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第18話 剣の鍛錬

 翌朝。


 俺はいつもより早く目を覚ました。


「……眠い」


 昨日、リナに剣の鍛錬をすると言ってしまった。


 言ったからにはやるしかない。


 身支度を整え、宿の外へ出る。


 すると、すでにリナが待っていた。


「おはようございます、レオン様」


「おはよう。……早いな」


「予定の時間より少し早いだけです」


「俺は今来たばっかりなんだけど」


「存じています」


 相変わらず抜かりがない。


 俺たちは街の外れにある、人気の少ない場所へ移動した。


 リナが俺を見る。


「では、始めましょう」


「いきなり?」


「まずは基礎からです」


「分かった」


 俺は剣を構える。


「構えが少し固いですね」


「そう?」


「はい。肩に力が入りすぎています」


 リナが俺の構えを見ながら指摘する。


「力を抜いてください。相手を斬ろうとする前に、自分が動きやすい姿勢を意識してください」


「こう?」


「もう少しです」


 何度か構え直す。


「……これで?」


「はい。先ほどより良くなりました」


「結構難しいな」


「剣は振るだけではありませんから」


 その後も、何度も素振りを繰り返した。


 腕が重くなる。


 息も上がってくる。


「きつい……」


「まだ始まったばかりですよ」


「リナは平気そうだけど」


「慣れていますから」


 それはそうだ。


 俺は苦笑しながら、もう一度剣を振る。


 一回。


 二回。


 三回。


 最初よりも少しずつ動きが安定していく。


「レオン様」


「ん?」


「先ほどより自然になりました」


「本当?」


「はい」


 俺はもう一度剣を振る。


 今度は自分でも分かった。


 昨日までより、剣が手に馴染んでいる。


 そのときだった。


【スキル《剣術》の熟練度が上昇しました】


「……!」


 また文字が浮かぶ。


「どうされました?」


「《剣術》が変わった」


「変わった?」


「熟練度が上がったって」


 リナが少し考える。


「それなら、鍛錬によってスキルが成長しているのでしょう」


「なるほど」


 ただ持っているだけじゃない。


 使えば使うほど、身についていく。


 昨日覚えたばかりの《剣術》が、もう少しだけ自分のものになった気がした。


「じゃあ、もう一回」


「はい」


 それからしばらく鍛錬を続けた。


 素振り。


 足運び。


 受け流し。


 そして最後に、リナとの模擬戦。


「本気でやっていい?」


「はい」


「手加減は?」


「必要ありません」


「……本当に?」


「はい」


 俺は剣を構えた。


 リナも短剣を抜く。


「では」


 一瞬だった。


 リナが目の前から消えたように見える。


「っ!」


 反射的に剣を横へ構える。


 金属音が響いた。


「今のを防げたのは良いです」


「いや、ギリギリなんだけど……!」


 次の瞬間、リナが距離を取る。


 俺も追う。


 昨日より動ける。


 剣も振りやすい。


 けれど――。


 届かない。


 リナは俺の攻撃を簡単に避けていく。


「まだまだだな……!」


 それでも、何度も向かっていく。


 やがてリナの短剣が俺の首元で止まった。


「そこまでです」


「……負けた」


「はい」


「即答かよ」


 思わず笑う。


「ですが」


 リナが短剣を収める。


「昨日より確実に良くなっています」


「本当?」


「はい」


「ならいいか」


 俺も剣を鞘に戻す。


 まだリナには遠く及ばない。


 だけど、昨日の自分よりは強い。


 それだけで十分だった。


「レオン様」


「ん?」


「明日も続けましょう」


「……毎日?」


「もちろんです」


「厳しいな」


「レオン様が私に追いつきたいと仰ったので」


「そうだった……」


 自分で言ったことを思い出して、俺は苦笑する。


「じゃあ、明日も頼む」


「はい」


 俺たちは街へ戻る。


 その途中、俺はふと昨日のゴブリンのことを思い出した。


 街道付近で増えていた魔物。


 エレナが言っていた、森の奥で目撃された大型の魔物。


「……ちょっと気になるな」


「何がですか?」


「昨日の魔物のこと」


 リナの表情が変わる。


「私も気になっています」


「今度、少し調べてみよう」


「承知しました」


 ただの偶然なのか。


 それとも――。


 何かが起き始めているのか。


 今の俺には、まだ分からなかった。


ステータス


レオン・アストレア


職業:無職


役職:貴族


レベル:5


HP:94


MP:75


攻撃:34


防御:30


魔力:36


敏捷:35


運:19


スキル:


《チャット》


AIとの会話


遠隔チャット


《剣術》【熟練度上昇】


称号:


アストレア家の嫡男


貴族


冒険者


リナ


職業:アサシン


レベル:10


HP:118


MP:64


攻撃:52


防御:41


魔力:27


敏捷:76


運:35


スキル:


短剣術


隠密


気配察知


暗殺術


称号:


レオンの護衛

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