第22話 崩れ落ちた壁
ダンジョンを進み続け、俺たちは七階層まで到達していた。
ここまで来ると、他の冒険者の姿はほとんどない。
「さすがに疲れたな……」
「少し休みますか?」
「ああ。ちょっとだけ」
俺は通路の端へ移動し、壁に背中を預けた。
その瞬間だった。
――パキッ。
「……ん?」
妙な音がした。
「レオン様?」
「今、壁から――」
言い終わるより早く、
ガラガラガラッ!!
「うわっ!?」
壁が突然崩れた。
「レオン様!」
「リナ!」
足元まで崩れ、俺たちの身体が壁の向こうへ投げ出される。
「うわあああああっ!」
真っ暗な空間を落ちていく。
手を伸ばす。
「リナ!」
「こちらです!」
なんとかリナの手を掴む。
だが、落下は止まらない。
「これ、どこまで落ちるんだよ!」
「分かりません!」
壁の崩れた穴から差し込んでいた光も、すぐに見えなくなった。
そして――。
ドンッ!!
「ぐっ……!」
ようやく地面に叩きつけられた。
「レオン様!」
「大丈夫……」
身体を起こす。
大きな怪我はない。
リナも無事らしい。
「ここ……何階層なんだ?」
「分かりません」
リナが上を見上げる。
落ちてきた穴は、遥か頭上にある。
「戻るのは難しそうです」
「だよな……」
俺は周囲を見渡した。
ここは、今までのダンジョンとは明らかに違う。
壁は古びている。
床には長い年月が経ったような傷がある。
そして――魔物の気配がまったくない。
「静かすぎないか?」
「はい」
リナも短剣を抜いたまま周囲を警戒している。
「でも、ここにずっといるわけにもいかない」
「進みましょう」
「ああ」
二人で歩き始める。
しばらく進むと、通路の先に大きな扉が現れた。
「……扉?」
これまで見てきたダンジョンの扉とは違う。
巨大な石造り。
装飾も多く、明らかに誰かが意図して作ったものに見える。
「何だろうな」
「分かりません」
俺が近づく。
扉には文字らしきものが刻まれている。
ただ、俺には読めない。
「古い文字か?」
「私にも分かりません」
「そっか」
扉を押してみる。
動かない。
「重いな……」
リナも手を添える。
「せーの」
グッ。
ギギギギ……。
今度は、ゆっくりと扉が動いた。
「開いた!」
扉の向こうには、長い通路が続いていた。
その先から、淡い光が漏れている。
「行ってみるか」
「はい」
俺たちは慎重に進んだ。
通路を抜ける。
そして――。
「……」
言葉が出なかった。
そこには巨大な建物があった。
ダンジョンの中に存在するとは思えないほど荘厳な建築物。
高い柱。
広大な階段。
正面には巨大な扉。
「……神殿?」
「おそらく」
リナも驚きを隠せない。
俺は神殿を見上げた。
「こんな場所に、こんなものがあるなんて……」
誰かがここへ来ることを想定していたのだろうか。
それとも、遥か昔からここに存在していたのか。
分からない。
ただ一つだけ確かなことがある。
俺たちは今まで誰も来たことがないような場所に、偶然たどり着いてしまった。
「入ってみよう」
「警戒しながら進みましょう」
「ああ」
俺とリナは神殿の階段を上る。
そして、大きな扉の前に立った。
俺が手を伸ばす。
触れた瞬間――。
扉が、静かに開いた。
中から淡い光が漏れる。
「……何があるんだろうな」
「分かりません」
俺たちは顔を見合わせる。
そして、神殿の中へ足を踏み入れた。
この場所で、自分たちの運命が大きく変わることになるとは。
このときの俺たちは、まだ知らなかった。
ステータス
レオン・アストレア
職業:無職
役職:貴族
レベル:5
HP:94
MP:75
攻撃:34
防御:30
魔力:36
敏捷:35
運:19
スキル:
《チャット》
AIとの会話
遠隔チャット
《剣術》【熟練度上昇】
称号:
アストレア家の嫡男
貴族
冒険者
リナ
職業:アサシン
レベル:10
HP:118
MP:64
攻撃:52
防御:41
魔力:27
敏捷:76
運:35
スキル:
短剣術
隠密
気配察知
暗殺術
称号:
レオンの護衛




