第二十七話 魔物研究家
馬の魔獣を具に観察するその姿は妙に慣れている。
「はわわわっ」
度々轢かれそうになっていて危なかっしいがギリギリ躱している。
さて、どうしようか。
ボスを倒しにやってきたわけだが先客が居る。
しかも、倒す気配がない。
このまま帰ってもいいが、ミハルは彼女のことが少し気になっているようだ。
話しかけてしまいたいが、戦いの最中に集中を乱すのは如何なものだろうか。
「おーい、そこのウサ耳!」
こんな時に行動を起こすのは空気の読めなさに定評があるかの魔剣。
「ほえ?あー、人が来た!すみません!」
そう言ってパッと馬をトラップで素早く転ばせてこちらまでやってきた少女。
「すみません。今あの魔獣を観察していまして、もう少し待って頂けないでしょうか。あと少しで終わるので!」
そう捲し立てると体勢を戻した魔獣へと向かっていく。
ペンは凄まじい速さで動き、その目はどこか輝いている様に見える。
そこから数分して、またいつの間にか仕掛けた落とし穴に魔獣を嵌めてきた彼女は
「終わりました。どうしますか?あの魔獣、今からでも倒しますか?」
「あんたはいいのか?」
「あたしが興味あるのは生きている魔物なので!素材とかはぶっちゃけ要らないです!」
「そしたら、俺に行かせてくれ!」
そう言って歩き出したのはバック。
「いくぞ、剣。」
「おうよ!」
剣が靄を纏い、バックは魔獣と向かい合う。
「あ、あの人、あいつと真っ直ぐ向かい合っちゃって大丈夫なんですか?」
「全く問題ないだろう。」
先日手合わせした感じからするにあの程度なら余裕だろう。
両者、走り出す。
交差する二つの影。
無傷なバック。
それに対して魔獣は頭が落ちている。
魔獣の胴体が力無く倒れる。
「はわー、凄いですね!」
目をキラキラさせて少女がバックに話しかける。
「ふふん、こんなもんだ!」
「おい、調子乗るなよ。」
「わわっ、剣が喋った!これは魔物ですか?」
「俺様が魔物な訳ねーだろ!俺様は魔剣だよ。」
「ですが喋る魔剣なんて聞いたことがーー」
「だって俺様は特別だからな!」
尚、この会話の間に魔獣の解体は済ませてある。
「あなたも欲しい部位はあるか?」
先客は彼女であるのでしっかりと聞いておく。
「いえ、全てあなた達にあげます!その代わりと言っては何ですが……私もあなたたちにご一緒してもいいですか?」
みんなに目をやると特に構わないと言った感じだった。
「別に構わないが……、大分危険なことも多いぞ。」
「この命は研究に捧げると誓っているので大丈夫です!それに、あなたたちに着いていけばもっと強い魔物の観察も出来そうですし、あの剣も調べられる。」
「なんか俺様ちょっと嫌な予感がしてきたんだけど。」
彼女の熱意は凄まじく、俺たちと一緒に行動することになった。
「じゃあ、まずは分解させてください!」
「嫌だ!っていうか、俺様に分解できる箇所はねえよ!」
また、少し騒がしくなるかもしれない。




