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サイハテの村人たちは勇者がいなくても平気なようです 〜ただしご近所は魔王城〜  作者: 青咲花星


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第24話 エンジョイ!セラルーガイドの学院ツアー☆〜ただし効果音付き〜

目の前に差し出された木剣。

意味がわからずシータは聞き返した。


「なんて?」


「「本日、学院長からシータ先輩には木剣を渡すようにと言付かっております」」


双子たちはしれっと言った。

だからなんでそんなに綺麗にハモってるの?怖いよ。


「え?コレ必要?」


「「本日、剣術科は例の乱闘イベントの真っ最中だそうです。怪我をされた際は私たちが治癒させていただきますが、念の為持っていて欲しい、との事です」」


ええ……とシータは目を細める。

コレ絶対襲い掛かってくるやつだ。


「「いつ襲い掛かってくるか、ワクワクしますね。腕の見せ所です」」


目を輝かせる双子たち。

襲いかかってくる人を治癒する気満々だ。


「「それではご案内しましょう」」


____


「「こちらは部活動専用の掲示板があります。文化祭や体育祭の時は出し物の広告で埋まります。記者部の記事で賑わうこともあります。サイハテ村出身のイダーテ先輩もこちらを使用されていたとされています」」


「……ミスコン?」


ディナが綺麗な女の子のポスターを見つけた。


「「それは文化祭の出し物ですね。ミスコンに優勝した方に告白するとOKだと永遠の幸せを、振られると最大の不幸に陥るとされています」」

「最大の不幸……?」


え?と全員振り向いて双子を見た。


「「有名な話だと、ミスコンに優勝した人に振られた人が諦めきれず執着したところ、没落貴族となり青い炎に焼かれたとか。噂ですが」」


焼かれてはいないはずだがどこかで聞いた話だ。


ガン!カン!!ドサッ


「「学院の第一図書室です。こちらは一般生徒の為の図書室で、防音効果が非常に高く安全に作られています。安全の為、乱闘中の者がこのマットのところから立ち入ることは禁止されています」」


「あれ、でも生徒会は出入りできるんだっけ」


「「はい、生徒を呼ぶときもありますからね。魔法書はありませんが、剣術の本は一応あります。一部学生の避難所ともなっています」」


カンッズシャッ


「「こちらは我ら治癒科のホームとも言える救護所です。勿論乱闘は禁止です。怪我をしたら勿論大歓迎で治療させていただきます。担架も貸し出しておりますので、ぜひご活用ください」」


ヴィラが不安そうにきょろきょろと見回す。


「もし、怪我させちゃってここに人がいなかったらどうすればいいの?」


「「その際は緊急用の通信機がございます。数年前、全学院失神事件が起きた後に設置された物です。学院外の一番近くにいる治癒師にも繋がるようになっておりますので、そちらをお使いください。」」


「「特別な怪我の際はそこから通信網で専門の治癒師につなぐことになっておりますのでご安心ください。とはいえ、人がいないことは滅多にありませんが」」


あるとしたら、治癒師全員が失神しているか。

全員がシータを見る。


活用する必要がないことを願いたい。


「「こちらが剣術科の訓練場となります。定期的に土魔法の先生がたが整地をしてくださいます。野外訓練も勿論あるので、野営の授業もこちらで行います」」


剣だけでなく槍や弓、斧などもある。


「他の武器も使うの?」


「「適正や相手が他の武具を使っていた際の対処方法を学ぶ為、最初の一年は一通り学ぶ事になります」」


ドドドドドドドッズシャッ


「「こちらの連絡通路は全学科生徒が過ごす中庭となっています。近くに食堂がありますので、天気の良い日はこちらで食べる方もいらっしゃいます」」


カンッガンッ


「おりゃあああ」

「黙れ」


ガンッ!


「「「…………」」」


微かに威圧の気配がしたので全員が思わずシータの方へ振り返った。


「すまない、そっちの話じゃない。続けてくれ」


「「いえ、食堂が近いのでそろそろ昼食にしようかと。流石に食堂、食べる時間は乱闘禁止となっておりますのでご安心を」」


______


「すごかったよお兄ちゃん、威圧使わなくても倒せちゃうんだね」

「シータお兄ちゃん、お疲れ様。威圧使わなくてもあんなに捌けちゃうなんてすごいね」


だから、余計なこと言わずに褒めてあげようよ。


「シータ、学院がスペシャル定食用意してくれたんだってさ」


はい、と定食とお茶をシータの前に置いた。


「ありがとうエリー」


シータは起き上がってはあ、とため息をついて「いただきます」と食べ始めたが、目に光はなく黙々と食べる姿は完全に疲れ切っているようだった。


「「お見事でした、シータ先輩。私たちが治癒する必要がないよう、見事に失神させるとは」」


そういえばこの二人、治癒するとか言ってシータが倒した生徒たち全員治癒しないでそのまま転がしたままだった。


いいのかなあ、あれ。


「この見学はそもそもディナとヴィラの為のものだ。下手に意識を残しておいて再度邪魔させるわけにはいかないからな」


双子たちの好みはさすがに違うようで、セラーは焼鮭定食、ラルーはハンバーグ定食を頼んでいる。


「ここの学食も美味しいねぇ」


ヴィラとディナは『本日のおすすめランチ』を食べている。

スタンダードなオムライスだ。


「そうねぇ、こうして落ち着いて食べてるとちゃんと味がするわぁ」


つい、ブラックジョークを言ってしまった。

ヴィラとディナが憐れむ様な表情でみてきている気がする。

気のせい気のせい。


「「ディナさんヴィラさん、この後どこか行きたいところはありますか?」」


二人はディナとヴィラを見た。


「呼び捨てでいいよ、セラーお兄ちゃん、ラルーお姉ちゃん。あ、先輩と呼んだ方がいいですか?」


「「ずきゅん、ではディナとヴィラとお呼びしますね。いいえ、そのままで結構です。そのままが嬉しいです」」


双子たちもヴィラのお兄ちゃんお姉ちゃん呼びに悩殺されたようだった。

私もお姉ちゃん呼びされた時は鼻血を出して倒れそうだったわ〜。


ディナはシラッとした目でヴィラを見た。


「いつも思うけど、その呼び方あざとさがすごいのよね。流石に私は先輩って呼ぶわ」


「「それも嬉しいのでグッジョブです」」


本当ノリがいいなこの双子。


「じゃあ私はセラーくんとラルーちゃん、かな」


「「私たちの事なんぞ呼び捨てで良いのですよ先輩。二人まとめての時はセラルーで」」


圧がすごい。

そしてさらっと要望を付け足してきた。


「え。じゃあセラーとラルーで……二人の時はセラルーね、うん」


確かに二人まとめて呼ぶ時難しいなって思った。

セラルーの方が呼びやすい。


ふとエリーは思った。そういえばディナは私の事をお姉ちゃんと呼んでくれない。

最初から呼び捨てだ。


「ね、ねぇディナちゃ〜ん?なんで私の事はお姉ちゃんとか呼んでくれないのかな〜?」

「エリーはエリーでしょ」


ぷい、とそっぽを向かれてショックを受けるエリー。


「なんでぇ!?ディナにエリーお姉ちゃん♡とか先輩☆とか呼ばれてみたいよ……」


なんでぇ〜と駄々をこねる。


「エリーが本当に私のお姉ちゃんになったら呼んであげる」


ディナはエリーには聞こえない小さな声で呟いた。

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