた。


「えっあっいや、もしかして私に遠慮してた!?ごめん、でも本当にいいのよ。これはディナとヴィラのための見学なのに、二人が見たいところを見学しなきゃ意味ないでしょう?私もそのつもりで来てるんだから」

「でもエリーお姉ちゃんだけ、残っててもいいんだよね?」


「「それなんですが、学院長が皆様にお会いしたいとのことなので、最終的に魔術科に来ていただく事になりますね」」


学院長は魔術の使い手でもあるから、理事長室もある魔術科の棟に行く方が無難だ。


「だよね。というわけで、どのみち行かないといけないからね?」

「……何それ」


ディナがむくれる。


「勝手すぎない?突然お兄ちゃんにイベント付き合わせておいて、嫌だって知ってる癖に会いたいから来いって。何様なの?」

「まーまー見学させて貰ってる身だからね、体験的な意味で良かれと思ってやったんじゃないかなー」


正論だとは思うが、偉い人だからね。

一応フォローを入れておこう。


「……が…る」


ディナが小さな声で何か言った。


「ん?」


「じゃあ午後は私がやる!!体験入学みたいになるでしょ!!」


ディナが立ち上がり、怒りながら叫んだ。


「狙われてたのはシータお兄ちゃんだけ。制服は着てないのに、それでも狙われている。つまりディナが木剣を持つってこと?」

「そう!私が持てば全然痛くも痒くもないもの!」


強靭のディナはふんっと腰に両手を当てて仁王立ちした。


「じゃあ僕もやる。突然イベント仕掛けてきたのは学院なんだから、僕が参加しても別に問題ないでしょ?」

「「おそらく」」


木剣貸して下さい、とヴィラが言う。


「どこか壊しても文句言わないで下さいね。あと、シータお兄ちゃんみたいにうまく(手加減)できないので(相手の人を)すぐ治してくださいね!」

「「ええ、最大限フォローさせていただきます」」


ヴィラまで張り切り出してしまった。

大丈夫なのだろうか。

そしてその言い方じゃ多分ヴィラが怪我すると思われてるよー。


「……一応、オレも持つよ」


そう、安全の為に。

主に校舎の。


________



〜魔術科前〜


「おい、小さい女の子と男の子が木剣を持ってるんだが」

「どうするんだ?イベント対象者なのか?」


ヒソヒソと剣術科の生徒たちは離れながらも会話する。


「でもルールじゃ来客者でも手加減するな、したら減点って」

「あの男、疲れたから子供に持たせたのか?」


「いや、木剣持ってる」


どうするんだこれ……と生徒たちは変な空気になる。

尚、剣術科はあの男、が有名なシータ先輩であることを知らされていないらしい。


「「誰も来なくなりましたね」」


子供扱いされていることに、ディナの機嫌はますます悪くなる。

ヴィラも珍しくムッとしている。


「セラーお兄ちゃん、ラルーお姉ちゃん、特別ポイントとかってないの?」

「「きゅん。ありますよ、自分よりポイントが高い人や教師を倒した際に加点になります。教師を倒したことがある人は数少ないですが」」


セラルー双子はシータを見る。

倒したことあるんだ。


「じゃあ、僕たちを加点対象にして」

「「なるほど」」


よろしいですか?と双子は一応保護者のエリーとシータに同意を求める。

やりたいなら好きにさせよう。

二人が頷くと双子は剣術科に向かって叫んだ。


「「生徒会執行部の書紀と庶務、治癒科のアイドル、セラルーです。現在来客の皆様が剣術体験を行っております。こちらの午後から体験するお二人に関しては加点対象となりますので、是非ご協力お願い致します」」


マジか、と言う声やよっしゃーという声がしてざわつく。

そして、うおおおおと言う声と共に走り出す生徒が何人か。


「初手や奇襲は黙って襲ってくるとかしないと全く意味ないんだが。習わなかったのだろうか」


シータは呆れながらため息をつく。

だから午前中黙れって言ってたのね。


「ヴィラ!最初は私のだからね!!」


ディナがガンッと走ってきた相手と剣を交える。


「重い!?」


受けた生徒が、小さな女の子からの衝撃に驚く。

だが、大人気ない事に生徒たちが小さい女の子に大勢多数で襲い掛かる。


ディナが小さな笑みを浮かべた。

ああ、天使のように可愛らしいディナが。

でもこれはこれで小悪魔的な感じで可愛いと言えるのかもしれない。


ゴスッドゴッ


剣を受け止めながら、肘鉄と同時に回転しながら蹴り飛ばす。

流石に一応相手が強いから受け止めきれたのかと思ったが、集めて一気に倒す為にわざとそうしたようだ。


「ははっ!ちょろいわ!」


ちょっと狂気的な笑い方に、シータが顔を覆う。

似てしまった……と呟いている。

私はその人が狩りをしているところは見たことがないけれど想像はつく。

うん。誰に似たとかは聞かないでおこう。


「……なんだあれは……子供じゃない、あれは子供の皮を被ったバケモノだ……」


おお、かわいいディナにそんなことを言って、後でお仕置きでもしようかしらん?

そんな事を考えていたら、その生徒は吹っ飛んだ。


「は……し……ように、できた!」


目をキラキラ輝かせているヴィラだった。

どこから現れたのか治癒科とおぼしき生徒が慌てて吹っ飛んだ生徒を治療する。

防御魔法がかけられているのか壁は壊れなかった。よかったよかった。


「反発しないように反発しないように反発しないように反発しないように反発しないように反発しないように反発しないように反発しないように反発しないように」


ところで、ヴィラが先程から何を呟いているのだろうか、と思ってよくよく聞いていたら暗示をかけていたようだ。

怖いのか、生徒たちが後退りをしていてなかなか襲ってこない。


「どうしたの?お兄ちゃんたち。僕たち、加点対象なんだって。チャンスだよ?かかってきなよ」


にっこり、天使のような笑顔で煽るヴィラ。

ディナも狂気的な叫びを上げながら生徒達を蹴散らしている。


ちょっと将来が心配になってきた。

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