第二十五話 再戦
先に動いたのはバックだった。
その黒刃が閃き、それを銀光が迎え撃つ。
キィン
と高い音が鳴り響き、それとは正反対の力強い衝撃が辺りを覆う。
野次馬も声も出さず、否、出せずに見入っていた。
しかし、これはまだ一合目。
ぶつかった衝撃を流してそのまま追撃に出たバック。
それは俺が一歩下がることで回避した。
振り抜かれた剣の勢いの方向に剣を合わせて弾き飛ばす。
このまま、追撃をーー
「『火焔』」
上空の剣から焔が出てくる。
それはバックと俺の間を塞ぎ、追撃を防いだ。
落ちてきた剣を受け止めるバック。
「今度はこっちから行くぞ。」
一歩で距離を詰め、一撃。
かろうじて反応が間に合っているものの体勢が崩れている。
だが、ここで倒れ込んだバックはそのまま一回転しながら蹴りを放ってくる。
いい動きだ。
でもまだ詰めが甘い。
逆にバックに体を密着させ、そのまま倒す。
その首に剣を当ててーー
「参った。」
立ち上がり、倒れ込んでいるバックに手を貸す。
「『回復』」
「大丈夫だっての。」
「一応だ。しかし、強くなったな。」
その判断、動き、どれをとっても前とは比べ物にならない。
バックの努力の成果が垣間見えた。
まだまだ改善の余地はあるのだが。
「最後の、あれは何したんだ?」
「バックの勢いを利用して地面に叩きつけたんだ。剣を弾いた時があっただろう。あれと同じだ。」
「なるほど。あー、くそっ。勝てねえな。」
「残念だったな。」
「なんか他人事だと思ってないか?じゃあ、今度はお前が戦えよ!」
「駄目だ。戦ったらどっちかが死んじまう。」
「その剣はそんなに強いのか?」
「俺が苦戦してた相手を瞬殺できる程度には強いぞ。」
『交代』が可能であることはミハル救出作戦の後に聞いている。
ふざけているようでこの剣は案外強いようだ。
黒い靄といい一体この剣はなんなのだろうか。
そして、装備といえば一つ疑問に思っていたことがある。
「なあ、剣。」
「レインフォースってよべよ。で、なんだ?」
「魔法が切れる条件を知ってるか?」
「当然だろ。解除されるか、効果時間が尽きるか、術者が死ぬかだ。時間についてはないものもあるがな。」
「その通りだ。ならばなぜお前はそのままなんだ?」
今の戦力でレインフォースほどの魔剣がそうそう出来るとは思えない。
「俺様は意思を持ってるからな。」
「質問に答えろ。まず、お前の作者は誰だ。」
「作った人間はもう死んでるよ。」
「ならばただの剣に戻るはずだ。」
「だから言ったろ?俺様は意思がある特別な剣だから大丈夫なの!」
「意味が分からないが……。なら、どうして俺の鎧の効果は残っているんだ?」
「そいつは俺とはちょっと違うみたいだな。意思はあるがないのか?」
「何が言いたい?」
「術師が生きてるんだと思うぞ。その鎧。」
「馬鹿な。どれほど昔に作られたものだと思ってる!」
「事実、あんたが生きてんじゃねえか。それ作った奴が生きてても不思議はないぜ。」
「ーーっ。確かにそうだな。少し熱くなってしまった。すまない。」
「そう思うんだったら俺に土下zーー」
「よく分からないが話は終わったんだな。」
「終わってねぇよ!」
依然としてもやもやする謎は残っている。




