第二十三話 選択
それぞれの話を終えて再び集まった俺たちは今後の方針について話を始めた。
「まず聞くが、二人は本当に俺たちと一緒に来るのか?」
「ああ。」
「そうよぉ」
確認が取れたので話を次に移す。
「俺たちはこの後、どうする?」
その質問の意味は言わずともみんなが理解している。
またしてもこの剣以外は。
「なにをどうすんだよ?」
「あの化け物を作っていた組織についてに決まってんだろ!」
バックの言う通り。
あいつらはある意味ではバックとミハルの仇討ちの対象だ。
更に魔族も絡んできているとなれば止めるべきなのかもしれない。
だが、それ以前に俺たちは一般人だ。
一応国に研究所の跡と魔族が絡んでいることを話した。
正直懐疑的な目で見られていたが、ある男性が証言をしてくれたことにより、一応調べてみるそうだ。
つまりはこのまま国に任せると言う選択肢もあると言うことだ。
「それでも、俺はあいつらを倒したい。」
「私も。誘拐事件に手も足も出ていなかった国に任せっきりなんて出来ません。」
二人は確固とした意志を持っている。
「モミジは?それでも来てくれるか?」
どんなルートを使ったのか知らないが、今回の一番の立役者は彼女だ。
場所を三箇所まで絞ると言うのは骨が折れる作業だからな。
「もちろんよぉ。私もあいつらがやったことは許せないものぉ」
「そしたら決定だな。俺たちはこれから組織の足跡を追う。どこまで深く、危険かは分からないがよろしく頼む。」
「俺様も頑張っちゃおうかな!」
「お前はまず空気を読む努力をしろ!」
二人のくだらないやりとりは今日も絶好調のようだ。
それから俺とミハルはそれぞれでまだ出来ていなかった街の観光。
バックはもう少し修行をするらしい。
どうやら俺に勝ちたいようだ。
忘れがちだったが本職が商人であるモミジは品物を売りに行った。
「すごくいい匂いがしますね!」
「ああ、そうだな。」
そういえばミハルはまだご飯を食べていないんじゃないか?
「そこに美味しそうな串肉が売っているな。」
「あっちの揚げパンも美味しそうですね!」
「全部買うか。」
「いいんですか?」
「色々あって疲れただろう。むしろこんなことしかしてやれないんだがな。」
「十分ですよ」
そう言ってミハルは笑った。
昔、何度も見た笑顔。
後悔したところでどうにもならない。
俺たちは今を生きているんだから。
アルセナのことは俺が覚えていればいいのだ。
今優先すべきは目の前の命。
彼女によく似た転生者。
ミハルだけじゃない。
バックも、モミジも、レインフォースも。
鎧の効果で死ねないことを嘆いていたが、そのおかげでこの出会いがあった。
少しだけ感謝の念を抱く。
微かに笑い声が聞こえた気がした。




