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春が来て

季節は移ろい、長い冬が終わり春が訪れようとしていた。

もうすぐ高校二年が終わる。

予想外な出来事の連続で濃い一年だった。


「美結、今日プリクラ撮りに行かなーい?男子も含めたいつメンで終業式プリ。」

「行きたい!!んだけど、今日はあきと一緒に帰る約束してて。」

「それなら仕方ないな。また来年も同じメンツだし、そろそろゴールインか。」


高校二年の終業式が終わった放課後。

海はそう揶揄うのに、美結は耳まで真っ赤にして照れ隠しをした。


美結と陸が別れたことはすぐ、仲間たちの知るところなった。

とりあえず美結は皆に叱咤されたが、素直に明人への想いを伝えると納得してもらい恋を応援してくれるようになった。


そしてあれから変わったことといえば、明人との距離が近くなったことだ。

もちろんあの後すぐに明人には感情的になっても二人のことで陸を責めるなと説教した。

それから急に二人の間にあった溝が解消し、ちゃらつく明人の言動も少なくなっていた。


「工は一生片思いかぁ。」

「なんかそれもかっこよくね?」


工はやはりいつもと変わらず、美結に時には優しく時には厳しく接してくれる親友だ。

あれほど美結が言ったのに、工はまだ美結を諦める様子はさらさらないようだが。


「おーい、美結。ちょっと話せない?」

「陸?」

「まだ四角関係は終わってないの?」

「ちょっと日向。」


耳元で小さな声で揶揄う日向に美結は睨み、教室の廊下に項垂れている陸の下に向かった。

陸とは別れてからも連絡をし合い、会えば話すような元の平穏な幼なじみの関係に戻れていた。


それでも陸に会うのは久しぶりで、美結は少し緊張していた。

陸はそんな美結の頭を撫でようとしたがその手を寸前で止めて後ろに組むと、満面の笑顔で言った。


「弟がA高に受かったんだ。」

「え!すごいじゃん!!おめでとう!」

「紗夜ちゃんも志望校受かったんだよね?それでうちのお母さんが美結のお母さんが今晩一緒にお祝いしないかって。」

「行きたーい。ってあ。」


二人でテンションが上がり廊下ではしゃいでいると、目の前にあからさま不機嫌そうな明人が立ち尽くしていた。


「美結、もう浮気してんの?」

「あき、私達まだ付き合ってないでしょ。」


明人が陸を強く睨みつけるのに美結が顔を膨らませて怒ると、その様子を見て明人と陸は笑い合った。


「冗談だよ。真に受けるなよ。」

「あきー!!!!」


美結は明人に揶揄われたのに激怒し、掴みかかるかのように飛びつく勢いを陸に止められた。


「あ、それ俺も参加していい?」

「勿論。お母さんも歓迎してたよ。」


陸が当たり前のようにそう微笑んで言うのに、美結は安堵した。

陸が心が広くて穏やかなのは陸の母譲りだと改めて思う。


「じゃあそれまで俺たちはデートな。さっ、行くぞ。みゆ。」

「ちょっと早いよーあき。」


明人は悪戯に笑いながら、美結の手を握り高射から全速力疾走した。

陸関連だとまだ調子に乗った明人が現れる気がする。

そう考えると明人の子供っぽくて変わらないところに美結は笑みが止まらなくなるのであった。



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