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禁断師弟でブレイクスルー~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~  作者: アニッキーブラッザー
第十一章

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第六百五十三話 大魔無双

 夢の世界に天変地異が起こる。


「うおぉ、おおお、なんかスゲーなぁ、おい!」


 天上の神々の怒りを表すかのように空全体に眩い雷轟。

 しかし、それを呆けて見ている暇などない。地上では大地が割れて崩壊。


「落ちたら二度と戻って来れねえ星の奥底まで見えるような……これがテラ級ってか!」


 大魔螺旋で頭上を防ぎながら、崩壊する大地の瓦礫を足蹴にしながら落下を回避するアース。

 いきなり襲い掛かるテラ級二種の同時攻撃に、もはや笑うしかなかった。



「ふっ……まだまだ……」


「ッ!?」


「割れた大地の奥底に流れる、世界の業火よ……滾って登れッ! テラマグマライジングッ!!!!」


「ちょっ、な、噴火かッッ!!??」


 

 崩壊する大地の底に落ちないようにしているだけでは足りない。

 頭上からの攻撃を防いでいるだけでは足りない。

 大地の奥底からまた突き上げてくる世界の脅威がアースに向かってくる。

 それはまるで火山が大噴火したかのような灼熱の炎の柱が、爆発的な速度で地上へ向かって飛び出そうとしてくる。

 上空はサンダー。

 地底からはマグマ。

 現在雷は大魔螺旋で防いでいるが、マグマはどうする? と、考えるまでもなく、アースの身体は即座に反応した。


「超大魔双螺旋!!!!」


 それは、両手で繰り出す大魔螺旋。

 右の大魔螺旋で上を、左の大魔螺旋は下に、上下の大魔螺旋でアースは雷とマグマの脅威を防ぐ。



「防戦一方だな、童。上下で手一杯なら……横からの攻撃はどうする?」


「……はぁ?」


「吹き荒れろ、超暴風……テラハリケーンッッ!!!!」


「お、おいおいおいおい、何かもぅ―――――」



 天は雷、大地は割れ、地の奥底からマグマで、今度は周囲に暴風。

 もはや世界が待ったなしでアースただ一人に襲い掛かる。



「これぞ天上天下驚天動地、星を取り巻く大自然の猛威全てを司る! 余の力の、【一つ】……この世に存在する魔法で余が使えぬ魔法など一つもない!」



 トレイナの生み出す全ての魔法はあまりにも規模がデカすぎて、アース自身ももう何が起きているのか理解が追い付かない。

 

「だあ、くそぉ! 上下の大魔螺旋じゃ足りねえ……前後、左右……いや……!」


ただ、何もしなければこのまま散る。

 それだけは分かり、ただ何もできずに散ってたまるかと、足掻く。

 両手は塞がってしまっているため、大魔螺旋はこれ以上出せない……というのは、ただの思い込み。

 全てはアースの想い次第。



「全身大魔螺旋・アースフルスパイラル!」


「ほぉ!」



 両手で二つではない。それは全方向全方位に対して、まるでハリネズミのように両肩両肘背中、あらゆる部位から無数の大魔螺旋がアースを中心に放出される。

 それはまさに、全方位から身を守る完全防御にして、近づくもの全てを穿つカウンターも兼ね備えている。

 ここに来て無我夢中の大規模な新技にトレイナもほくそ笑みながらも……



「余は今までそんな防御をしたことはないが……せっかくなのでぶつけてみるか? 発動・紋章眼ッ!」


「!?」


「ふむ、……こうかな? 全身大魔螺旋・デビルフルスパイラルッ!!!!」


「ッ!!??」



 アースが無我夢中で生み出した、トレイナに教わったわけではないオリジナルの新技。

 しかし、それをトレイナは見ただけで一瞬で再現した。

 それは、大魔螺旋そのものがトレイナの技だというだけではない。

 大魔螺旋自体が魔力によって生み出された、魔法の力。

 魔法の力であれば……



「余もヤミディレの紋章眼同様に、魔力を使った呪文も、それに伴って繰り出す技も全てを見ただけで解析してコピーすることができるのでな!」


「ま、じかよぉ! んならぉおおおおおおおおおおお!!!!」



 四方八方に吹き荒れる大魔螺旋同士が互いに正面衝突。

 雄叫び上げて迎え撃つアースに対し、トレイナはただ笑っている。

 それは、死に物狂いで半ば破れかぶれのアースとは対照的に、トレイナには余裕があるのだ。

 たとえアースが実戦でどれだけ大魔螺旋をレベルアップさせていたとしても、それが魔力を使ったものである以上、魔力の扱いにおいてトレイナに勝てる者は歴史上においても存在しない。



「お、押される、う、おお、おおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」



 アースの全身大魔螺旋が粉々に砕け散る。

 崩壊した大地の奥底へとふっとばされる。……が!



「だ、だい、大魔ヘリコプターッ!!!!」


「ふふ、踏みとどまったか」



 大魔螺旋を砕かれても、即座に復旧させるアース。

 マグマに落ちる寸前のところで、大魔ヘリコプターを作り、空中で留まり、なんとか堪えた。



「本来一撃必殺の大魔螺旋を砕かれても即座に再生か……魔呼吸に加えて器用になったなと、弟子なら褒めるところ……だが、敵として見るならば……簡単に崩壊するほど、大魔螺旋が脆すぎるぞ、アース・ラガンッ!」


「はあ、はあ、はあ……ッ、こ、今度は何だぁ!?」


「魔呼吸で無限に大魔螺旋を生成できるようになった……というわけではないぞ。過呼吸は、精神にも肉体にも悪いのだ! キレも無くなり、冷静な判断もできなくなっている! 大地再生! テラガイアリライフ!」



 アースはもはや常時ブレイクスルーと大魔螺旋を繰り出し続けているため、それを途切れさせないために魔呼吸を継続させている。

 しかし、度重なる魔呼吸と慌てて発動した魔法は、精神集中させて練り上げた技と違って、脆い。



「うお、ぶっ壊れた大地が……元に戻っ……って、やべえ! 潰れ―――――くそぉ! 大雑把な魔法ばっか使いやがって!」


「おやおや、大雑把とは言ってくれるな……だが、サービスだ。紋章眼以外の力を見せてくれよう」



 しかし、それでもノンビリ精神集中させたり一息ついている暇もない。

 トレイナの大規模広範囲の超魔法から身を守るには、これしかないのである。

 だが、このままでは反撃できないまま、いずれやられてしまうのは間違いない。

 なら、どうする?

 だが、そんな焦りの中でトレイナが更なる力を披露する。

 トレイナの瞳が変化する。



「貴様は初だろう? 見せてやろう! 月の力……ムーン・シャイニングパワー!」


「はぁ?! な、ヴ、ヴイアール世界に……月ィ?」


「魔法が嫌ならば、月が代わってお仕置きだ!」


 

 ヴイアール世界は全てが想像・妄想によってあらゆるものが再現される。

 トレイナの瞳の変化と共に、雷轟響く空に満月が顔を出す。



「月光眼発動!」


「月光眼だと!?」



 それは、ヤミディレの紋章眼。クロンの暁光眼とならぶ三大魔眼の一つ。

 学校の歴史の教科書に載るほどの伝説の眼。



「月光眼にもまたいくつか能力があるのだが……一番嫌な技を見せてやろう。これを戦争で使うと味方まで全滅する―――――」


「……い、いや、いやいやいやいやいやいや!」


「月の破片を落とす! 破片……と言っても……一つで国が滅ぶぐらいの破片だがな! かつて、カグヤがこれを使ってシャレにならんことをしたものだ」



 そして、トレイナの瞳の輝きと呼応して、上空の満月に異変が生じる。

 満月から小さい何かが飛び出した。

 ソレが真っすぐ地上へ、アースへ向かい……



「大魔螺旋……圧縮! 圧縮! 圧縮ぅ!」



 ソレはもはやアースにとっては想像すら及ばない力。

 ソレが本当に落ちたら世界はどうなってしまうのかなど分からないほどの力。

 ただ分かるのは、直撃したら死ぬということだけ。


「ぶちやぶってやる!」

「逃げ場はないと理解したか……正しい……が――――」


 ならばと、アースは防ぐのではなく、今の自分が持てる最大最強の力をぶつけることでこの場を乗り切ろうとする。

 ジャポーネで編み出した、今のアースの最強の技……



「恒星大魔螺旋ッッ!!!!」


世威羅亜せいらあムーン!!」



 極限まで圧縮して練り込んだ大魔螺旋を、迫りくる月の使者へ向けて果敢に挑む。

 が……



「あ……あれ?」



 自分の全てを練り込んで上空から降り注ぐ月の破片に恒星大魔螺旋を叩き込もうとしたアース。

 しかし、その破片とぶつかるかと思ったら、何故かソレはすり抜けてしまった。

 状況がまるで理解できないアースは、上空へ飛びあがったまま呆然とし――――



「暁光眼……幻だ」


「ッ!?」


「そして、最大最強の大技を使った後で、魔力もカラとなって無防備極まりない」



 完全に無防備となったアースの間合いの内側にトレイナが接近していたことにすら気づかず、反応が遅れ―――



「大魔手王剣!」


「ガ……あ……」


「それにしても、こうして敵として対峙すると……魔呼吸による継ぎ目の無防備の瞬間……分かるというものだな」



 肩口から斜めに斬り裂くように、その手刀でアースを袈裟切りにして大地に叩き落した。

 深く叩き込まれたその斬撃は、激しい血飛沫を上げて、アースに致命傷を与えた。


(あ、つい、……痛い……痛い? かどうかももう分からねえ……なんかもう……何だコレ……ダメだ、ダメだ、堕ちるな……出せ、手を。とにかく、手を――――動け! そもそも魔法で遠距離攻撃してきて近づけなかったトレイナの方から近づいてきたんだ! 届く距離に―――)


 消えそうになる、意識の中、アースは懸命に己を叱咤し、そして歯を食いしばりながらも無我夢中でとにかく手を動かす。

 落ちそうになる体を足で懸命に踏ん張り、そして倒れ込みそうになりながらも一歩前に足を力強く踏み込んで。



「だ、い、大魔スマッシュ!」


「その体勢から繰り出せるパンチはそれしかあるまい……角度もタイミングも全て手に取るように分かる」



 だが、その無我夢中で繰りだしたパンチすらもトレイナには美味しいものであり……



「大魔サンドイッチローキック」


「ッ?!」



 アースが力強く踏み込んだ足の膝に、地面と挟み込むように振り下ろすローキック。



「言っておくが……余は無駄に消耗するだけの大魔法を使うより、この手足で攻撃する方が得意だったりするぞ?」



 その衝撃はアースがこれまでの人生で一度も味わったことのない衝撃であり……



(ちょ、待て待て……つ……強すぎんだろうが……そりゃ、六覇より強いのは当然だけども……こ、こんなにまだ差が―――)



 根性論など容易くか散らすかのように、アースは耐え切れずに地面に膝をついてしまった。


「ふふふ、降参するか?」

「ッ、誰がッ!」


 下を向くアースに問いかける余裕綽々のトレイナ。

 だが、アースは折れそうになった心を留め、強がりではあるが意地になって叫ぶ。



「今のは……ビックリしただけだ。つか、暁光眼の力まで使えるの忘れてたが……もう、同じ手はくわねえ! 迂闊に最強技でスッカラカンになって隙だらけ……っていうのは、もうやらねえよ! クロンやオツとかいうあの女で暁光眼はもう十分味わったしな。最初から認識さえしていれば――――」



 まだ自分は戦える。

 そのうえで、同じ手はもう通用しないとムキになって口にするアース。

 だが、その言葉にトレイナは笑みを浮かべたまま……



「たしかに、暁光眼だと分かっていればどうにかなっただろう……しかし、余が本当に現実に先ほどの月の破片落下を放っていたらどうなる?」


「……え?」


「クロンもオツは暁光眼ありき……つまり、どれほど天地を揺るがす情景を見せようとも、奴らが使えば全て幻だと最初から分かる。だが、余の場合はどうかな?」


「……あっ!」



 そのとき、アースは同じ暁光眼の力を持ちながらも、トレイナが使うのと、クロンとオツが使うのでは決定的な違いがあることに気づき、戦慄した。



「そうだ。余は、暁光眼で見せる天地揺るがす情景も、全て実現させる力も魔法も兼ね備えているのだ……幻の中に本物も織り交ぜてしまえば……どうやってそれを見極める?」


「ッ……ど、どうっ……やって……て……」



 そう、クロンとオツの見せるものは、どれだけリアルに見えても所詮は幻である。一方で、トレイナは幻と同じ大規模な魔法をも実際に使うことができる。

 つまり、トレイナが暁光眼の力も混ぜてしまえば、放たれた力は実際の攻撃なのか幻なのかを判別することは直撃するまで不可能なのである。

 いや、仮に幻が直撃したとしても、怪我やダメージを負う幻を見せて、実際に攻撃されたと思い込ませることすらも可能なのである。

 それを理解したアースは思わず……



「初めてだよ、トレイナ……あんたと出会ってから初めて思う……」


「何をだ?」



 アースは呆れたように笑いながら……



「あんたは、かつての大戦期……最終決戦において、一対一で戦わずに多人数で戦った親父や七勇者を卑怯とか言ったな……それは間違いだ」


「なに?」


「むしろ……たった七人でよくあんたに勝てたな……だよ」



 思わず、認識を改めるほど、圧倒的なトレイナの力を思い知らされていた。

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【新作・俺は凌辱系えろげー最低最悪魔将】
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