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4 この物語の主人公も、例外なく殺される

#すぐ死ぬ

#やばいやつしかおらん

 ドアが開く。


 先ほどの広い空間とは違い、そこには長い廊下が続いていた。


 左右にはいくつものドア。


 廊下の突き当たりもさらに左右へ分かれていて、終わりが見えない。


 大勢の人間が慌ただしく行き交っていた。


 イリーナは少し進む。


 だが、「三階で制服をもらえ」としか聞いていない。


 どの部屋へ行けばいいのかわからなかった。


 すると。


「あ、新しい子?」


 後ろから声をかけられる。


 振り返ると、ピンク色のショートカットの女が立っていた。


 周囲が黒スーツばかりの中、その女だけジャージ姿だった。


「あ、はい。制服貰えって言われてて……」


「あー、場所言われてないやつだ。おけおけ、ついてきて」


 そう言って歩き出す。


 イリーナは黙って後をついていった。


 その途中。


 女が不思議そうな目でこちらを見てくる。


 イリーナが「?」という顔を返すと、女は言った。


「……いや、大体新しく連れてこられる子って、泣いてたり困惑してたりするんだけど……」


「……そうなんですね。自分でもまだよく分からなくて……」


「あー、おけおけ!」


 女は軽く笑う。


「私はフォンフォンっていうの。よろしくー」


「よろしくお願いします」


 イリーナは小声で返し、歩きながら軽くお辞儀した。


 この人なら聞けるかもしれない。


 そう思い、イリーナは口を開く。


「あの……」


 だがその直後。


 フォンフォンが、すれ違った緑髪の小柄な男の子へ声をかけた。


「検査室って、この先?」


 男の子はフォンフォンを睨む。


「知らねえよ」


「……おけおけ」


 グチャッッ。


 その瞬間。


 緑髪の男の頭部が消し飛んだ。


「――っ!?」


 イリーナは目を見開く。


 本日二体目の死体。


 あまりにも突然だった。


 だが次の瞬間。


 断面がボコボコと音を立てて膨らみ始める。


 肉が盛り上がり、骨が形成され、皮膚が再生する。


 そして数秒後には、元通り頭が再生していた。


 さらに、髪色まで変わっている。


 緑髪だったはずの男は、黒髪になっていた。


 男の子は舌打ちする。


「……この先の3-4ドアだろうが」


 渋々といった様子で、指を差して教えた。


「メイメイは、ああすれば教えてくれるんだ〜」


 フォンフォンは軽い調子で言った。


 イリーナは何が何だかわからなかった。


 とにかく、この場所ではフォンフォンから離れない方がいい。


 そう判断して、黙って後をついていく。


 しばらく進み、大きな扉の前で止まった。


 扉には大きく、


『inspection room(検査室)』


 と書かれている。


 フォンフォンがパスを前へ突き出す。


 すると、盾のように分厚い両開きのドアが、重い音を立てながらゆっくり開いた。


 中は屋内テニスコートのような空間だった。


 かなり広い。


 二人が中へ入ると、扉は自動で閉まる。


「じゃあ、ちゃっちゃと終わらせちゃいましょ」


 フォンフォンの声が広く反響した。


 次の瞬間。


 パチン、とフォンフォンが指を鳴らす。


 するとイリーナの周囲へ数体のドローンが飛来した。


 四方と真上を囲む。


 そしてドローンから青いレーザーのような光が放たれた。


「っ……」


 眩しくて目を閉じる。


 数秒後。


 恐る恐る目を開けると、服が変わっていた。


 黒いスーツ。


 黒いネクタイ。


 外で見た、あの職員たちと同じ服装だった。


「いいじゃん、似合ってる」


 フォンフォンが笑う。


 ドローンはそのままどこかへ戻っていった。


 続いてフォンフォンが、紫色の石を取り出す。


 イリーナは少しだけ安心した。


 今日初めて、見慣れたものが出てきたからだ。


 検査用の魔石。


 学校でも定期的に使うものだった。


「はい、触って〜」


 イリーナが手をかざす。


 すると紫色の石が、淡い水色へ変化した。


「へえ〜、Cランクか」


 フォンフォンが感心したように言う。


「見た目の割に結構強いんだね〜」


 強さの基準は様々ある。


 学校やギルドではEからA。


 世界的な強者は一級から特級。


 さらに傭兵団などでは、独自の基準を設けていることも多い。


 Cランクというのは、単体で巨獣を討伐可能なレベル。


 同年代の中では、ずば抜けた実力者だった。


「じゃ、Cランクだったら、もう最初から最終テストやっちゃおっか」


 フォンフォンはそう言うと、出入り口へ向かった。


「全員倒せたら出ておいでね〜。まあ、倒すまで出れないんだけど〜」


 軽い口調のまま、フォンフォンは扉の外へ出ていく。


 重い音を立て、ドアが閉まった。


 イリーナが振り返る。


 そこには、三人の黒スーツの職員が立っていた。


 一人は、背の高い女。


 長い髪を後ろで束ねている。


 残り二人は、似たような体格の男だった。


 イリーナは目を合わせる。


 そして話しかけようと口を開きかけた、その瞬間。


 視界が急激に落ちた。


 床。


 床が目の前にある。


 起き上がろうとしても、身体が動かない。


 自分の目のすぐ下を、切断されたと気づいたのは、遅れて倒れてきた、自分の身体が見えてからだった。


読んでいただき、ありがとうございます。評価やブックマーク、感想等をいただけると更新の励みになります。1日1話更新を目指しています。気分でもっと高い頻度で更新するかも。(感想、評価待ってます!!)

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