第二十四話 次の街
しばらく各々の時間を過ごしてから、俺たちは街を出た。
次に行くのはダンジョンと呼ばれる遺跡がある特殊地帯の街[カルミラ]だ。
移動手段はモミジの馬車。
一人での商売なのにも関わらずタンタロスの素材を買ったり、馬車を持っていたり、本当に商売上手だと思う。
それはさておき、とうとう大きな壁が見えてきた。
実はあの大きな壁は外敵侵入というよりも内部に対しての防御が厚いらしい。
この辺りは不思議なコミュニティがあり、ダンジョンがあるカルミラ。
そしてその周りに村が点在している。
村ごとに特産品があり、その多くはダンジョン産の素材によるものだ。
稀に発生する『フラッド』と呼ばれる魔物の増加が大量発生し、ダンジョンから溢れてくる現象。
その際、この街の中で抑え込むことによって対処するらしい。
だから基本居住区は存在しなく、冒険者や店を営んでいる人ぐらいしかこの街にはいない。
宿屋はあるが、たびたび壊されてしまうが故に質素なものばかりだ。
とうとう巨大な門の前に着いた。
レントの時を思い出す。
あの時はミハルと二人だけで門前払いされかけたな。
もちろん今回はちゃんと自由時間の間にミハルと二人でカードを作ってある。
バックはもともと冒険者だし、モミジも商人のカードを持っている。
何事もなく、すんなり通ることができた。
「レントとはだいぶ違いますね!」
レントでは多くの建物が建ち並んでいたが、聞いていた通りこの街では最低限の建物しか無い。
とは言っても寂れていると言った印象はなく、むしろ活発な街だった。
通行の便がいい大通り。
そして、その周りには多くの露店がある。
様々な地域から行商人が来ているため、沢山の声が飛び交っている。
ダンジョンのものを入荷したい者も多いのだろう。
「あらぁ、珍しいものが多いわねぇ」
「各自、装備の調整などをしておこう。」
「分かってるっての。」
「おいおい、俺は調整要らねえよ。優秀だからな!」
「じゃあ、お前は鞘から出さねえよ。」
「あ、やっぱ心のケアって大事!許して!」
「一度宿を取ってからにしませんか?」
「そうだな。」
俺たちは一度宿に移動してからそれぞれの行動をとった。
モミジはパーティーの資金調達。
あの後、モミジとは話をして貿易ではなく、正式にパーティーの一員として資金繰りを頼んだ。
バックは俺に試合を頼んできた。
ミハルにモミジの手伝いをしてもらい、ギルドの修練場を借りる。
カードさえ持っていれば誰でも借りられるここは、意外と使われることが少ない。
この街にはダンジョンというより適した場所があるからだ。
浅層であれば初心者であっても安定した練習ができるだろう。
精々がギルド内の諍いが起きた時などに使われる程度なのだが、今、俺たちはそこで向かい合っている。
周囲には野次馬の冒険者が散見される。
そんな視線は気にせず、俺たちは剣を抜いた。




