↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
43/46

43話

宿に戻った俺は、机の上に黒い石を置いた。


 しばらく、その石を眺める。


 昨日の石碑で起きたことが頭から離れない。


 俺が石碑に触れたとき、《チャット》が反応した。


 そして、あの音。


 ――ピッ。


 さらに、目の前に現れた文字。


《接続条件を確認》


 あれが何を意味しているのかは分からない。


 けど。


「……AIと関係あるんじゃないか?」


 ふと、そう思った。


 俺はAIの存在を知っている。


 《チャット》について分からないことがあれば、今までもAIに聞いてきた。


 なら、今回も聞いてみればいい。


「AI」


 呼びかける。


 しばらくして、いつものように反応が返ってきた。


『はい』


「昨日、森で石碑を見つけた」


『はい』


「その石碑に触れたら、《チャット》が反応したんだ」


『……』


「それから、頭の中に文字が浮かんだ」


 俺は昨日見えた文字をそのまま伝える。


「《接続条件を確認》って出た」


『確認しました』


「これって、AIと関係あるのか?」


 少し待つ。


 すぐに答えが返ってこない。


 やがて。


『関連する可能性があります』


「やっぱりか」


 完全な否定ではなかった。


 だが、それだけだった。


「可能性がありますって……それ以上は分からないのか?」


『現在の情報だけでは判断できません』


「そうか」


 まあ、そんな簡単には分からないか。


 俺自身、あの石碑が何なのか分かっていない。


「じゃあ、もう一つ」


 俺は黒い石を手に取る。


「この石については?」


『通常の鉱石とは異なる構造をしています』


「やっぱり普通の石じゃないんだな」


『詳細は不明です』


 そこで会話が止まる。


 俺は石を見つめた。


 AIにも分からない。


 なら、今は無理に答えを出す必要はない。


「分かった。ありがとう」


『どういたしまして』


 AIとの会話を終える。


「……」


 俺は椅子にもたれた。


 石碑。


 黒い石。


 《チャット》。


 そしてAI。


 少なくとも、何かが繋がっている可能性はある。


 でも、まだ情報が足りない。


 それに、今はそれよりも優先することがある。


 行方不明になった冒険者たちだ。


 カイルが殺されたことで、森について聞き出せる相手はもういない。


 なら、残された手掛かりを追うしかない。


「……明日はもう一度森を調べるか」


 そのときだった。


「レオン様」


 声がして、振り返る。


 リナが部屋に入ってきた。


「どうした?」


「少し気になることがあります」


「何か見つかった?」


「はい」


 リナは小さく頷く。


「昨日、森で見つけた足跡ですが」


「ああ」


「人間のものだけではありませんでした」


「……どういうことだ?」


「途中から、別の足跡が混ざっています」


 俺は立ち上がった。


「魔物?」


「断定はできません。ただ、人間が残したものではありません」


「それ、昨日の時点で分からなかったのか?」


「足跡が重なっていたので」


 リナは少し考える。


「【死影】になってから感覚はかなり鋭くなりました。でも、痕跡が完全に残っているとは限りません」


「なるほど」


 俺は黒い石をしまう。


 石碑のことも気になる。


 だが、まずは現実に起きている事件を追うべきだ。


「明日は、その足跡を調べよう」


「はい」


 翌日。


 俺たちは朝から森へ向かった。


 昨日まで追っていた道ではなく、リナが見つけた別の痕跡を辿る。


 森の中を進む。


 しばらくして、リナがしゃがみ込んだ。


「ここです」


 地面を見る。


 人間の足跡。


 その隣に、細長い爪のような跡が残っている。


「魔物……なのか?」


「分かりません」


 リナは周囲を確認する。


「ですが、こちらへ向かっています」


 足跡は森のさらに奥へ続いている。


 俺たちは慎重に進む。


 やがて。


 木々の向こうに、何かが見えてきた。


 古い建物だった。


 森の中に隠れるように建っている。


「……あんなもの、昨日はなかったよな」


「はい」


 リナも建物を見つめる。


 近づいてみる。


 入口は閉ざされていた。


 だが、扉の中央には――。


 見覚えのある形が刻まれている。


「……これ」


 俺は黒い石を取り出した。


 石にある小さな溝と、扉の刻印。


 形が一致している。


「レオン様」


「ああ」


 俺は石を握る。


 昨日の石碑。


 今日見つけた建物。


 そして、この黒い石。


 どうやら、まだ終わっていないらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。