第二十一話 決断
魔族の女が去った後、バック、少ししてモミジも教会にやってきた。
「これは……」
目の前の光景に顔をしかめている。
「恐らく、こいつらは半成功体だ。」
「どういうことかしらぁ?」
「これは俺の憶測に過ぎないが灰になった奴らは無理矢理定着させたタイプ。
下っ端に至っては発動も自分の意思ではなかったのだろう。」
「そうか……。だからあいつはあんな顔を……。」
「灰になった原因は人間の魔素と他の生き物の魔素が反発したからだろう。
そこでここに転がってる奴ら、こいつらは自身の体の魔素をいじることによって定着を可能にしたが欠点があった。脳が獣寄りになってしまうことだ。」
「そしたらあの神父が……」
「ああ、恐らく成功体だ。会話も可能だった。」
「でも、全部が人間ベースだったらそんな人数どうやって?」
「誘拐事件だけじゃここまで集められないだろ。」
「宗教だ。」
ここが新興宗教の教会だったことを思い出し、はっとする。
「恐らくは信者を言いくるめて実験をしていたんだろう。誘拐はミハルのように素質があるものの研究のためだったのだと思う。」
それから、口を開く者はいなく、俺たちの間には重い雰囲気が立ち込めた。
「ミハルだっけ?あんた大丈夫なのかよ?」
一本の剣以外は。
空気が読めないのは問題だが、今回ばかりはそれに救われた。
そして、剣の質問。
自然に会話に参加していたのでみんな失念していた。
「大丈夫なのか?ミハル。」
「はい。自分で『回復』はかけましたので。」
だが、まだ怪我が残っている。
「ちょっと回復するぞ。『回復』」
傷口が塞がっていき、ミハルはいつも通りの状態になった。
はずなのだが、ぱたん、と倒れるミハル。
「眠ってるだけみたいねぇ」
モミジの言葉にホッと安心する面々。
とりあえずは全員が無事だったことを喜ぶ。
それからそれぞれの場所でなにがあったのかを聞いた。
洞窟は獣。屋敷は虫だったそうで恐らくそれぞれで別の生き物の実験を行っていたのだろう。
だとすれば、研究施設は三つでは留まらないはずだ。
更に通常よりも戦闘力の高い異形。
こいつらを各地に放っているとするとその被害は計り知れない。
同時に今回の戦いで得たものがある。
鎧の力を10%ほど開放してみたのだがまったく暴走しそうになることがなかった。
長年制御を続けるうちに暴走しにくくなっているようだ。
まだ10%なのでなんともいえないが。




