第二十話 真実
「あなたはサンプルと一緒にいた鎧。何を考えているのか知りませんがここにきた以上は死んでもらいます。」
神父が細剣で攻撃してくる。
なかなか速かったがそれは今の基準だ。
細剣を折り、腕を斬り飛ばす。
「っ!よくも!」
紳士のように振る舞っていた神父の化けの皮が剥がれる。
と、同時に苦しみ出す神父。
これは化け物になる前兆。
今のうちにとどめを刺そうと思うも残っていた他の魔物が雪崩れ込んでくる。
ミハルを攻撃されては堪らない。
ミハルを守りながら魔物を一掃する頃には神父の姿は大きく変貌していた。
その姿を形容するならば異形。
今までに見たことがないようなーー
否、見たことはある。
ミハルも同じように感じているらしい。
「ジャイアント・ネレグリング・デス・モスキート・ラーテール・ドラゴニック・タンタロスと似ているな。」
「失礼な!俺をあんな失敗作たちと一緒にするな!」
喋り方にすら面影は残っていない。
それに、しっかりと知性が残っているようだ。
そして、失敗作ということはタンタロスもこいつらの実験の産物だと言うことだ。
「何故こんなことをする?」
「人間を超えるためだよ。俺たちは進化するんだ!」
「その気持ち悪い見た目で進化と言えるのか?」
「黙れぇぇぇ。貴様自身の死を以って進化の力を知るがいい!」
「そうか。俺もお前を斬るだけだ。」
再生した右腕が再び落ちる。
「え?」
続いて左腕。
「なんなんだ、お前!」
左脚。
「や、やめろ、来るな。化け物!」
バランスが取れなくなった元神父は尻餅をつき、後ずさる。
右脚。
とうとう移動できなくなった神父。
「い、いいのか?あの少女の前で俺を殺しても。この外道が!」
「外道はお前だろう。あと、一つ教えてやろう。お前らが安易に放した失敗作によってミハルの仲間は死んだ。自業自得だな。」
「そんなことをしたらあの方が黙っちゃいないぞ。」
「あの方だと?」
その時、元神父の体から出た触手が俺を襲う。
「油断してるからそうなるんだよ!バーカ。」
ゼロ距離から放たれた触手たちは俺の一閃で散った。
「な、何!ちょっと待っーー」
言い終える前に元神父の首が落ちた。
ふと俺は後ろを振り返る。
「あら、バレていましたか。」
そこに居たのは一人の女。
その頭には二本の角が生えている。
「魔族か。」
「ご名答。そこのやつは殺しちゃってよかったのかしら?」
「どうせお前が俺ごとこいつを始末するつもりだったんだろう?」
「まあ、そうなんだけどね。」
女はくすくすと笑う。
「何故笑う?」
「そいつの顔を見てみなさいよ。可哀想。酷い顔してる。」
「面白くないな。」
「あら、そう。また会いましょう。」
「逃すか!」
女は消え、剣は空を斬った。
後には気分の悪い笑い声のみが残った。




