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鎧の人  作者: たい。
間章
26/46

閑話(ミハル)

騒動も一段落がつき、私は今、なんと鎧さんと二人きりで街に来ています!

バックとモミジが来てからはいつも皆一緒でしたからね。

久しぶりに二人でこうして歩くのはそれだけで楽しいです。

もちろん他の皆のことも大切に思っていますが。

無理をして病み上がりなのが悔やまれるところです。

このまま黙っているのもあれなので何か話題をーー

「すごくいい匂いがしますね!」

なんで私はこの話題を……

まるで私が食いしん坊みたいじゃないですか!

「ああ、そうだな。」

そういえば、昨晩から何も食べていなかったので仕方がないかもしれませんね。

「そこに美味しそうな串肉が売っているな。」

鎧さんもお腹が減っているようです。

「あっちの揚げパンも美味しそうですね!」

「全部買うか。」

「いいんですか?」

「色々あって疲れただろう。むしろこんなことしかしてやれないんだがな。」

私を気遣ってくれる鎧さん。

だから私はーー

「十分ですよ。」

そう言って笑った。

大丈夫ですよと言う気持ち、そして感謝を込めて。

固まってしまった鎧さん。

「どうかしましたか?」

「また、笑い声が聞こえた気がしてな。」

「後は私の笑顔に見惚れてたり。」

冗談を言ってみます。

「ああ。それもあるかもしれないな。」

予想外の返答に今度は私が固まりました。

頭では私ではなく、鎧さんの想い人のアルセナさんを思い出していたと分かっています。

それでも直接言われるとくるものがありますね。

切なく、それでいて甘い気持ちになりました。

それにしてもこの世界の食は思ったよりも地球と近いですよね。

米も何故か自生していましたし……

前の転生者の方に影響でしょうか?

色々な食べ物を食べ歩いて空腹が満たされた後、私たちはギルドへと向かいました。

職員に名前を告げて、取り次ぎを頼むと程なくして部屋に通されました。

「随分遅かったな。なにかあったのか?」

「ちょっと誘拐されてしまいまして……」

「ゆ、誘拐!それはもしや行方不明事件の?」

「ああ、そうだ。」

「鎧と少女と少年と獣人の四人組によって摘発されたと聞いていたがミハルたちだったとは……。

 しかし、君たちは二人組じゃなかったか?」

「バックとモミジという商人の方も助けに来てくれたんです。」

それを聞いてギルドマスターは納得したような表情をした。

「バックと仲直り出来たんだな。安心した。そちらの方のお陰かな?」

「その通りです。」

「いや、俺は大したことはしていない。」

そんな俺たちを見てギルドマスターは微笑み、その後考え込むような表情をした。

「しかし、アイツがなぁ」

「モミジと知り合いなのか?」

「昔、ちょっとな。」

それ以上はギルドマスターも話してはくれなかった。

「それでカードのことなんだが……」

「ああ、脱線してしまってすまない。少し待っていてくれないか?」

「なにか問題が?」

「そうじゃない。特徴的にも実力的にも誘拐事件を解決したのは君たちだと判断した。そのため、ランクを"D"にしておこうと思う。」

「"D"まで!そんな一気に上げて大丈夫なんですか?」

冒険者ランクはFからSまでの八段階だ。

それを考えると一回で二つも上がるのは大きいだろう。

「君たちはタンタロスを倒せる程度の実力はあるんだろ。そんな人材を放っては置けないな。」

「ありがたい。また近くに来たら立ち寄らせてもらう。」

「楽しみにしている。気をつけろよ。」

そう言ってカードを渡してくれるギルドマスター。

「はい!」

今度会うときはランクを上げて驚かせてあげよう。

そう思いました。


帰り道、歩いているとふと、鎧さんが立ち止まりました。

「どうかしましたか?」

「ちょっと買い物をしてくる。すぐ終わるからここで待っていてくれ。」

そう言って鎧さんは早足でどこかへ行ってしまいました。

言われた通りに待ちます。

今日はとても楽しい一日でした。

カードもしっかり貰ってきましたし。

また、こんなふうにお出かけしたいですね。

鎧さんが戻ってきました。

「何を買ったのか訊いてもいいですか?」

「えーと、あー、これをあげようと思ってな。」

そう言って私に渡されたのはペンダント。

「え?」

驚きと喜びで思考が上手く回りません。

「すまん、趣味に合わなかったか?」

「いえ!驚いただけです。とっても嬉しいです!ありがとうございます。」

それは決して華美とは言えないが、落ち着いた美しさを持っていました。

そして付いている淡いピンク色の宝石。

今日一番の喜びを噛み締めつつ私は一日を終えました。

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