第二十六話 ダンジョン
そして、商売や模擬戦を終えた翌日、俺たちは一度ダンジョンに入ってみる事にした。
そして、現在地は入り口前。
「大きいですね。」
俺も全く同じ感想を抱いた。
恐らくは俺が山にこもってから出来たものなのだろう。
俺もここまで大きいとは予想だにしていなかった。
それは大きな洞窟。
恐らく、大型のモンスターでも難なく通り抜けることができるだろう。
フラッドが起こった時にあの大きな壁が必要なのも頷ける。
「よし、入るか。」
「はい!」
一歩踏み入れる。
その地面は直前まで踏んでいたものとは全く違う感じがした。
まるで異なる空間だと言うことを実感する。
そして流石ダンジョン。
早速狼型のモンスターが襲ってきたが、バックのみで瞬殺。
しかし、浅層とはいってもそこそこの数の魔物が群がってくる。
「面倒臭いな!」
「そうだな。なら、もっと奥へ進むか。」
そして鎧の制限の3%を解放する。
それだけで魔物からすれば恐怖に十分な魔力のようで波が引くように近づいて来なくなった。
「便利だねぇ」
一応、ダンジョン産の魔物の特徴である魔石と呼ばれる体内で精製される石のみを取り出し、後は処分。
少し申し訳なくも思うが、持てる量にも限界があるのだ。
どんどん進んでいく。
「もうこのままボスまで行ってしまおうか。」
このぐらいの魔力で逃げるレベルならば俺が居なくても十二分に勝てるだろう。
流石に深層まで行くと寄ってくる魔物が現れたが、5%程で寄って来なくなった。
通常、ダンジョンの強さはコアの強さに比例する。
コアを破壊すればダンジョンは消滅するが、ボスはコアが残っている限り、時間経過で蘇る。
そしてこの程度なら資源としての効果の方が大きいため、コアを壊すことは禁じられているそうだ。
目の前に大きな扉が現れる。
とうとうボス部屋までやってきたようだ。
少ししか戦っていないのでみんな体力は十分。
「開けるぞ。」
全員が頷く。
扉を開いた先に広がっていたのはーー
更なる異界。
青々と草が生い茂る草原。
そして、その中で佇んでいるのは一頭の馬。
体から炎が出ていることから一目で魔獣だと分かる。
性格はーー
「ヒヒーーン」
その熱そうな体で突進を放っている。
大分好戦的らしい。
走った後の草が燃え盛る。
「短期決戦の方がよさそうねぇ。」
「そうだな。」
ただし、問題はそこじゃない。
馬に追いかけられているのは俺たちじゃなく、兎人族の少女なのだ。
しかも、様子が普通ではなく、ギリギリまで引き付けて、何かをメモしたり、観察したりしている。
「これは助けたほうがいいのか?」
バックが呟く。
俺たちは揃って首を傾げた。




