直接対決
明人の告白は本物だった。
それが平凡に年明けを過ごし新学期を迎えた美結に突きつけられた現実だった。
「明人くんと何かあったの?」
「あったでしょ?なんで突然あんなに美結に話しかけてくるようになったの?」
海の全く言う通りで、明人が美結に対する態度をガラリと変えたのだった。
しかしクラスには喧嘩別れした元カノもいるもので、二人が絡み合うとなんとなく気まずい空気が流れる。
「あいつ一回しばいてやりたいわ。」
「いや、工。落ち着け。」
工は舌打ちし、明人を睨んだの隼人が自制した。
美結はクリスマスイブに明人と会った出来事を工以外の友人には話せていなかった。
特に海が工の代わりに本当に明人を締め上げそうだからだ。
「まあ、私達幼なじみだからさ?新年会った時話したりしたからかな?」
美結は穏便に笑顔を繕いながら誤魔化したが、友人達は不服そうな顔を変えなかった。
事情を知る工は悔しそうにしてそのまま机に突っ伏してしまった。
そんな毎日が続いているのはなんだか学校生活の居心地が悪く、あまり刺激を与えたくなかったが美結は正面から明人と向き合うことに決めた。
それは二月の終わり、学年末テストが終わった時だった。
美結は明人に連絡し、放課後いつもの公園に呼び出した。
ここなら地元だし、下手に噂されることはないだろうと思っていた。
明人は美結が来る前に公園に着いており、ブランコに座り美結の姿を見て満面の笑顔で手を振った。
「あき。」
「なんだよ、みゆ?」
美結は隣のブランコに座ると、漕がずに明人の姿を凝視した。
相変わらずヘラヘラしながらブランコを漕いでる姿に、人の気も知らないでと珍しくイライラしてきた。
そもそも明人は昔からこんな風にヘラヘラしたり、付き合っていても学校内で話しかけてくる人ではなかった。
明るくて人気者キャラなのは変わらないが、再会してからは軽くなっており、変な噂もあるせいか明人のそんなところが美結は嫌だった。
「学校でもう話しかけないでほしいの。」
「は?なにそれ?」
「嫌なの。私彼氏だって居るし、変な誤解を招くから。」
正直美結はわざと冷たく言い放っていた。
どうしても明人の前では感情的になってしまうのもある。
明人は逆鱗に触れたかのように不機嫌になり、ブランコを降りて美結に近付いた。
「本当に陸のこと好きなの?」
明人は美結の掴んでいたブランコの綱を掴み、二人の顔は近くなった。
美結はつい赤くなった顔と動機がする胸を押さえ、直視してくる明人の目から必死に顔を逸らした。
「少しでも揺らいでないの?あれから。」
「…なんで揺らがせるようなことするの?親友の彼女に。それって最低じゃない?」
美結がそう言い放ち明人の目を見つめると、今度は明人が顔を逸らして罰の悪そうな顔をしていた。
昔から素直で気持ちがすぐ顔に出るのが明人だ。
「美結はさ、俺と陸の何を知ってるんだよ。」
「どういうこと?」
「…明人。やめろ。」
すると背後から怒声が聞こえ、現れたのは陸だった。
陸は明人を美結の前から遠ざけるように追い払い、美結の前に立ち尽くした。
「なんで現れんだよ。そもそも、お前のせいで俺たちが別れることになったのに。」
明人はそう言うと、陸の胸ぐらを掴んでいた。
陸は明人に反論せず、美結を守るように立っているだけだった。
「ねぇ、陸のせいで私と明人が別れたなんて嘘だよね?」
二人の間に立った美結は声を震わせ、目には涙が溜まっていた。
「ごめん。美結。本当だよ。」
陸の落ち着いた口調に、美結は目の前が真っ暗になった。
そしてその場から逃げるように走り、自宅に入って部屋に篭った。
陸は恋人である以前にこの世の誰よりも信頼できる人だった。
明人と付き合っても陸は仲の良い幼なじみのままでいてくれた。
これまでの関係を裏切られたかのような絶望感に苛まれ、頭が痛くなった。




