第21話 初めてのダンジョン
翌朝。
俺とリナは、街の外にあるダンジョンの入口へ向かっていた。
遠くからでも分かるほど巨大な岩山。
その麓に、大きな石造りの門がある。
「ここがダンジョンか……」
「はい」
入口の前には多くの冒険者がいた。
数人でパーティーを組んでいる者もいれば、一人で入っていく者もいる。
「思ったより人が多いな」
「それだけ攻略する価値があるのでしょう」
入口には受付があり、冒険者証を確認している。
俺たちも手続きを済ませる。
「依頼を受けている場合、指定階層より深く潜らないよう注意してください」
「分かりました」
受付の人から注意を受け、俺たちはダンジョンへ入った。
中へ入った瞬間、空気が変わった。
ひんやりとしている。
壁には淡い光を放つ石が埋め込まれていて、完全な暗闇ではない。
「意外と明るいな」
「この石が光を放っているようですね」
俺は壁に触れる。
「魔石なのかな」
「おそらく」
しばらく進む。
最初の階層には、まだ他の冒険者の姿も多かった。
だが――。
「……来ます」
リナが短剣を抜く。
前方から魔物が現れた。
ゴブリンが三体。
「俺が一体やる」
「承知しました」
俺も剣を抜く。
ゴブリンがこちらへ走ってくる。
前回の戦闘を思い出す。
焦らない。
相手を見る。
攻撃を避け、剣を振る。
――ガッ!
剣がゴブリンの腕を捉える。
「っ!」
ゴブリンが怯んだ。
俺はその隙に踏み込み、もう一度剣を振った。
ゴブリンが倒れる。
「……よし!」
前よりも動けている。
《剣術》の感覚も、少しずつ分かってきた。
残りの二体はリナが一瞬で倒した。
「お疲れ様です」
「ありがとう」
俺は剣を鞘に戻す。
「どうだった?」
「前回より動きが良くなっています」
「本当?」
「はい」
その言葉が嬉しかった。
さらに先へ進む。
途中で何度か魔物と遭遇した。
ゴブリン。
小型の狼のような魔物。
そして、巨大なネズミ。
俺も積極的に戦った。
最初は苦戦していた魔物も、少しずつ余裕を持って相手にできるようになってきた。
「……レオン様」
「ん?」
「剣の扱いがかなり安定してきました」
「《剣術》のおかげかな」
「それだけではありません」
リナが俺を見る。
「実際に剣を振っているからこそです」
「……そうか」
スキルだけじゃない。
自分自身も成長している。
それが分かると、もっと戦ってみたくなった。
そして――。
しばらく進んだところで、階段を見つけた。
「下に続いてる」
「二階層ですね」
「行こう」
階段を下りる。
すると、一階層より明らかに空気が重くなった。
魔物の姿も減っている。
「静かだな」
「気をつけてください」
リナが周囲を見渡す。
俺も剣を握り直した。
二階層を進んでいく。
しばらくすると、通路の先に大きな影が見えた。
「……あれは?」
今までの魔物とは明らかに違う。
体格が大きい。
四本の腕を持った魔物が、こちらを睨んでいた。
「レオン様」
「ああ」
俺は剣を構える。
「こいつは……俺一人じゃ無理そうだな」
「その判断は正しいです」
「じゃあ、頼む」
「はい」
リナが前に出る。
次の瞬間――。
姿が消えた。
魔物の背後に回り込み、短剣を振る。
魔物が咆哮する。
俺はその隙を逃さなかった。
「今だ!」
踏み込み、剣を振る。
魔物の足を斬りつける。
体勢が崩れた。
そこへリナが追撃する。
魔物が倒れた。
「……終わった」
「はい」
俺は息を整える。
「今の、ちょっとだけ連携できたな」
「はい。良い動きでした」
そのときだった。
俺の視界に文字が浮かんだ。
【スキル《剣術》の熟練度が上昇しました】
「また上がった」
「順調ですね」
俺は少し笑う。
まだ二階層。
ダンジョンは始まったばかりだ。
「もっと先に行こう」
「はい」
二人はさらに奥へ進んでいく。
その先に何が待っているのかも知らずに。
ステータス
レオン・アストレア
職業:無職
役職:貴族
レベル:5
HP:94
MP:75
攻撃:34
防御:30
魔力:36
敏捷:35
運:19
スキル:
《チャット》
AIとの会話
遠隔チャット
《剣術》【熟練度上昇】
称号:
アストレア家の嫡男
貴族
冒険者
リナ
職業:アサシン
レベル:10
HP:118
MP:64
攻撃:52
防御:41
魔力:27
敏捷:76
運:35
スキル:
短剣術
隠密
気配察知
暗殺術
称号:
レオンの護衛




