メアの部屋で…3
自己紹介が終わる頃、日も暮れ始めた。
メアとミオラは問題なく打ち解けたが、やっぱりジュンだけは余所余所しい。
いつもなら絶対に使わない敬語をメアにだけ使っている。
「メアさんは何処から来たんですか?」
「東から来た」
メアの回答に場が凍りついた。
「メアちゃんったら〜冗談が上手いんだから〜」
ミオラがメアの回答を茶化す。
「冗談じゃ…」
ソルは慌ててメアの口を塞ぎ囁く。
「ここより東に行くと魔族の領域しかない」
メアは納得したようにソルと顔を見合い頷く。
「ほ、本当メアは冗談が上手いなー」
ソルはわざとらしくメアに話を振る。
「み、みんな騙された?」
メアもわざとらしく答える。
「そ、そうだよね。冗談だよね」
「メアさんは冗談が上手いなー」
なんとか誤魔化せた様だ。
これで騙せるのもどうかと思うが、一先ずはメアが魔族だとは、バレずに済んだ。
そうこうしている内に日は完全に暮れていた。
「よし!じゃあそろそろ帰るな」
「うん、さよなら」
立ち上がり別れの挨拶をするソルにメアが手を振る。
「えーもう帰るの〜」
「……」
ジュンは静かに立ち上がるが、ミオラは案の定駄々をこねた。
「いつでも来れるんだから今日はもう帰るんだ」
「ちぇっ〜わかった帰るよ〜じゃあね〜メアちゃん」
「さよなら」
メアはミオラにも手を振る。
「じゃ、じゃあ、さよなら」
ジュンもミオラに続いて別れを告げる。
「さよなら」
メアはジュンにも手を振る。
それを見届けたソル達は洞窟を後にした。
何故だかよくわからないが、やたらとジュンが上機嫌だ。
ソル達はそれぞれの家に帰り、その日は休んだ。
ソルは朝早く起き、今度は大きめの布を二枚持って一人でメアの元へ向かった。
おそらく今日はミオラもジュンも親の仕事を手伝う日だろう。
「よぉーメア、起きてるかー」
扉の前でメアに呼びかける。
「ソル?」
今日はメアも反応してくれた。
「そうだ、入るぞー」
「うん」
メアは軽く返事をする。
ソルはメアの部屋に入った。
「よし!じゃあ昨日作れなかった風呂を作るか」
「うん」
メアは昨日から楽しみにしていた風呂を作る気満々だ。
ソルはメアにもう一つ部屋を作る事を支持して、洞窟を出て行こうとした。
「ソルは何処へ行くの?」
「俺は湖から水路を引く」
ソルはメアの質問に簡潔に答える。
ソルは洞窟の前から地面に深い溝を作りながら湖に向かった。
湖に着くとソルは洞窟から湖に繋がる溝に魔力で作った水を高圧力で流し土を削った。
ここからはメアがした様に部屋と同じ加工を溝にもして、上から加工した石版で蓋をするだけだ。
水路を作り終えたソルは湖から水を引き洞窟まで、綺麗な水が届くかを確認する。
「よし、問題なく通ったな」
その後ソルはメアの新しく作った部屋に水を引き、湯船を作って完成だ。
湯船の下には暖炉を作り、水を温める。
勿論使った水が流れる排水溝も完備している。
さらには洞窟に入る前に水路に分岐点を作り貯水部屋も作った。
「完成だなメア」
「うん!」
メアは今までにない程元気に返事をした。
「メア、入ってこいよ」
ソルはメアに一番風呂を勧める。
「いいの?」
「お前の為の風呂だ。お前が入らなくてどうする」
メアは申し訳無さそうに確認するが、ソルは当たり前の様に答える。
「一緒に入る?」
メアのありえない発言にソルも堪らず固まる。
「なんでそうなる」
確かに汗もかいたし汚れもした、今すぐ風呂に入りたいのも事実だ。
しかし男女で揃ってお風呂とは如何なものか。
「だってソルも汚れてし、二人で頑張ったから二人で入る」
メアは頬を赤らめながらも当たり前の様に言ってくる。
「俺は後から入るから、先に入ってこいって」
「ソルは私と入るのは嫌なの?」
メアはソルの顔を下から覗きながら、子犬の様な目で見てくる。
「わかったよ、入ればいいんだろ」
ソルは諦め、メアと共に新しく出来た風呂場に向かった。




